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2011年3月13日 (日)

歴史的な規模の巨大地震と震災

東日本を襲った巨大地震は、気象庁がデータを再検証した結果、マグニチュード9.0に変更された。
世界で観測された中で4番目の規模だという。
地震の規模もさることながら、被害の規模も歴史的な規模といえよう。
被害は人の生活があるからこそ発生する。すなわち、地震あるいは地震によって直接引き起こされる津波そのものは自然科学的的な現象であるが、災害は社会科学的あるいは人文科学的現象である。

人の生活は、基本的に土地の上で行われる。
したがって、土地の条件によって災害は左右される。
土地の条件とは、地形・地勢と土地利用である。

今回の地震について言えば、地震そのものの被害もさることながら、圧倒的な破壊力を見せつけられたのは津波である。
被害は沿岸部に集中している。
沿岸の土地利用も歴史的に変遷してきた。

沿岸部の生活としては、まず海の利用すなわち漁労がある。
三陸沖は昔から豊富な漁場として知られていた。
大船渡や気仙沼などは屈指の漁港である。
この漁業が壊滅的な被害を受けてしまった。

次いで、農地としての利用がある。
南相馬市の紹介資料には次のようにある。

20世紀初め殖産興業・食料増産が推進される中、浦を水田に変える事業が各地で行われた。鹿島区(旧相馬郡八沢村)では、岐阜県養老町出身の山田貞策によって八沢浦の干拓事業350ヘクタールが明治39年(1906)から大正3年(1914)にかけて実施され、小高区(旧相馬郡福浦村)では衆議院議員太田秋之助によって井田川浦の干拓事業(東西1.8キロメートル)が大正10年(1921)から昭和4年(1929)にかけて実施され、現在では豊かな水田地帯を形成している。
http://www.pref.fukushima.jp/bunka/kairou/si/49minamisouma.html

このような地域が一面水浸しになってしまったことがTV映像からも分かる。
地盤が陥没して地形が変わってしまい、水が引かないのだ。
浦だった時代に戻ってしまったともいえる。

今回の震災の最大の特徴は、文明史的とでもいうべき様相があることではなかろうか。
原発施設であり、コンビナートである。

東電の福島第1および第2原発が機能停止した。
まだ事態の詳細が明らかにされていないが、その経緯が全世界的に注視されている。
Photo
http://hustler4life.tumblr.com/

今回の地震による事故は、上表の4~5ではないかといわれている。
原子力被害は、目に見えないものが相手だけに恐怖心が倍加する。
まして、「爆発的事象」の映像である。海外メディアの中には、「大爆発」という表現をしているものもあるという。
仕方がないことかもしれないが、政府の発表はどうも分かりにくいような気がする。

原発と並んで現代文明を象徴するのが、臨海コンビナートであろう。
巨大地震により市原市や仙台市・塩釜市の石油コンビナートで火災が発生した。
原発事故も石油コンビナート火災も、いつか起きることだったともいえる。
しかし、いま目にするとは思わなかった。

東電は計画停電を行う予定だという。
節電努力は賛成だが、地域を分けて輪番的に停電するというのは如何なものだろう。重要性の判断をどこかでする必要があるのではないか。

死者の数は最終的にどれくらいになるのであろうか。
まとまった数で行方不明が発生している。万を超えるのは確実という情報もある。
われわれの生活様式を考え直すことも必要なのかもしれない。

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コメント

埼玉県の私共のところでは、昨日、夕方過ぎ位から、余震も随分おさまってきました。
不安感も去りつつあります。
停電や食料の不足など、耐えるべきことは耐えようと思いますが、その先の甲斐が果たしてあるのか、と、一抹の疑惑を抱きます。
福島原発ですが、伝えられていることの底で、もっと深刻で且つ致命的な事故に進行しつつある、ということはないのでしょうか。又、それを危惧する必要はないのでしょうか。
徒に、悲観的な想像を巡らせることは良くないことかもしれませんが、本当は、色々な事態を認識すべきであるように思います。

投稿: 五節句 | 2011年3月15日 (火) 11時24分

五節句様

コメント有難うございます。
関係者の尽力は理解できるのですが、事故の実際の状態が良く分からないことが不安の原因だと思います。
私などは、病気になって命拾いしたと思っていますし、見るべきほどのものはある程度見たと思いますが、まだまだじっくりと行く末を見つめたいという気もします。
まして、子や孫の世代には生き易い世の中を、と願っているのですが。

投稿: 夢幻亭 | 2011年3月15日 (火) 22時26分

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