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2011年3月 4日 (金)

京大等の入試問題投稿事件について

京都大など4大学の入試問題が、「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、19歳の仙台市内の予備校生が、偽計業務妨害容疑で逮捕された。

逮捕容疑は、2月25、26日に行われた京大の入試のうち、26日に行われた英語で、「aicezuki」のハンドルネームを使い、試験時間中に試験会場から携帯電話で質問サイトに問題を投稿。サイトの閲覧者から解答を得るなどして入試の公正さを害し、京大の教職員を長期間、事実確認などにあたらせて業務を妨害したとしている。

この事件を聞いた時の犯人についての私の予想は以下のようであった。
1.犯人は、本当に入試に合格しようとしたのではないのではないか。
何故ならば、もしそうなら、もっと隠れてやるはずであるにも拘わらず、足跡を平気で残している。
だとすれば、一種の愉快犯で、例えば大学入試なんてそんなに神聖なものではない、というようなメッセージを発したかったのではないか。
2.犯人は、単独犯ではなく、複数の人間の共同によるものではないか。

結果的に、私の予想は見事に外れた。
私の携帯電話のスキャナ機能に対する認識が低いことと、本気でインターネットを利用するならばもっと綿密に準備するだろうという思い込みが、予想を外させた。
Photo
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110303/crm11030319040025-n1.htm

角界の野球賭博問題が八百長を発覚させたように、携帯のセキュリティは甘いと思うべきである。
尖閣ビデオの投稿だって、自首する前にどこから投稿したかがつきとめられていた。
これらのニュースを見ていれば、携帯からの投稿者が特定されるのも時間の問題だということは、通信技術に疎い私ですら容易に想像がつく。
余談だが、「疎い」という言葉はこういう風に使うものだと思っていたので、菅首相や閣僚の「情報をまだ良く聞いていないという意味だ」という強弁にはびっくりした。
⇒2011年1月28日 (金):菅首相の国債発言に唖然。だが閣僚は……

今の時点で言えることは、「携帯カンニング工夫するヒマに勉強しろよ!」であろう。
伊東乾氏の日経ビジネスオンラインの連載「常識の源流探訪」の3月3日掲載分のタイトルである。
HNのaicezukiについてはいろいろ取りざたされている。あれこれ推測するのは自由だが、間もなく分かることであろう。
わが意を得たと思ったのは、次のくだりである。

「京都大学の記者会見で『入試は大学の業務の中で最も大事な社会的な契約事項である、万全を尽くしているつもりだが、それを妨害された』と言っているのを見て、頭がどうかしているのかと思った」
と頂戴しました。実は私も大学慣れしてしまって、入試が最大重要業務という常識に染まりきっていたのですが、その方のご指摘は実に直球で
「大学は本来、学の府として高度な研究と教育の末に社会に役立つ人材を輩出してこそ大学ではないか」というまことに正確なご批判。そうなんですね、京大記者会見は結果的に「大学として一番大事なこと」として「人材育成・研究教育」以上に「入試」が大切、という、現場の常識を語ってしまった。

「入試」はその人の人生を決めるかも知れない重要なイベントである。
私自身は、大学よりも社会に出てからの方が大事なことを学べると、体験上理解しているので、入試をさほど神聖視する必要もないしするべきでもないと考えているが、そうでないと考える人も大勢いるだろう。
しかし、本来的な役割は、入試にはないだろう。
伊東氏は「日本の大学は「入ること」が重要で「出ること」はあまり問題にならない」と書いているが、本当は「出ること」すなわち卒業生の「品質」こそが問われるべきではないか。

同じ日経ビジネスオンラインに3月4日号には、小田嶋隆氏の連載「「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」でこの問題が取り上げられている。
タイトルは、「不正入試とエントリーシートと「orz」な若者たち」。

私は、「orz」の後ろに括弧書きで(落胆・失意を示す記号)という解説を付した新聞記事を読んで、少し笑った。ははは、新聞は、こういう解説が必要な人々のためのメディアになってしまったのだなあ、と。

私も解説が必要なクチだ。
小田嶋氏は次のように言う。

犯罪は、社会的ストレスの露頭であり、その意味で、目新しいタイプの犯罪の発生は、われわれの社会に新たな矛盾が生まれつつあることを告げるカナリヤの歌なのだ。
盗人に三分の理がありテロリストに三行のスローガンがあるように、犯罪者にもいくばくかの正義がある。そして、その彼等のねじ曲がった正義は、時に、時代に特有な欺瞞を鋭く告発する。
・・・・・・
問題は欺瞞なのだ。どんなに苦しい闘いでも、いかに苛酷な競争であっても、ゴールの先に価値ある勝利が待っていて、走り抜けるトラックが公正であるのなら、選手たちは努力を惜しまない。苦しくても頑張ることができる。
でも、競争が欺瞞で、ゴールが不当で、前提がインチキであるという疑念が一瞬でも生じたら、彼等の苦難はにわかに不潔極まる不毛な我慢比べになってしまう。
大学入試における不合格は、結局のところ、その原因を、自身の努力か能力(あるいはその両方)の欠如に求めるほかにどうしようもないテのものだ。その意味で、悔しくはあっても、最終的には納得できる。

そして、次のようにブラックジョーク(?)で締めくくる。
本当に冗談じゃないよ。

受験生がカンニングをし、就活生がバスを横転させ、期間工がトラックで歩行者天国に突入する……というふうに、逸脱の様相が、年齢を経る毎に凶暴になっている。不気味だ。
菅首相あたりが、突然核武装を宣言したりしないか、心配だ。

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コメント

学生たちに聞いたら、携帯利用のカンニングは通常試験でも日常茶飯事ですよ、ということでした。
入試が厳格だとするなら、つべこべ言わずに携帯持ち込み禁止にして持っているのを見つけたら即、退場にすればいいだけだと思う。
会場に映画館のように妨害電波をレンタルして設置すればいいのに、これも電波行政の堅苦しい解釈で、電波法の許可でややこしいなどとは、笑ってしまう。
それより、今度の罪は人をだましたり、策略を講じたりする不正な行為で業務を妨害する罪で、刑法に規定されている。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金なんだけど、法律に疎い僕は、そん法律を知りませんでした。
そんなことで、無駄な業務をさせられたことなど、僕は人生で100回はありますね(笑)。訴えたことなどないけど。

投稿: kimion20002000 | 2011年3月 4日 (金) 23時06分

kimion20002000様

コメント有難うございます。

> 学生たちに聞いたら、携帯利用のカンニングは通常試験でも日常茶飯事ですよ、ということでした。

そうですか、って言うより、そうでしょうねぇ。
カンニング自体はよくあることだし、今の時代ならば携帯の利用法を工夫するだろうとは思っていました。
ただ、本気で「合格したい」と考えてやったとは。
yahoo知恵袋を利用するのは余りにハイリスクだとは考えなかったのか、と思います。
どこか、バランス感覚の失調を感じます。
携帯持込を禁止、でなければ電源offで机上に置く、など簡単なルールで済ませるべき問題でしょうね。

投稿: 夢幻亭 | 2011年3月 5日 (土) 06時42分

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