計画停電を避けるために、省エネルギーをどう実現していくか
ネット上では既に有名になっているらしいけれど、次のような写真がある。
松本清治という人は、武蔵野市の市会議員で、菅首相の元秘書である。本人のウエブサイトに、「‘94~‘99 菅直人随行秘書(厚生大臣と薬害問題取り組む)」とある。
http://white0wine.blog10.fc2.com/blog-entry-2591.html
東京都武蔵野市の松本清治市議(41)が、東京電力の計画停電で市内の一部が対象から外れたことについて「松本清治の要請が実現しました」などと記したビラを配っていたことがわかった。インターネットの掲示板などで批判が集中し、松本氏は24日、自身のツイッターで「決して地益(地域の利益)誘導ではありません」と釈明し、謝罪した。
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松本氏は取材に対し「武蔵野に限らず病院や商業集積地は外すべきだという要望・提案をした」と説明、「(ビラは)書きすぎだった」と述べた。ビラでは停電対象からの除外を東電側から連絡されたと書いているが、実際には市幹部から知らされたという。
http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY201103240440.html
松本氏の意図が本人の言う通り「武蔵野に限らず病院や商業集積地は外すべきだ」という「要望・提案をした」であったとしても、このビラは余りにも無神経と言わざるを得ない。明らかに、「松本清治」という個人の要請が実現したと書いてあること、市からの連絡を東電武蔵野支社からあった、とあたかも手柄話であるかのように「しか」受け止められない書き方である。
謝罪していることでもあるし、これ以上は言わないが、国民の大多数が、計画停電による損失を受忍しよう、としているおりに論外であろう。得意気な様子が本性を現わしている。
経済学者の野口悠紀雄氏は、電力の需給ギャップは長期的課題であるがとして、「計画停電方式では合理的な削減ができない」としている(ダイヤモンドオンライン誌)。
最大の短所は、個別的な必要度や緊急度に応じた供給制限ができないことだ。したがって、必要度の高い需要も含め、停電対象地域内の電力使用を一律にカットしてしまう。今回は、電車、踏切、道路の信号機、医療施設、家庭での医療機器、災害避難所なども、計画停電の対象となった。この意味で、合理的な需要抑制とは言えない。 これらについて、今後はよりきめの細かい対処が試みられるだろう。しかし、これらのすべてに対して、個別的事情を勘案して給電することは、困難だ。
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価格方式による場合は、必要度の判断は個々の利用者にゆだねられる。したがって、料金に応じて、必要度の低い用途から順次削減されてゆくこととなる。こうして、電力需要者が個々に抱えるさまざまな事情を的確に反映することができる。この意味で、合理的な削減が可能となる。
家庭用の電気料金は、、「基本料金」と「電力使用量料金」とから成る。
「一定以上のアンペア数の基本料金を引き上げる半面で、一定以下のアンペア数の基本料金を据え置く」という方策をとることにより、「余計な電気器具を使わないような努力がなされ、」「電力使用を時間的に平準化する努力もなされる」から、ピーク時の需要は大幅に抑制できるだろう、というのが野口さん(および吉本真之さんという読者)の提案である。
私も、現在の計画停電よりはずっと優れた方式であると思う。
蓮舫節電啓発担当相が石原慎太郎東京都知事に、節電の協力を求めたが、両者の見解は以下のように隔たりがある。
首都圏の節電に関して石原氏は、1970年代のオイルショック時に、電力の利用を規制した政令を告示し直し、ペナルティを設けて節電を強制するよう提案したが、「(蓮舫氏は)はぁという反応で、政令がなんたるかも知らなかったようだ」と批判的な口調で述べた。
http://www.rbbtoday.com/article/2011/03/23/75431.htmlフリーライターふじいりょうからの「石原都知事からコンビニエンスストアの深夜営業を制限する政令施行を求められたが、屋外広告やパチンコ店などに拡大して施行することを検討しているか」との問いに対しては、「政令で規制するのが本当に適切なのか。国民の皆様方の冷静な対応、積極的なご協力があって、電力消費は供給内に収まっている」とし、石原都知事の提言に否定的な見方を示した。
http://getnews.jp/archives/104576
どちらが正しいということではないが、蓮舫節電啓発担当相の「電力消費は供給内に収まっている」という認識は、如何なものか。
計画停電対象地域で生活していない人の発言のように思える。不満のガス圧が高まっていることを実感していないらしい。
蓮舫氏はどこに住んでいるのか? 生産活動に従事したことがあるのか?
このまま計画停電を続けると、企業活動に対するマイナスは加速度的に大きなものとなっていくだろう。
被災しなかった地域では、精一杯生産に励むことが重要ではないか。そのためには、不要不急な用途の需要を抑制することは重要なことであると思う。
震災対応において、政権が見かけの政治主導を意識して、却って遅れがちになることが批判されている。
今こそ実質的な政治主導を発揮すべきだろう。
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