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2011年3月25日 (金)

原子力安全・保安院(NISA)のミッションについて

福島原発の事故で、原子力安全・保安院(NISA)という組織が注目されている。
原子炉の状況に関して、重要なポイントで記者会見し、解説したり見解を発表している。
しかし、正直に言えば、その「伝える力」は余り上手とは言えない。
官邸、東電、NISAとそれぞれが記者会見をするのもどうかと思うし、肝心のことは、各局の依頼している大学の先生に頼らざるを得なかったりする。

ところで、NISAとはいかなる組織であろうか?
下図のように示されている。Nisa

http://www.nisa.meti.go.jp/nisa/what/index.html

また、その業務は以下のようである。
Nisa_2

http://www.nisa.meti.go.jp/genshiryoku/epitome/gaiyo.html

つまり、原発のライフサイクル全般にわたって、安全規制を行うことがミッションである。
不幸にして、福島第1は、いままさに(3)の段階が問題になっているわけである。

経済産業省原子力安全・保安院は23日午後5時過ぎの記者会見で、福島第1原子力発電所の3号機から黒煙が発生したことについて「原子炉建屋からの発生と報告を受けたが、現時点では原因はわかっていない。付近の放射線量も変わっていない」として、念のために作業員を避難させたことを明らかにした。
コンクリートで埋めるたりなど抜本的な対策をとる可能性については「もう少し様子を見ないとわからない。放射線量などの状況を見ながら実施する時にはやる必要があるが、現時点での現実的な選択肢ではない」と否定的な考えを示した。

日経QUICKニュース

まあ、いまの時点では、よく分からないことは事実だろうが、「現時点では原因はわかっていない」と言われると、重要な情報を隠蔽しているのではないのかと懐疑的になる。
原因がわかっていない状況で、「抜本的な対策をとる可能性については……現時点での現実的な選択肢ではない」というのは楽観的に過ぎないか。

もちろん、一般論として言えば、(3)の段階にならないように、(1)の段階でしっかり規制することが好ましい。
ところが、「想定外」の実態は以下のようであるらしい。

東電の想定していた津波は最高で五・五メートル。実際には倍以上高い十四メートルを上回る大津波が押し寄せており、二人は設計に想定の甘さがあったと口をそろえる。
・・・・・・
元技術者は事故や地震が原因でタービンが壊れて飛んで炉を直撃する可能性を想定し、安全性が保たれるかどうかを検証。M9の地震や航空機が墜落して原子炉を直撃する可能性まで想定するよう上司に進言した。
だが上司は「千年に一度とか、そんなことを想定してどうなる」と一笑に付したという。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011032390071412.html

マグニチュード9.0という地震は「想定外」であったかも知れない。
しかし、現実に起きたのである。
自然事象についての「想定」は、人間の驕りか、でなければ経済合理性を説明するための前提に過ぎないだろう。
NISAの本来業務は、(1)の段階をしっかりと遂行することではないのか。

そもそも、経済産業省の一機関であるのも解せない。
原子力安全・保安院という名前からすると、安全性の確保を最優先のミッションとすべきだと考える。
事実そういう組織であるのだろうが、実態は原子力利用を推進する方にウェイトがありそうである。
経済産業省に属していることがそれを示しているだろう。

それに、原子力のような高度の技術知識を要する機関に、ちゃんとした(?)技術者がいるのかどうかすら定かではない。
官庁に一般的なように、事務官が権限を握っているとしたら……・
加えて、菅首相のような“半可通”が出しゃばって指図したがるのが一番困ったことと言えよう。

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