モチベーションを持ち続けるためには?/闘病記・中間報告(22)
リハビリは成果の見えにくい営みといえよう。
目に見えるような効果はそう簡単には現れない。効果が出たとしても、かつて当たり前のこととして行っていたよりもうまくいかない。
「昔のようには戻りませんが、頑張ってください」と言われて、どうしたらモチベーションを維持できるか?
人間の欲求はピラミッド様の階層構造をしているという有名な説がある。
アメリカ合衆国の心理学者・アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。
マズローの自己実現理論とかマズローの欲求段階説などと称される。
マズローは、上記のような欲求構造を前提に、以下のように主張した。
人間は満たされない欲求があると、それを充足しようと行動(欲求満足化行動)するとした。その上で、欲求には優先度があり、低次の欲求が充足されると、より高次の欲求へと段階的に移行するものとした。
例えば、ある人が高次の欲求の段階にいたとしても、例えば病気になるなどして低次の欲求が満たされなくなると、一時的に段階を降りてその欲求の回復に向かい、その欲求が満たされると、再び元に居た欲求の段階に戻る。このように、段階は一方通行ではなく、双方向に行き来するものである。また、最高次の自己実現欲求のみ、一度充足したとしてもより強く充足させようと志向し、行動するとした。
Wikipedia110218最終更新
障害とは、欲求の充足が妨げられている状態に他ならない。
マズローによれば、先ず生理的欲求が、次いで安全欲求の充足が図られ、最終的には自己実現欲求を満たそうと考えることになる。
確かに「腹が減っては戦もできぬ」のであり、納得的である。
しかし、「武士は食わねど高楊枝」とも言われるように、痩せ我慢をするのも人間らしい行動のような気がする。
人間の行動のモチベーションをどう理解するか?
最近話題になったものとしては、ダニエル・ピンク、大前研一訳『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』講談社(1007)がある。
モチベーションをコンピューターの基本ソフト(OS)のように考え、それを次の3つに分ける。
(モチベーション1・0〉…生存(サバイバル)を目的としていた人類最初のOS 。
〈モチベーション2・0〉…アメとムチ=信賞必罰に基づく与えられた動機づけによるOS。ルーチンワーク中心の時代には有効だったが、21世紀を迎えて機能不全に陥る。
〈モチベーション3・0〉…自分の内面から湧き出る「やる気!=ドライブ!」に基づくOS。活気ある社会や組織をつくるための新しい「やる気!」の基本形。
マズロー説に重ねて図示すれば以下のようになる。
http://cyblog.jp/modules/weblogs/4023
リハビリや介護の現場で、モチベーション理論をどう実践するか、一般化は難しいだろうが、一般論がないと個別論・具体論も有効でないだろう。
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