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2011年2月25日 (金)

民主党の小沢処分をどう考えるか?

民主党が小沢一郎氏に対する処分を決定したが、その反作用で揺れ動いている。
処分については、常任幹事会が党倫理委員会(委員長・渡部恒三最高顧問)に諮問し、倫理委は「諮問の通りが適当」と答申して、最終的に常任幹事会により次のように決定した。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110223k0000m010090000c.html

小沢元代表が政治資金規正法違反で強制起訴されたことを党倫理規則に定める「政治倫理に反し、党の品位を汚す行為」と認定。党員資格停止処分については「原則として最長6カ月」とする党の指針があるが、「裁判手続きに要する期間を予見できない」との理由で例外扱いとし、「判決結果により別途処分が検討される場合がある」ことも決定文書に明記した。

要するに、党のルールの「最長6カ月」を越えて、「無期限」という処分である。
この処分をめぐって賛否が対立しているが、菅首相は、「丁寧な手続きを経て、党のけじめとして決めた」と説明。一方、小沢系とされる議員などから強い反発意見が出され、松木謙公農水政務官は、菅直人首相に辞表を提出した。

かねてから小沢氏を強く批判してきた産経新聞の「主張」は次の通りである。
http://sankei.jp.msn.com/politics/print/110215/stt11021502410000-c.htm

菅直人首相が10日の元代表との会談で自発的離党を求めたことから考えれば最低限、離党勧告が筋だろう。しかも、元代表が離党を拒否した以上、強制離党にあたる除籍処分で臨むのが当たり前だ。
そもそも、元代表の政治的かつ道義的責任の重さを考えれば議員辞職しかない。
・・・・・・
首相らが「あまり処分に時間をかけるべきでない」と判断したのは妥当だが、党内対立の激化を避けるために3つのうち最も軽い処分で決着を図ろうとしたのは理解に苦しむ。

一方、産経新聞のスタンスに近いかと思われた勝谷誠彦氏は、メルマガ110223号で次のように述べていて対照的である。

菅直人首相は一国のトップとして責任を持つべき国民の命よりも、身内のリンチの方が大切らしい。<途中退席>というところに、異様なまでのこの男の加虐性がほのみえて、気持ちが悪くなって来る。
ちなみに「総括会議」にかけた時間は<途中退席>であってもそのあとの地震対策会議よりも長い(泣)。何やってんでしょうか、この人たちは。
たとえ形だけであっても「今日の常任理事会は中止、地震対策会議を優先する」と言えばいくらかでも国民の見る目は変わっただろうに。
要するに、あの男は怯えているんですね。一分一秒でも小沢一郎元代表への攻撃が遅れると、反撃を受けると思っている。
えてして加虐趣味のある奴ほど、実は怯懦な場合が多いが、菅直人という人物を見ていると、しみじみそう思う。

この問題はどう考えるべきだろうか?

先ず、問題の発端となった西松建設の「違法献金問題」が、いつの間にか問題にされなくなっていることに注意すべきであろう。
当時は麻生内閣時代が行き詰っていた時だった。総選挙があれば自民党が大敗することが明らかだった。
一方、民主党の代表は小沢氏で、もし政権交代が起きれば小沢氏が首相になる蓋然性が高かった。

西松建設から小沢氏へ違法献金が行われたという容疑で、絶妙のタイミングで小沢氏の秘書が逮捕されたのだ。
⇒2009年3月 4日 (水):小沢スキャンダルは、自民党の神風になるか?
⇒2009年3月 5日 (木):小沢代表秘書逮捕は偏向捜査ではないのか?

また、捜査情報が意図的に(世論誘導的に)リークされているのではないかと思った。
⇒2009年3月 8日 (日):西松建設問題と世論の誘導
⇒2009年3月11日 (水):西松建設献金問題に係わる情報源と流通
特に、事件の背景説明と称して行ったとされる漆間官房副長官のコメントとその報道の仕方は疑問であった。
⇒2009年3月12日 (木):情報源の秘匿と知る権利

そんな中で、元特捜部検事の郷原信郎弁護士のコメントは注目すべきものと思われた。
⇒2009年3月17日 (火):西松建設献金問題に対する捜査態勢をどう見るか?
⇒2009年3月18日 (水):特捜捜査の「ガダルカナル」化?
⇒2009年3月19日 (木):ゼネコン捜査は無謀な「白兵突撃」になるか?

結果的に小沢氏の秘書は起訴され、小沢氏は代表を辞した。
「起訴=推定有罪」と捉えがちである現実からすれば、検察は「起訴」の波及的な影響を全く考慮しなくていいのだろうか。
⇒2009年3月24日 (火):西松建設献金問題に関する検察の説明責任
⇒2009年3月25日 (水):西松建設献金問題における違法性の成否
⇒2009年3月26日 (木):西松建設献金問題における悪質性の評価と捜査手続き・手法
⇒2009年3月31日 (火):西松建設献金問題の政治的影響力

これらの疑問は、昨年来の大阪地検特捜部の信じがたい実態の一部が明るみに出てことから、「やっぱり」という感じお持った人は少なくないであろう。

もう一つの問題は、検察審査会の議決をどう考えるか、ということである。
小沢氏は、検察庁では不起訴処分となったが、この処分が不当ではないかとの疑問が検察審査会に提起された。
陸山会の政治資金収支報告書案件は、04~05年度分と07年度分について、それぞれが検察審査の対象になり、前者が起訴相当、後者が不起訴不当と審決された。
⇒2010年7月16日 (金):不起訴不当という落し所

前者については、検察庁で再度捜査をやり直し、不起訴となり、検察審査会でもう一度「起訴相当」の議決がなされ、強制起訴となった。
私は、情報が開示されない検察審査会の現在のあり方に疑問を持っている。
⇒2010年10月 6日 (水):「推定無罪の原則」はどこへ行った?
⇒2010年10月 8日 (金):冤罪と推定無罪/「同じ」と「違う」(19)
⇒2010年10月 9日 (土):検察審査会/理念と現実の乖離(4)

もちろん、小沢氏サイドも「差し止め」を申し立てたが、却下された。
⇒2010年10月16日 (土):小沢氏の「検察審議決無効」提訴
⇒2011年2月14日 (月):トヨタのリコール問題と検察審査会による強制起訴

ロッキード事件については、「背後にある闇」が問題にされた。
⇒2009年3月 1日 (日):ロッキード事件④…背後にある闇 »

小沢氏についても、昨年の10月段階で、次のような指摘がある。
http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/88d2eb7beadc759fa0fd4fbc963a01cf

「国民生活が第一」「官僚支配打破」「対等な日米関係」「緊縮財政より財政出動で景気回復」の政権公約の実現を目指す小沢一郎氏が、米国支配層、 自民党清和会、検察、大手マスコミによる戦後最大の「政治謀略」で抹殺されようとしています。
もしもこのことを許せば日本の民主主義は根本から破壊され、戦争と貧困と弾圧の「検察ファシズム」の社会に確実になるでしょう。
「村木冤罪事件」を大阪地検特捜部の暴走に矮小化させて終わらせてはいけないと思います。
「村木冤罪事件」は「小沢バッシング」と同じ時期に「小沢民主党政権阻止」「小沢氏抹殺」の同じ目的で実行された謀略です。
・・・・・・
昨年3月3日の検察による「西松事件」でっち上げ強制捜査がなければ小沢氏は昨年9月に首相となっていたはずです。
小沢政権が実現していれば、過度な円高の抑制、景気の回復、普天間基地の海外移転、良好な日中関係、対等な日米関係、官僚支配脱却、記者クラブ廃止、取り調べ全過程の可視化などは今頃実現していたでしょう。

歴史は繰り返すということであろうか。
確か、「2度目は喜劇として」とあったように記憶しているが、この場合、果たして喜劇役者は誰であろうか?

民主党の常任幹事会の処分は、ニュージーランドの震災被害者の救援の決定に優先して議決された(上掲勝谷メルマガ)。
菅首相は、子ども手当について、「私もこの議論がなされている小沢(一郎)代表の当時、『2万6000円』と聞いたときに一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えている」と、他人事のように答弁した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110224-00000096-jij-pol
もはや、当事者としての自覚もないと断ぜざるを得ない。

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