« QOLとQOM/「同じ」と「違う」(28) | トップページ | 菅首相は、どういう局面で、いつ投了するのか? »

2011年2月 2日 (水)

マニフェスト政治が悪いのか?

今日の産経新聞で、ジャーナリスト・東谷暁氏が、『マニフェスト政治の欺瞞』と題して民主党の批判をしている。
http://www.sankei.jp.msn.com/politics/news/110202/plc11020202290003-n1.htm
民主党の欺瞞性については同意するが、それが直ちにマニフェスト政治そのものが欺瞞であるわけではないのではないか?
東谷氏は次のように書き起こす。

先月26日から行われた国会の代表質問では、民主党のマニフェスト修正への批判が相次いだ。やってみたが達成できないので修正するというのでは、国民への裏切りであり、それなら衆議院を解散して信を問えというわけである。
もっともな話で4年間は消費税増税をしないといっていたのに、なに食わぬ顔で消費税増税を言い出し、高速道路無料化も一部にとどまる。子ども手当も満額支給ができず、農家の戸別所得補償も規模が縮小している。外交に至っては破綻状態。これでは違約だらけで、民主党政権も末期状態といっても過言ではない。

ここまでは全く異論がない。
しかし、東谷氏が「マニフェスト政治というものに、本来的で致命的な欠陥があったと考えるべきだろう」として、その理由を次のように述べていることについては同意できない。

第1に、マニフェスト政治は、将来の事態を予測できることが前提で行われているが、そんな神のごとき能力は残念ながら人間には備わっていない。本来、予測不可能な事態に対処することが政治というものだから、予測可能と捉えることは政治そのものの否定である。細かに数値まであげて国民に約束するのは、大いなる欺瞞(ぎまん)というべきだろう。

マニフェストの数値が達成できないから、国民は怒っているのであろうか?
「きっこのブログ」にちょうどいい文章があるので引用しよう。

あたしだって鬼じゃないから、「国債の発行額を30兆円以内に収める」って公約に対して、「31兆円だったから公約違反だ!」なんて厳しいことは言わない。
・・・・・・
自民党に政権を任せてたら、たった10年で、ニポンの借金は395兆円から2倍以上の900兆円へと膨れ上がっちゃったワケだけど、これは、小渕と森が下地を作り、コイズミが一気に膨らませ、それを安倍、福田、麻生の3バカが引き継いだ結果だ。そして、こんな状況で政権交代したんだから、民主党政権にしてみれば、最初から莫大な借金を背負った倒産寸前の会社を任されたようなもんで、ゼロからのスタートどころか、ものすごいマイナスからのスタートってことになった。だから、多くの国民は、最初のうちだけは、温かい目で見てたんだと思う。
‥・・そんなワケで、次から次へと公約を反故にする民主党政権のテイタラクさは、もう書く気にもならないほど期待ハズレなので、今回は「国債の格付け」ってものについて、テレビから消えてく池上彰の代わりに、あたしが解説してみようと思う。

http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/

つまり、きっこさんは、数字のことを言っているわけではない。
「温かい目で見」ようとしていた民主党政権が「次から次へと公約を反故にする」のに怒っているのだ。
それが国民の多数の気持ちではなかろうか。

さらに言えば、「将来の事態を予測」できなかったからでもない。
「神のごとき能力」を期待していたのではない。自公政権よりはマシな政府を願ったのだ。

第2に、マニフェスト政治は、政策の安売り競争をもたらすことになり、それは結局、国民の政治不信を助長する。民主党はマニフェストだけでなく、他の政策においても甘ったるい主張を述べたてたが、参院選前の多党化現象を思い出せば、もはやそれが、民主党だけの症状でないことはあきらかだった。

確かに、「政策の安売り競争」的な側面があったことは否定できない。
しかし、だからといって「政策の競争」自体を否定するものではないのではないか。
実現可能性をどう論理武装し、プレゼンして、実行していくか。
その競争であって、判定者は有権者である。
マニフェスト政治に代わるしくみを提起しないのでは批判になるまい。

加えて、いまの政権が守れもしないマニフェストに固執するのには、もうひとつ大きな理由がある。民主党には党綱領が存在しないことである。およそ政党というものは、党の根本的な価値観を綱領で示し、そこから政策を立ち上げる。国民は党綱領と当面の政策提案を比較して判断することができる。

民主党に綱領がないことが問題なのは私も同意見である。
⇒2011年1月 5日 (水):綱領なき民主党の菅VS小沢の不毛な争い
だがしかし、だからこそマニフェストが重要であり、「固執」して欲しいと考えているのではないか。
むしろ、マニフェストに固執しないことが問題なのであって、マニフェストを放棄するならば、総選挙をすべきである。
民主党のマニフェストには欠陥があった。
しかし、それを「マニフェスト政治が悪い」と一般化するのは如何なものかと思う。

|

« QOLとQOM/「同じ」と「違う」(28) | トップページ | 菅首相は、どういう局面で、いつ投了するのか? »

ニュース」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

引用天国

投稿: あなた | 2011年2月 5日 (土) 00時33分

初めまして。

同意する事、多々であります。
私も多少ながらマニフェストを2004年当初から学び研究してきました。ですから仰る事、本当に同意致します。
しかし、マニフェストを政権公約程度のモノとすり替える政治家が多過ぎますね。自らが使う以上は学び間違いなく取り扱うのがプロです。なのに・・・
そして、有権者自体も「言ってる事が本当か?おかしくないか?」と考えるべきです。
マニフェストとは契約なのですから。

今後のご活躍を御祈念致します。

投稿: ジョウジ | 2011年2月 5日 (土) 10時45分

自民支持してるので身贔屓になりそうですが、できもしないことに対して安売りしたあげくうっちゃり、その上で誰も責任を取らず知らんぷりで、挙句の果てに自分の昨日言った事を今日には変えてる。そんな所が支持を失ってる理由だと思います。

赤松口蹄疫に代表されるように、危機的事態に対応ができるとは思えませんし。

投稿: | 2011年2月 5日 (土) 10時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/395349/38708489

この記事へのトラックバック一覧です: マニフェスト政治が悪いのか?:

« QOLとQOM/「同じ」と「違う」(28) | トップページ | 菅首相は、どういう局面で、いつ投了するのか? »