マニフェストを履行するための消費税増税?(2)
党首討論では議論が噛み合っていない印象が残った。
⇒2011年2月10日 (木):マニフェストを履行するための消費税増税?
自民党の谷垣総裁が、「民主党のマニフェストの基本構造は、消費税(率の引き上げ)はやらない前提に立っているはずだ」と問い、公明党の山口代表が、「(マニフェストは)既に破綻している。国民との約束を破ったことになる」と詰め寄ったのに対し、菅首相が、「マニフェストは4年間に実現するとの基本的な構造になっている」として、破綻を認めないことから、議論は平行線のままで、深まっていかなかったのだと感じた。
マニフェストの基本構造とは何か?
端的には左のチャートで示されるものだろう。
特に、「税金のムダづかい」を改めて、新たな財源を生み出すという論理である。
H22年度は所要額概算7.1兆円、H23年度は12.1兆円となっている。
それを生み出すために、華々しく事業仕分けが行われた。
事業仕分けとは下記のように説明されている。
Wikipedia110207最終更新
行政刷新会議が行う事業仕分け(じぎょうしわけ)は、国家予算の見直しにおいて、国民への透明性を確保しながら、予算執行の現場の実態を踏まえて、そもそも事業が必要か否かを判断し、財源の捻出を図るとともに、政策、制度、組織等について
今後の課題を摘出するものである
仕分けの成果はどうだったか?
無駄を洗い出し、国の予算を組み替えることを目的とした事業仕分けは、今回の特会で一通り終了。民主党は09年の衆院選マニフェスト(政権公約)で13年度までに総額16.8兆円の財源確保を約束したが、3回の仕分けの捻出(ねんしゅつ)額は遠く及ばず、マニフェストの破綻(はたん)が確実となった。
http://kokohendarou.seesaa.net/article/167818540.html
私は誰の目にも09年の総選挙のマニフェストは破綻しているように見えるのではないかと思う。
基本的には、谷垣総裁、山口代表の言うとおりであり、これを認めて議論すべきであり、菅首相の言い分は、問題のすり替えと強弁に過ぎない。
しかし、批判者が財政悪化のそもそもの原因者であるから、討論が一見白熱しているかのように見えても、空しく聞こえるばかりである。
消費税増税の結論自体にはかわりがないからだ。
私たちは、“財政再建=消費税増税”を刷り込まれつつあるが、もう一度立ち止まって考えてみたい。
“財政再建=増税+増収(経済成長による税収増)+歳出削減”という原点に戻って考える必要があるだろう。
第一に、歳出削減は本当に限界か?
事業仕分けのパフォーマンスは華々しかったが、成果はあまりに貧弱だと思う
第二に、税収増は限界か?
政府のマクロ経済政策は、どのような仕組みと効果を想定しているのか、説明不足ではなかろうか?
小沢氏の資金問題の説明責任を追及するよりも、優先順位は高い。
マニフェストは基本的に守られるべきである。
その基本的な部分が破綻しているならば、もう一度手直しをして民意を問うべきだろう。
消費税増税が必要ならば、それを盛り込んで作成していただきたい。
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