トリプル選挙の結果と菅政権の末路
民主王国といわれた愛知県で、出直し名古屋市長選と愛知県知事選が行われ、市長選は河村たかし氏が再選、県知事選は河村氏と連携した前衆院議員の大村秀章氏が初当選した。
また市議会の解散の賛否を問う住民投票でも賛成が多数となった。
この結果をどう受け止めるかは人により異なるだろう。
私自身は愛知県民でも名古屋市民でもないので、直接的な投票行動とは無関係である。
しかし、選挙結果については、予想通り、というしかない。
河村氏は、言動がパフォーマンス過剰気味とは思うが、公約を守ろうとする姿勢には好感を覚える。
大村氏はTVのお笑い番組もどきの討論番組で知る程度だが、河村氏とタッグを組んだのが評価されたといえよう。
現時点での選択肢からすれば、河村氏および大村氏の勝利はきわめて順当なものと思う。
私の考えるポイントは以下のようなことである。
何よりも、菅内閣もしくは民主党政権への「NO」が圧倒的に、疑う余地なく示されたこと。
今回の選挙では消費税増税を掲げる民主党・自民党が推薦する候補を、減税を掲げる候補が打ち破ったという点で象徴的であり、かつ画期的である。現内閣の路線が否定されたことは明白であるが、同時に自民党も拒否されたのである。
http://nicoasia.wordpress.com/
民主党は、政権交代を果たした2009年の総選挙では、愛知県で15小選挙区を全勝している。
まさに「王国」であったのだが、脆くも瓦解したことになる。
今回だけのことではない。菅首相や岡田幹事長は、記憶にある限り地方選挙で全敗ではないか。
しかも、ねじれ国会で国会議員数を1人でも減らすようなことは避けるべき時に、国会議員を擁立している。
執行部の政治的センスを疑うべきだろう。
菅首相は、「選挙結果をしっかりと分析して」などと言っているが、分析の必要もないことではないか。
自民党の大森副総裁は、県知事選の得票率が民主党を上回ったのが嬉しそうな顔をしていたが、自民党も大敗したのだという自覚がないと、党勢の回復は望むべくもないだろう。
今回の選挙には、首長の率いる地域政党と既成の大政党の争いという性格があった。
結果は、トリプル選挙におけるトリプルスコアである。
速断はできないが、予兆のようなものを感じるのは私だけではないだろう。
私には、菅首相らのマニフェスト見直し発言を聞くと、「党」にこだわり、路線にこだわった永田洋子が懐かしくさえ思われる。
民主党は、「党」とは言い難い組織であろう。
なぜならば、今ごろ「綱領」を定めようと動き始めるというのだからだ。
「綱領」(もしくは代わるもの)がない組織は野合である。
野合(言い換えれば、小異を捨て大同に就く)が悪いわけではない。勝つための条件として、選択することは十分にあり得るだろう。
野合していた組織に排除の論理を持ち込むのは、自己否定というものだろう。
今の民主党で「綱領」の代わりを果たしているのは、マニフェストならともかく、親小沢か反小沢かという争いである。
⇒2011年1月 5日 (水):綱領なき民主党の菅VS小沢の不毛な争い
持っていれば、実行すればいい。
できれば「離」の境地にまで行ってほしいものだ。
でなければ、反小沢の姿勢だけで支持率を上げようなどと考えるべきではないだろう。
小沢的なものを合わせて政権交代を果たしたのだから。
⇒2010年9月11日 (土):菅首相続投で、本当にいいのだろうか?
⇒2010年8月27日 (金):カン違いしたのは、菅首相かわれわれか?
残念ながら、否である。
沈鬱とでもいうべき気持ちから抜け出せない。
⇒2010年7月12日 (月):日本の政治はどうなるのだろうか?
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- スキャンダラスな東京五輪/安部政権の命運(94)(2019.03.17)
- 際立つNHKの阿諛追従/安部政権の命運(93)(2019.03.16)
- 安倍トモ百田尚樹の『日本国紀』/安部政権の命運(95)(2019.03.18)
- 平成史の汚点としての森友事件/安部政権の命運(92)(2019.03.15)
- 内閣の番犬・横畠内閣法制局長官/人間の理解(24)(2019.03.13)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント