菅首相は、どういう局面で、いつ投了するのか?
経済評論家・山崎元氏によれば、『菅首相はすでに「詰んでいる」のではないか』(ダイヤモンドオンライン110202号)。
将棋でいう「詰んでいる」状態だということであり、普通は「詰み」を読み切った時点で投了する。
「詰んでいる」のに手を指し続けるのは意味がないし、美しくもない。
山崎氏の主張は以下の部分に表現されているだろう。
国会運営でも、支持率でも行き詰まっているように見える菅氏は、野党をはじめとする批判勢力の攻めを受け切って首相を続けていくことが出来るだろうか。
筆者は、たぶん無理だと思う。
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大多数の民主党員にとっては、予算案の年度内成立と同時に菅首相が退陣し、新しい代表になって支持率を上げて統一地方選に臨み、解散はしばらく回避することだろう。
田中秀征・元経済企画庁長官も、110127号の『国民からも早期解散を望む声が…/消費税増税、TPP参加を掲げた菅政権の寿命』で、次のように書いている。
菅政権は既に「公約したことはやらないで、公約しないことをやる政権」という評価が定着してしまっている。“消費税”も“TPP”もそんなに重要なら、どうして政権交代選挙での争点にしなかったのか。もしも国民的議論が必要なら、今すぐに解散・総選挙をすればよいではないか。世論がそう受け止めるのは当然だ。首相が言うように、6月に政府案をまとめるなら、そのまま総選挙で信を問うべきだ。何よりも、昨年の参院選で菅首相自らそう約束している。
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他でもない菅政権に対する強い不信感が、重要課題の解決を遅らせていることを、首相は理解していない。首相自身が信頼されていないから、どんなに正しいことを言っても世論は耳を貸さなくなっている。
また、斎藤美奈子さんは、「Days Japan」1102号の『いっそ「やーめた」と言ってほしい/菅「仮免」政権の末路』という文章で、菅首相の仮免発言を揶揄しながら、次のように書いている。
仮免練習中に躓いたドライバーが、本免許を取得したところで上手く走れるわけがない。この際首相は退いて、お遍路に出る。それがもっかの菅直人にとって最善の選択だろう。
これらの論者に共通しているのは、菅内閣がすでに完全に行き詰まっていることである。
国民がすでに見放していて、相撲でいえば死に体である。
私も同感である。
⇒2011年1月12日 (水):出口の見えない菅政権と民主党解党という選択肢
そして致命的なのは、菅首相の政治家としての資質が問題だということである。
今日の産経新聞で、阿比留記者が書いている。
「その場その場でいろんな発言をしているので、すべてに整合性があるとまでは言わない」
首相は1日の衆院予算委では、自身の過去と現在の発言の矛盾を突かれてこう認めた。いま問われているのは民主党の政策やマニフェスト(政権公約)の破綻よりむしろ、首相の政治家としての整合性そのものではないか。(阿比留瑠比)
普通の神経の持ち主ならばとてもいたたまれない状況だろう。
ところが、不思議なことに、菅氏自身および取り巻きの人は、傍目にはさほど切羽詰まったようには見受けられない。
しかし、菅内閣の崩壊は時間の問題だろう。
何が菅首相投了の引き金となるか?
それは、統一地方選の前か後か?
現状では、統一地方選の戦略も立てられまい。
⇒2011年1月16日 (日):民主党は、統一地方選でどんな旗を掲げるのか?
やはり民主党は政権を担うには準備不足だったと言わざるを得ないだろう。
ポスト菅は誰が担うのか?
山崎氏は、失策続きの岡田氏の目は無く、本命は前原氏ではないかという。
しかし、私には偽メール事件のマイナスの印象は消えていない。
そういえば、あの偽メールは誰が仕組んだのか?
背景事情はどこまで明らかにされたのだろうか?
おそらく民主党は解散総選挙をやれば、野党に転落することになろう。
だからポスト菅といっても、首相とは限らない。
議席を失う議員にはお気の毒だが、栄枯盛衰は世の常である。
しばらくは戦国時代に近い状況が続くのではないか。
切磋琢磨する中で力量を磨くことも大事である。
それに、まだまだ民主党の幹部は野党の方が似合いそうだと思う。
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