もはや驚くこともない、ダメ押しの鳩山失言
去年の今ごろは……、とふと思う。
人里離れたリハビリ病院で、自分の身に起こったことが未だ十分には納得しきれず、感情的にも不安定だったように思う。
温暖な伊豆とはいえ、例年になく雪の降る日が多かった。
見舞いに来てくれる人も、身の回りの始末をしてくれる妻や娘も、大変なことだっただろうと改めて思う。
そして、この人も、首相だったんだなあ、と過ぎて行った時間のことを考える。
鳩山前首相である。
米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設交渉に関して、次のように報じられている。
昨年5月に県外移設断念の理由として挙げた在沖縄海兵隊の「抑止力」について、鳩山氏は「辺野古しか残らなくなった時に理屈付けしなければならず『抑止力』という言葉を使った。方便と言われれば方便だった」と弁明し、抑止力は「後付け」の説明だったことを明らかにした。
また、米軍の一体運用さえ確保できれば県外移設は十分可能性があるとの認識を示すとともに、交渉過程で実務を担う外務、防衛両省の官僚が県内移設に固執し、その“抵抗”に苦悩していたことも明かした。
http://www.47news.jp/CN/201102/CN2011021201000535.html
最高責任者であった人のこの「方便」発言は、当然のことながら、与野党から批判に晒されている。
念のため、「方便」について辞典にあたってみた。
ほう‐べん〔ハウ‐〕【方便】
[名・形動]
1 《(梵)upāyaの訳。近づく意》仏語。人を真実の教えに導くため、仮にとる便宜的な手段。
2 ある目的を達するための便宜上の手段。「うそも―」
3 (多く「御方便」の形で)都合のよいさま。「でも、御―なものだ」〈藤村・新生〉
提供元:「デジタル大辞泉」
「最低でも県外」と言ってきたことが実現できなかったことの理由づけが、あるいは「学べば学ぶほど」理解を深めたはずのことが、「便宜の手段」とは。
社民党の福島瑞穂党首は、連立の合意事項の県外移設を主張して閣僚を罷免されたのだった。
「方便で私は閣僚を首になったのか。本当にひどい」と語り、閣議決定の見直しを迫る考えを表明した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/print/110214/plc11021422390011-c.htm
みんなの党の江田憲司幹事長の批判は以下のようである。
「コメントにも値しない言語道断の発言で、即刻議員辞職をしていただきたい。こういう方を一国の首相に担いでいた民主党のクレディビリティ(信頼性)も根源から問われる。いい加減なことを言いまくって政権を取って運営してきたことの象徴的な発言だ」と批判した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/print/110215/stt11021519090013-c.htm
与党からも批判の声が相次いだ。
北沢俊美防衛相は同委で「なかなか理解できない。私の長い人生の中でも一、二を争う衝撃的なこと」と異例の表現で不快感を示し、藤井裕久官房副長官も記者会見で「今は(鳩山氏は)無職の方」と切り捨てた。
http://mainichi.jp/select/today/news/20110217k0000m010081000c.html
「鳩山→菅」と政権をたらい回しにしてきたが、いよいよダメ押しの失言のようである。
ついでにダメについても、辞典を見てみた。
だ‐め【駄目】
[名・形動]《5が原義》
1 よくない状態にあること。また、用をなさない状態にあること。また、そのさま。「暑さで食べ物が―になる」「重病で、もう―らしい」「―なやつ」
2 効果がないこと。また、そのさま。むだ。「いくら頼んでも―だ」「―でもともと」
3 しようとしてもできないこと。また、そのさま。不可能。「これ以上歩けと言われてもとても―だ」
4 してはいけないこと。「ここでタバコを吸っては―だ」「黙って入っては―だ」
5 囲碁で、両者の境にあってどちらの所有にもならない目。
6 演劇などで、演出・演技などの悪い点についての注意や注文。「―が出る」駄目を押す(だめをおす)
提供元:「デジタル大辞泉」
しかし、こんなに形勢が明らかであれば、普通は中押しというところである。
中押し(ちゅうおし)
一方が投了し、最後まで打たずに勝敗が決まること。
囲碁基本用語集
菅氏も、趣味は囲碁だったはずである。
これ以上国民を道連れにしないで、潔く投了すべきではないか。
⇒2011年2月 3日 (木):菅首相は、どういう局面で、いつ投了するのか?
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