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2011年2月24日 (木)

尖閣ビデオ流出者は、犯罪者か義士か?

菅政権がいよいよ末期的である。
16人の会派離脱宣言に続き、原口前総務大臣も雑誌で反菅政権の姿勢を明確にした。
⇒2011年2月18日 (金):民主党とは何であったのか

また、松木政務官も辞表を提出し、政権崩壊状態である。
菅政権はまだ総選挙の洗礼を受けていない。参院選では敗北しているし、地方選でも連敗である。
その意味では、正統性に疑念があると言ってもいい。

菅内閣は発足以来数々の躓きを重ねてきたが、その1つとして尖閣諸島における中国漁船への対応が挙げられるだろう。
この事件に対する政府の対応には、当初から首を傾げざるを得なかったが、それを「ベストの対応」と強弁してきた。。
⇒2010年9月25日 (土):尖閣諸島事件の船長を釈放
⇒2010年10月 3日 (日):尖閣問題に対する蓮舫大臣の強弁

そして衝突のビデオ映像について、一貫して保秘の態度をとった。
⇒2010年10月19日 (火):尖閣ビデオ出し渋りの怪
⇒2010年10月28日 (木):なぜビデオを出さないのか?
⇒2010年10月29日 (金):まさか証拠改竄? 出し渋りのビデオ

その結果、海保職員による「掟破り」の動画サイトへの流出が起きた。
⇒2010年11月 5日 (金):尖閣ビデオ流出の快(?)
政府は、保秘を貫徹できなかったことを謝罪した。
⇒2010年11月 9日 (火):政府は、誰に対し、何を謝罪するのか?

しかしこの辺りで保秘の方針を転換すべきだっただろう。
⇒2010年11月11日 (木):ビデオ流出の正義と責任はどこに
⇒2010年11月15日 (月):尖閣ビデオ問題の失敗学
⇒2010年11月16日 (火):尖閣ビデオ問題を「もしドラ」的に考えてみる

ビデオ流出に関しては賛否が分かれたが、ネット上の意見は、「歓迎する」が多数派だったようだ。

尖閣ビデオ流出を「歓迎する」が65%、「問題だ」は15%――ヤフー・ニュースが2010年11月5日から始めた意識調査で、8日夕現在の結果は、圧倒的に「流出」を肯定的に捉えている。ほかに、「やむをえない」という消極的肯定派が20%いる。
http://adomeos5es.blog.so-net.ne.jp/2010-11-11

問題は、公務員としての規範を破っても(目的が正しければ)許されるか、というところにあるだろう。
次のような意見が多数派ではないだろうか。

ワタシは民主党政権の尖閣ビデオ隠匿は許せませんでした。 だからこれを公開した一色氏には、感謝していました。 ただ彼個人を「国士」「愛国者」と安易に持ち上げる人達には、疑念を持っていました。
なぜなら今までこの方は一介の海上保安庁職員であり、彼個人の人となりなどわかりませんでした。
「日本中が大騒ぎしているビデオを、たまたまダウンロードできる立場にあったから、それをダウンロードして公開した人」と言う事しかわかりませんでした。
そしてその行為だけなら、軽薄な自己顕示欲や、売名目的でやる人がいても全然不思議ではありません。
更にこれが結果国民の利益になったとしても、やはり公務員がこのような形で情報公開をする事を、只々安易に礼賛だけするのにもためらいがありました。

http://yomo-uni.iza.ne.jp/blog/entry/2158759/

結果的には、ビデオ流出“犯”の一色正春元海上保安庁職員は、停職12カ月の懲戒処分となり、依願退職した。国家公務員法(守秘義務)違反容疑で書類送検されるも、起訴猶予となって幕引きが図られた。
玉虫色ともいえる結末である。
一色氏は次のように主張している。

「あの海で何が起きているか知ってほしかった。『これがほんまのことや、どうぞ見てください』と。どういう意見を持つかは国民の自由です。その上で国としてどういう方向に行くか考える。それが民主主義というものでしょう」。元保安官は「44分全部を見てほしかった」と何度も強調した。CNNならテレビニュースとは別に、全編をネットで流してくれると思っていた。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110222ddm041040084000c.html

時を同じくして、ウィキリークスが大きな話題となった。
政府が封印した映像をネットに流し、結果的に窮地に追い込む。構図はそっくりである。
ルールは絶対に守るべきか。それとも、場合によってはルールは破っても許容されるのか。

日経ビジネスオンライン110223号の「熱血!会計物語 ~社長、団達也が行くseason2」というシリーズの『第19話「ルールに基づいていれば免責される。ルール主義では経営者は考えようとしない」』をみてみよう。

「ルールに基づいていれば免責される。これがルール主義だ。ルール主義の下では、経営担当者は考えようとはしないんだ。ルールに違反していないことだけを考える。そんなことでは、専門家といえるだろうか」

会計のルールの話であるが、一般論として考えるべき問題であろう。
分岐点は、「ルールを破っても可なり」と言い切れるまで考えたか否かではないか。
なお、尖閣ビデオについては、考えるまでもなく公開すべきものであると思う。
つまり、一色氏は犯罪者ではなく、義士である。

ぎし【義士】
  {文章語}正義を守る人・武士
パーソナル現代国語辞典より引用

罰せられるとすれば、基準が曖昧なまま公開を拒んできた政府の責任者である。

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