« 民主党政権と詐欺師/「同じ」と「違う」(26) | トップページ | 言葉の軽さが裏付ける首相の真摯さの欠如 »

2011年1月26日 (水)

TPPとタノカンサア(田の神さま)

昨日の日本経済新聞の文化欄に、吉村安弘さん(農業)の、「田の神さまごゆっくり-奥能登の「あえのこと」、食事や風呂でもてなす神事」と題する文が掲載されていた。
「あえ」はもてなし、「こと」は祭事の意味である。
毎年12月5日から2月9日まで、田んぼの神さまが各戸に滞在するとみなす行事をいう。

この記事を目にして、もう何年も前のことになるが、鹿児島で仕事をする機会があった時、地元出身の社員が、突然「タノカンサアがいる」と声を上げたのを思い出した。
私の生まれ育った地域は典型的な農村であったが、家は農家ではなかったので実際の農業の様子は詳しくは知らなかった。
私の故郷でも同様のことが行われていたのだろうか?
記憶を辿ってみても田の神さまをもてなすような神事、風習はなかったように思う。

鹿児島の「タノカンサア」が何を意味するのか、もちろん分からなかった。
鹿児島弁は、私の育った東海地方とも、学生時代を過ごした関西とも異なり、独特の響きを持っている。
アクセントも違うが、語彙そのものが異なっている。
例えば、「てげてげ」。
解説をみると、「テゲテゲ…いい加減、手抜きをするの鹿児島弁」とある。
私のライフスタイルにぴったりだったので、お気に入りの一語となった。

「タノカンサア」は、「田の神さま」のことだと教えられた。言われてみれば理解できる。
例えば下の写真である。

Photo
鹿児島の田圃のあぜみちなどを歩いていると、タノカンサア等とよばれる石像をよく見かけます。
田の神は全国どこでも抽象的には信仰されているが、それが石像として、田圃の畔などにあるのは、鹿児島を中心とした旧島津藩領の薩摩地方・南九州の一部だけです。県内に2000体はあるようです。
18世紀ごろから建立されて、燈篭(つろ)と同じように郷村制度が影響しているようです。
根本は五穀豊穣を願い、収穫感謝や庶民のレクレーションも兼ねていたようです。
廃仏毀釈や、タノカンオットイ(追っ取い)で欠けたのか首無し手無し鼻無しも多くあります。
古老に田の神の場所を聞いても、目の前にあっても知らぬと言われた事も何度もあります。
よその集落の田の神をかっぱらってくる風習もありました。勿論大事にして返すのですけれど。
地蔵・武士・旅僧・踊り・仏像などの色んな型があります。代表的には茶碗を持ち、反対側は飯げを持ったのが多いようです。

http://www3.ocn.ne.jp/~nansatu/tanokan.html

日本の稲作がどのようなルートで伝播し、いつ頃から行われているのかは定かではない。
かつては弥生時代だと考えられていたが、縄文時代にも行われていたらしいし、弥生時代の始まりも遡るようだ。
いずれにせよ、日本人の生活・風土に密着したものであることは間違いない。
私自身はずっと工業もしくは情報産業に身を置いてきたものであるが、TPPの問題にしても、農と工を対立的な図式のままに「開国」すると、禍根を残すことなるのではないかと心配している。

|

« 民主党政権と詐欺師/「同じ」と「違う」(26) | トップページ | 言葉の軽さが裏付ける首相の真摯さの欠如 »

ニュース」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/395349/38617611

この記事へのトラックバック一覧です: TPPとタノカンサア(田の神さま):

« 民主党政権と詐欺師/「同じ」と「違う」(26) | トップページ | 言葉の軽さが裏付ける首相の真摯さの欠如 »