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2011年1月15日 (土)

何が不条理なのか?

「不条理」という言葉が流行しそうな雰囲気である。

ふ‐じょうり【不条理】‥デウ‥
道理に反すること。不合理なこと。背理。
(absurde フランス)実存主義の用語で、人生に意義を見出す望みがないことをいい、絶望的な状況、限界状況を指す。特にフランスの作家カミュの不条理の哲学によって知られる。
広辞苑第六版より引用

私くらいの年代だと、上記の解説にあるように、カミュの『異邦人』などが先ず頭に浮かんでくるのではないだろうか?
発端は、菅首相の年頭の記者会見での発言であった。
今年を「平成の開国元年」とすること、最小不幸社会を目指すこと、不条理を正す政治を行うことの3点が目指すべき国の在り方だ、と抱負を表明した。
文言としては別に異論を言うようなことではない。
「不条理を正す政治」というのが、もっぱら小沢一郎氏を追い落とす意味であっても、とやかく言うつもりはない。

しかし、内閣改造という具体的な形が不条理を正すための体制なのかということになると、首を傾げざるを得ない。
関係者からもいろいろな声が聞こえる。
先ずは、与謝野氏と競合する立場の海江田万里氏だ。

海江田万里経済財政担当相は14日、閣議後の記者会見で、衆院東京1区で激しく議席を争ってきた与謝野馨元財務相が、自身の後任の経財相に内定したことに、「人生は不条理だと思う」とぶぜんとした表情で述べ、不快感を示した。
海江田氏は「選挙で戦う際は有権者に選択肢を示すので、当然政策に違いはあった」と述べ、民主党政権との政策の違いを指摘。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/110114/stt1101141106001-c.htm

早くも閣内不一致のムードである。そうまでして与謝野氏を遇する菅首相の意とは何か?
衆目の一致した見方は、増税路線の明確化、財務省シフトであろう。
「研幾堂の日記」というブログでは、「与謝野入閣の尋常ならざる異常性」として、次のように書いている。

与謝野馨代議士には、数年前から、財務省からの強い支持があり、雑誌等には、財務官僚が与謝野を総理にしてみせると発言したなどと書かれていたりもしており、今回の入閣もまた、財務省の強い後押しがあったことが、十分に推測されるからである。
与謝野代議士の入閣が、菅内閣をして、消費税増税に向けて強化するのはもとよりも、官僚の強い意向によって、大臣が押し込まれてくる組閣などというものは、恐らく、近代日本の内閣制度史でも、これが初めてのことではないだろうか。
http://d.hatena.ne.jp/kenkido/20110113

当然のことながら、与謝野氏と菅首相の行動は、各界から批判を受けている。

自民党の谷垣禎一総裁は「与野党の信頼関係を一顧だにしていない。(自民党比例で当選したのだから)議員辞職して民間人として内閣に入るのが通常の道義感」と批判。公明党の山口那津男代表も、“与謝野呼び水理論”を「勝手な思いこみだ」と一刀両断した。
・・・・・・
福島瑞穂党首は「与謝野氏と財務省、首相官邸、三位一体で消費税をきっちり上げるシフトを組んだ。菅さんは何を考えているのか」と批判した。
・・・・・・
渡部恒三最高顧問は、「(他党から)参院議員を3人ぐらい連れてくるなら『菅君はいい人事をした、与謝野君ありがとう』と言うが、衆院は足りている。本当に意味のない人事だった。間違っている」とこきおろした。さらに、与謝野氏自身についても「政権を失った途端に自民党を出て、今度は民主党(政権)で入閣するなんて卑しい」とまで述べたのだ。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110115/plt1101151521003-n1.htm

自民党の石原幹事長は15日、菅第2次改造内閣で入閣した与謝野経済財政担当相について、2009年の衆議院選挙では自民党の比例代表で復活当選したことを指摘し、「民主党に行くなら議員バッジを外すべき」と議員辞職を求めた。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00191269.html

自民党の山本一太参院政審会長は15日午前、TBSの番組で、菅再改造内閣で入閣した与謝野経済財政相について、「民主党政権では日本は崩壊するという本を書いたばかり。(通常国会の)最初から問責決議案を出したい閣僚だ」と述べ、参院での問責決議案提出に前向きな姿勢を示した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110115-OYT1T00360.htm

西岡武夫参院議長は14日夜、与謝野馨氏の入閣について「これはちょっとおかしい。内閣総理大臣が不条理なことをした」と述べ、菅直人首相を批判した。都内で記者団に語った。
西岡氏は、一昨年の総選挙で与謝野氏が自民党から出馬し、海江田万里経済産業相と同じ選挙区で議席を争ったことを踏まえ、「民主党と戦った方が入閣するのは、民主党で当選された海江田さんはたまらないでしょう」とも語った。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/110114/stt1101142317015-c.htm

それぞれもっともな意見だと思う。
与謝野氏が国会議員の身分を得ているのは、与謝野個人への支持ではなく、自由民主党への支持であると言ってもいい(比例区での復活当選)。
自民党関係者が議席を返せといいたくなるのも当然だし、渡部恒三氏ならずとも「卑しい」と思う。
菅首相は、政党政治を否定する気だろうか?

与謝野氏と共にたちあがれ日本の共同代表である平沼赳夫氏は、首相を務めた平沼騏一郎の養子であるが、平沼騏一郎が、1939年の独ソ相互不可侵条約の締結を受け、「欧洲の天地は複雑怪奇」という声明とともに総辞職したことは有名である。
その故事に倣えば、「民主党の事情は複雑怪奇」とでもいうことになろうか?

「不条理=道理に反すること」をしているのは、菅首相ご本人ではないのかと問いたい。

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コメント

政治家は、政党の内紛に身をゆだねてよいものか。
議員は、自分自身の政治哲学は持ち合わせていないのか。
内閣の首班指名を何回繰り返しても結果は同じ (低級) になるのではないか。
標本を抽出する母集団の質の問題を考えることなく総理の首を何回挿げ替えても、結果は賽の河原の石積みのようなものになるのではないか。

たとえ主義主張が違っていても、大切な政治問題を解決するときには、お互いに力を合わせなくてはならない。
アメリカとソ連は力を合わせて日本を敗戦に追い込み一件落着とした。
大きな政治問題を解決するためには、政治家は小異を捨てて力を合わせなくてはならない。
個人の力ではどうにもならない現実の内容を、大局的見地から政治的に判断して変えるのが、偉大な政治家の役割である。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

投稿: noga | 2011年1月16日 (日) 10時10分

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