民主党の政治主導とは何だったのか?
菅内閣は、マニフェストに掲げた「政治主導」の旗を降ろすことにしたらしい。
「政権交代」と銘打った2009年総選挙用のマニフェストには、その最初に「5原則」を挙げている。その1~3は以下の通りである。
これらの原則を政治主導といったのではないのか。
念のためマニフェストの意味は以下のようである。
日本では、選挙においては政党の選挙公約の声明(書)において英語のマニフェストがよく使われたことからこの意味に限定されていることが多く、有権者に政策本位の判断を促すことを目的として、政党または首長・議員等の候補者が当選後に実行する政策を予め確約(公約)し、それを明確に知らせるための声明(書)との意味になる。この場合のマニフェストは「政策綱領」「政権公約」「政策宣言」「(政治的)基本方針」などと訳すことが多い。しか
し、この用法は「選挙ごとに、政治の基本政策・基本理念が変わる」ことを意味する結果となることから、「選挙公約」、「(政治的)基本方針」とすることが適当であるとの論点もある。
Wikipedia110112最終更新
要するに、「こうするから政権交代を」 と約束したのである。
わたしとて、杓子定規に一言一句違えずに実行せよ、などと言っているわけではない。
実際の状況に応じて柔軟に対応すればいいと考えている。
しかし、その場合にも国民が納得できるような説明をしてもらいたいとは思う。
尖閣諸島での中国漁船衝突事件に一定の区切りがついた。
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡るビデオ映像流出事件で、東京地検は21日、国家公務員法(守秘義務)違反容疑で書類送検された第5管区海上保安本部の一色正春・元海上保安官(44)=退職=を不起訴処分(起訴猶予)とした。また那覇地検は同日、公務執行妨害容疑で逮捕、送検後に釈放された中国漁船の〓其雄(せんきゆう)船長(41)を同様に起訴猶予とした。これにより一連の事件の捜査は終結した。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110122ddm001040085000c.html
捜査は終結したとしても、私たちが知りたいことは残されたままだ。
第一に、中国人船長釈放の判断、政府はどう係ったのか?
菅直人首相は21日夜、中国漁船衝突事件とビデオ映像流出事件で、中国人船長と元海上保安官がそれぞれ不起訴処分(起訴猶予)となったことについて「検察当局が判断したものと理解している」と述べるにとどめた。官邸で記者団に語った。菅首相は21日、記者団に3回見解を問われたが、「検察当局の判断」と繰り返した。【宮城征彦】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110122ddm001040168000c.html
この案件を主導しないで、何を政治主導しようと言うのだろか?
菅内閣は、この件に関しては一貫して無責任だった。
今回の件に対して、筆者は、「政治介入」の有無を問題視する立場を取らない。むしろ逆だ。多くの外交専門家が指摘するように、政府がこの問題に一切介入せず、官僚任せにしてしまったことに危険性を感じている。
極端にいえば、指揮権を発動してでも、政治は介入すべきだったと考える。そもそも民主党は、官僚任せの政治から脱却して、「政治主導」を党のテーゼにしているのではなかったか。
http://diamond.jp/articles/print/9560
ジャーナリスト上杉隆氏の言であるが、大多数の国民の声ではないだろうか。
第二に、衝突ビデオはなぜ公開されないのか?
噂の中には、海保職員に中国人が直接的kに暴力をふるう様子が映っており、公開すればビデオ流出犯(?)支持の世論が高まることを避けるため、というようなものもある。
そんなことはあるまいと思うが、噂が立つこと自体問題ではないか。
菅首相はタイミングを合わせたかのように、次のような発言をしている。
菅直人首相は21日午前、内閣改造を受け各省事務次官らを首相官邸に集めて訓示し、民主党が掲げる政治主導について「現実の政治運営の中で反省なり、行き過ぎなり、不十分なり、いろいろな問題があった」「いい形の協力関係をお願いしたい」と述べた。
http://www.asahi.com/politics/update/0121/TKY201101210126.html
官僚に白旗を掲げたということか。
であるならば、国民に自らの誤りを謝罪し、下野すべきであろう。
それとも、マニフェストは鳩山内閣のものであって、自分は関係ないというつもりなのだろうか。
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