「サトウの切り餅」と 越後製菓の特許/「同じ」と「違う」(24)
「切り餅」に関する特許争訟で、「サトウの切り餅」(佐藤食品工業(新潟市))は、越後製菓(新潟県長岡市)の特許権の侵害には当たらない、との判断が東京地裁より下された。
判決などによると、越後製菓は二〇〇二年十月、切り餅の側面に溝状の切れ込みを入れる発明を特許出願。発明により、焼き途中での膨らみによる内部の吹き出しを防ぎ、焼いた後の見た目が損なわれない餅を実用化、〇八年四月に特許登録した。
佐藤食品は側面だけでなく上下面にも切り込みが入った餅を開発し、〇三年七月に特許出願、〇四年十一月に特許登録した。越後製菓は〇九年三月、特許権を侵害されたとして提訴していた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010120102000025.html
業界2位の越後製菓は、切り餅をふっくら焼き上げるために餅の側面に切り込みを入れた。
サトウの切り餅は、側面に加え上下の面にも切り込みを入れた。
東京地裁の判断は、越後製菓の特許が、「底面、上面ではなく、側面の切り込み」となっていることから、「サトウの切り餅」は特許侵害にならないとした。
これに対し、越後製菓側は、「底面、上面ではなく」の文言は、単に「側面の切り込みが必須」であることを説明している過ぎないと主張していたものである。
東京地裁の判断は、「二社の特許は、切り込みが入っている部分が異なっており、それぞれ別の特許だ」とした。
図は、http://www.asahi.com/national/update/1130/TKY201011300477.html
越後製菓側が控訴するかどうかは今後の問題であるが、第三者的にみると、やや越後製菓に気の毒なような気がする。
というのは、切り込みは餅が膨張して横にはみ出すのを防ぐための工夫であり、それに対し特許権が成立している。
私の理解では、側面に切り込みがあることが必須条件であり、上下面の切り込みは補助的なものであろう。
東京地裁のように裁定するためには、側面ではない面だけに切り込みを入れたものでなければならないのではないか。
手で割れる等、訴求する効果が違うのであれば、話は別だ。
ちなみに、越後製菓の特許の文言は以下のようである。
角形の切餅や丸形の丸餅などの小片餅体1の平坦頂面や載置底面ではなく上側表面部2の側周表面2Aに、周方向に長さを有する若しくは周方向に配置された一若しくは複数の切り込み部3又は溝部を設けた餅。
「たかが切り餅、されど切り餅」といったところであろうか。
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