菅内閣における「熟議」と「有言実行」の不存在
菅首相は、民主党の代表選で、「『熟議』の民主主義で難局を打開する」と標榜した。
「熟議」とは、漢字で表わせば意味は分かるが、一般にはあまり使われない言葉ではないか。
辞書で確認すると、次のようである。
じゅく‐ぎ【熟議】
よくよく評議すること。
広辞苑第六版(する)十分に議論すること。deliberation
パーソナル現代国語辞典
さて、先に閉会した第百七十六臨時国会で「熟議」はなされたのだろうか?
その効果は?
菅政権として初の本格論戦の舞台だったが、沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐる対応のまずさや閣僚の失言続きで野党が対決姿勢を強め、法案審議は停滞。新規と継続を合わせた政府提出の一般法案の成立率は37・8%にとどまった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010120402000039.html
要は、法案の成立率が低いのは、「熟議」の結果というよりも、内閣の失敗に原因がある、というのが大方の見方だろう。
また、菅首相は、改造内閣を「有言実行内閣」と命名した。
しかし、実際は喫緊の課題を先送りして「逃げ菅」などと呼ばれている状態である。
例えば、米軍普天間飛行場移設問題である。
沖縄県知事選の結果を受け、再選された仲井真知事と2日に会談している。
⇒2010年12月 3日 (金):沖縄にとっての大和/やまとの謎(11)
現時点では、仲井真氏は、移設を容認することはできない立場である。
速やかに沖縄を訪問することが必須だろうが、閣僚間の足並みの乱れと沖縄県側の難色で先送りとなった。
私は、そう簡単に解決する問題ではないと思う。
しかし、先送りすることによって、問題解決の展望が開けてくることはあり得ず、ますます困難化することは確かだ。
「熟議」と「有言実行」は、単なる思い付きの域を出ないということなのだろう。
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