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2010年11月20日 (土)

仙谷官房長官がまたもや失言?

柳田法務大臣が舌禍問題で進退窮すという状態らしい。
本人は、「何で俺が法務大臣に・・・・・・」といった位だから、参議院の問責決議案が可決される前に辞めたがっているという。
さらし首は御免蒙りたいといった心境だろう。
私など、一刻でも早く辞めさせたらどうだろうか(辞任ではなく罷免である)と思うが、党内事情はそうもいかないらしい。
馬淵国交大臣や仙谷官房長官に飛び火するのを恐れてのことだという。

確かに、1人の問責が可決されると、参議院の議席状況からして、ドミノ倒しにんるだろう。
何しろ、この内閣の失言は、問責の材料に事欠かない。
たとえば下表を見ればいい。
Photo_2
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101118-00000119-san-pol.view-000

全員罷免すなわち内閣総辞職も選択肢に加えてもらいたいと思うがそんな風にはいかないだろう。
民主党には、蓮舫大臣をはじめ、総理の座に意欲的な方がいらっしゃる。

「総理という選択肢も私の中では否定していません」とも言ったそうである。総額130万円以上のスーツに身を包んだ総理大臣が、「国民の生活が第一」と言ったらお笑い種である。
http://blogs.yahoo.co.jp/nipponko2007/36393307.html
折も折、である。
仙谷官房長官の発言が問題視されている。
仙谷由人官房長官(64)が18日午前の参院予算委員会で、自衛隊を「暴力装置」と表現した。「国会答弁は2つ覚えておけばいい」発言の柳田稔法相(56)に続く、閣僚の失言。仙谷氏は陳謝して撤回したものの、政権の内部崩壊は止まりそうにない。
仙谷氏は公務員の政治的中立について、自民党の世耕弘成参院議員(48)から質問を受け「暴力装置でもある自衛隊、ある種の軍事組織だから特段の政治的な中立性が確保されなければならない」と発言した。議場はどよめきとヤジの嵐。世耕氏から抗議を受けた仙谷氏は「実力組織」と言い換え「不適当だった。自衛隊のみなさん方には、謝罪します」と語った。
午後には菅直人首相(64)も、この件で謝るハメに。自民党の丸川珠代参院議員(39)から「自衛隊の最高指揮官として謝罪すべき」と突き上げられ「自衛隊の皆さんの、ある意味プライドなどを傷つけることになり、おわびしたい」と陳謝。終了後は仙谷氏に対し「以後、気をつけるように」と注意した。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20101119-OHT1T00026.htm
菅首相が注意する立場に、というよりも資格があるかどうかは別として、今の状況においてこういう表現をしたのは、それこそKY(もはや死語のようであるが)であろう。
しかし、あえて仙谷氏の擁護をするならば、この発言は単に「自衛隊は軍隊だ」といったに過ぎない。
自衛隊が軍隊であるか否か。
憲法9条を読む限り、日本国は軍隊をもてない(もたない)ことになっている。
だから、自衛隊は軍隊ではない。
そうも言えるだろう。
しかし、仙谷氏の発言をそういう意味で批判した人は僅かだと思われる。
30代の男性航空自衛官は「官房長官たる人がいくら撤回したとはいえ思想の中で『暴力装置』だと思っていることが非常に残念。(謝罪をして『実力組織』と)言い換えても思っていることに変わりない」と怒りをあらわにした。
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1290078517/-100
元航空幕僚長の田母神(たもがみ)俊雄氏は「自衛隊に対する仙谷氏の本音だろう」とした上で、「本来、自衛隊は国民のためにあり、国民を守る組織。そのことをしっかり本音で認識していないからこそ『暴力装置』といった言葉が出てくるのだろう」と話した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101118/plc1011181849018-c.htm
これらの批判者は、「暴力」「装置」といった言葉に反応しているようである。
たしかに、辞書を見ると、下記のように説明されている。
ぼう‐りょく【暴力】
乱暴な力。無法な力。なぐる・けるなど、相手の身体に害をおよぼすような不当な力や行為。

広辞苑第六版より引用
この意味ならば、暴力団と同じ用例だから、明らかに不適な発言であったと言わざるを得ない。
しかし、仙谷氏とて、そういうつもりではないだろう。
おそらく、次のような語感で言ったのだと思う。
ぼうりょく‐かくめい【暴力革命】
武力によって遂行される革命。平和革命。

広辞苑第六版より引用
つまり、武力を用いるか否かの違いである。
軍隊は武力を持ってこそ意味がある。だから、自衛隊の有する暴力とは、自衛隊は武装集団である、ということを言っているに過ぎない。
もう一つは、人間の集団を「装置」だなんて・・・・・・。
装置は、一般的には機械などの人工物でできているものを指す。
梅棹忠夫さんによれば以下の通りである。
装置群とは、具体的な器物や構築物のほかに、諸制度あるいは組織をもふくめることができるであろう。つまり、人間が人工的につくりだしてきたすべてのものである。
2009年4月14日 (火):文明の情報史観
「諸制度や組織をもふくめることができる」としているのは、さすがである。
辞書でも次のように説明している。
◆イデオロギー的国家装置(ideological state apparatus)
〔文化 > 哲学・思想 > △現代思想の基礎語〕
フランスの思想家アルチュセールの概念のひとつ。国家はその権力の行使のために二重の「装置」(一度つくられると変更が困難なもの)を用いる。ひとつは、政府機関・裁判所・軍隊など、権力を直接に行使するもので、「抑圧的国家装置」と呼ばれる。これに対して、教会・学校・家庭・マスメディアなどは、権力が間接的に行使されるものとして、「イデオロギー的国家装置」と呼ばれる。アルチュセールはこの装置の「呼びかけ」が主体をつくると考えた。

現代用語の基礎知識2010年版より引用
アルチュセールも「軍隊」は国家の「装置の1つ」と言っている。
だから、自衛隊を軍隊として認める以上、「暴力装置」というのは間違いとはいえない。
日頃の強弁ぶりとは打って変わって、低姿勢のようだが、「坊主憎けりゃ袈裟まで・・・・・・」というような応答ではなく、国民がどういう不安感を持っているかに心していただきたい。
その不安感が払拭されない限り、景気対策の効果はないと考えた方がいい。

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ものには限度というものがあるのでは。石破茂自民党政調会長さん。20日札幌市内の講演で息巻いたらしい。不信任、問責両決議案の対象者は柳田稔法相だけでは事足りないと。 [続きを読む]

受信: 2010年11月21日 (日) 09時20分

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