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2010年10月 2日 (土)

再び問う、「クリシンはどこへ行った?」

大阪地検の前田主任検事のFD改竄事件は、前特捜部長と副部長が逮捕されるという前代未聞の展開になった。
特捜部といえば、最強の捜査機関として知られる。

独自の捜査権限を有している検察庁の中でも、大規模事件など、集中的に捜査を行う必要がある案件に取り組む機関として存在している。検事(副検事)のほかに検察事務官により構成されている。
政治家汚職、大型脱税、経済事件を独自に捜査する。一般的な刑事事件は警察による捜査および被疑者の逮捕が行われるが、この類の事件では最初から特捜部が捜査・摘発する場合が多い。
1947年に東京地検特捜部が発足したのが最初。1957年に大阪地検特捜部が発足し、東京・大阪の2特捜部態勢が続いていたが、1996年に名古屋地方検察庁にも特捜部が置かれ全国で3特捜部の態勢となっている。

Wikipedia101001最終更新

その最強の捜査機関が、郵便不正事件では完全敗訴しただけでなく、捜査を直接指揮した主任検事が証拠改竄容疑で逮捕されたうえに、主任検事の意図的な証拠改竄を知りながら隠蔽したとして、当時の部長、副部長が逮捕された。
⇒2010年10月 1日 (金):故意と過失/「同じ」と「違う」(16)
逮捕=罪の確定ということではないが、余りにも異常な事態である。

最高検の調べによりますと、大坪前特捜部長らは、ことし2月上旬に前田検事からデータの改ざんを知らされた際、今後は、故意ではなく誤って書き換えた過失だと説明するよう電話で指示したということです。そのうえで、前田検事にデータ書き換えの経緯を記した上申書を作らせた際にも、過失だったことに矛盾がないよう内容を修正させていたということです。大坪前特捜部長は逮捕前、NHKの取材に対し、「佐賀前副部長を通じて前田検事が『誤って書き換えてしまった』と説明していると聞いたが、すでに正しいデータが裁判に証拠として提出されており、意図的に改ざんする意味がなくわざとではないと判断し、検事正に問題ないと報告した。フロッピーディスクを調査しなかったことなど、自分の対応に問題はあり、責任は免れないと思うが、改ざんを隠したということは絶対にない」と話していました。また、佐賀前副部長は「前田検事が証拠を書き換えた問題を隠ぺいしたということはなく、そうした指摘は、自分の記憶や当時、日誌に書き残した記録とも異なる。一連の問題については、当時、すべて大阪地検の上層部に報告していて、『問題はない』とする判断は大坪前特捜部長と2人だけでしたものではない」と話していました。最高検は、データの改ざんが特捜部内で隠ぺいされた経緯などについて捜査を進めることにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20101001/t10014338371000.html

私は、最強の捜査機関としての特捜部は、クリティカル・シンキングの牙城だと思っていた。
クリティカル・シンキング(クリシン)とは、正確で緻密な思考である。
それは、①正しい根拠に基づき、②妥当な推論を行うこと、の上に成り立つ。
⇒2010年9月22日 (水):リシンはどこへ行った?

捜査こそは、まさに「①正しい根拠に基づき、②妥当な推論を行うこと」を実践すべきだろう。
しかし、今回の事件は、捜査の中心である主任検事が、正しい根拠とすべき証拠物件のFDの書き換えを行ったのである。
さらに、それを知っていたはずの上司が、それを隠蔽していた疑いを持たれているのだ。
まさに、特捜部の存亡の秋である。

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