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2010年10月 5日 (火)

「割り屋」と「押し売り屋」/「同じ」と「違う」(18)

厚生労働省の文書偽造事件をめぐる証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部検事の前田恒彦検事は、大阪地検内部で、容疑者から自供を引き出す「割り屋」として評価が高かったという。

前田容疑者が今年1月、捜査の応援に入った小沢一郎民主党元幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる収支報告書虚偽記入事件。元公設第1秘書大久保隆規被告(49)=政治資金規正法違反の罪で起訴=の逮捕6日目から、東京地検特捜部の検事に代わって取り調べを受け持った。
「重要な容疑者の調べに充てるなんて」。東京の検察内部では応援検事の起用を疑問視する声が出たが、東京特捜の幹部は、口の固い容疑者から供述を引き出す“割り屋”としての能力を買ったという。
「そもそも収支報告書の作成にかかわっていなかった」と否認していた大久保被告。被告の周辺関係者は「(前田容疑者は)筋書きに沿わない説明には耳を貸そうとしなかったようだ」と話す。
拘置期限直前に起訴内容を大筋で認める供述調書が作成されたが、公判前整理手続きが24日に始まるのを前に、大久保被告は起訴内容を否認する意向で、「取り調べの中で押し付けがあった」として調書の信用性を争う予定だ。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201009230097.html

前田検事は本当に優秀な「割り屋」だったのか。

平成21年7月16日、東京地裁104号法廷。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部をめぐる詐欺事件の判決で、裁判長の林正彦は検事を名指しで批判する。
「前田検事の証言は信用できない」
大阪に異動する前の19年6月、前田は東京地検特捜部でこの事件を手がけ、詐欺罪に問われた元不動産会社社長、満井忠男(76)=1審有罪、控訴中=の取り調べを担当。自供を引き出した。だが、弁護側は取り調べに「利益誘導があった」と主張。公判で調書の任意性を争った。
「あす裁判所に行く。供述調書はこれでどうだ」
逮捕直後、満井は前田からそういわれた上で、「私がだました」と書かれた調書を見せられ唖然(あぜん)とした。取り調べを受ける前から「認めていないのに『だました』と認める調書ができていた」からだ。満井は「不本意ながらサインをさせられた」と訴えた。
満井の証言通りなら、郵便不正事件で批判された調書の「作文」がすでに行われていたことになる。
満井の弁護人の落合洋司は「前田の調べはストーリーありきで、脅かして利益誘導するのがうまい。真実に向き合う姿勢が感じられなかった」と振り返る。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101003/crm1010030117002-c.htm

検察内部の事情は外部からは見えない。
当然である。捜査の手の内は秘しておかなければ犯罪捜査はできないだろう。
しかし、検察といえども“成果主義”の波が押し寄せていたに違いないと容易に想像できる。
検察にとって、成果とはなにか?

本来は、社会悪を摘発し、社会正義を実現することであろう。
しかし、そのような抽象的な表現では、客観的な評価基準になりにくい。
目に見える指標として、扱っている事案の起訴率、起訴に持ち込んだ事案の有罪率などが採用されることになろう。
結果は?

犯人隠避の容疑で逮捕された大坪前部長も「割り屋」知られた存在だった。

大坪前部長は中央大を卒業し、1984年4月に任官。94年から2005年の間、大阪地検特捜部に4回にわたって在籍した。
関係者によると、95年にオウム真理教事件の捜査で東京に派遣され、サリン生成役として殺人罪などに問われた土谷正実被告(45)=上告中=の取り調べに当たり、自供を引き出したという。
98年には和歌山市の職員採用をめぐる汚職事件で市長の取り調べを担当。関係者がそろって否認を続ける中、翌日に釈放という間際、市長に容疑を認めさせた。本人は「おれが落とすしかなかった。こちらも刺される気で取り調べた」と振り返っていた。

http://news.toremaga.com/nation/nnews/286709.html

おりしも、 小沢一郎民主党元幹事長の資金管理団体の政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会が「起訴議決」とした。
議決の詳細な内容が不明なので今の段階では何ともいえないが、民主党内でも厳しい意見が多いようだ。

菅政権は尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件への対応が批判され、支持率が再び下落したが、小沢氏の処分をあいまいなままにしておけば、世論が一段と離れる可能性もある。
このため、小沢氏と距離を置く議員の間には「最低でも離党、普通なら議員辞職だ」(中堅)との声が浮上。首相に近いベテラン議員は「衆院補選前までに本人が離党するか、党が離党勧告する必要がある。もたもたしてはいけない」と語り、厳しい姿勢で臨むべきだとの考えを示した。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010100400857

小沢氏はもっと説明努力をすべきだと思うが、判決が確定するまでは推定無罪が原則であろう。
いたずらに世論に振り回されても如何なものか。

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