蓮舫氏の大臣適格性を問う
蓮舫行政刷新担当大臣については、尖閣諸島問題への対応について疑問を呈した。
⇒2010年10月 3日 (日):尖閣問題に対する蓮舫大臣の強弁
改めて、蓮舫氏の政治家としての履歴を見てみよう。
Wikipedia101009最終更新より抜粋
・2004年7月、民主党から参議院議員選挙に出馬、当選を飾った。
・2007年9月には、年金問題を担当している民主党の長妻昭からの要請で、ネクスト年金担当副大臣に就任した。
・2009年11月13日、民主党政権下に内閣府が設置した事業仕分け(行政刷新会議)の文部省予算仕分けの際、蓮舫議員は「仕分け人」に任命された。
・2010年6月8日に発足した菅内閣において、国務大臣・内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)に就任。なお6月10日に内閣府にて行われた、就任後初の省庁会見で、会見前の慣例である国旗への一礼を省略した。
・2010年9月17日に発足した菅改造内閣では引き続き内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)に留任し、新たに公務員制度改革担当の担当事項も加わることとなった。
上記のように、参院議員2期目の蓮舫氏が大臣の要職に就いたのは、文部省予算仕分けの「仕分け人」として、一躍名を馳せたからであろう。
この際、次世代スーパーコンピュータ開発の要求予算の妥当性についての説明を求めた発言、「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?」が話題になった。
この発言は、その後修正されかのような印象もあるが、確信的なものであることは、自著のタイトル『一番じゃなきゃダメですか? 』PHP新書(1006)に使用していることでも分かる。
当初から、この言い方については、科学研究者の側から強い批判があった。
例えば、ノーベル化学賞受賞者・野依良治氏は「歴史という法廷に立つ覚悟はできているのか」と反発した。
私は、ノーベル賞受賞者を尊敬するが、だからといって税金の使途に聖域はないと考えるべきだと思う。
ただ、特に基礎科学の分野や芸術の分野などでは、単純な費用対効果分析は馴染まないだろう。
⇒2009年11月30日 (月):「同じ」と「違う」(9)投資と費用
蓮舫氏は、国会での野党の追及やはやぶさなど仕分け対象とした事業での成果が報道されはじめると、2010年6月17日、産経新聞などのインタビューで答えて「(日本が)科学技術の分野で一番を目指す。あるいは他の分野でも一番を目指すのは当然だ」と発言。産経新聞はこれを上記発言を修正したと評した。
しかし、「一番を目指すのは当然だ」というのは、価値観の表明としては無意味だろう。
今年もノーベル化学賞を日本人研究者が受賞した。
⇒2010年10月 7日 (木):日本人研究者のノーベル化学賞を祝す
その1人、鈴木章・北海道大名誉教授は、産経新聞101009で次のように批判した。
「研究は1番でないといけない。“2位ではどうか”などというのは愚問。このようなことを言う人は科学や技術を全く知らない人だ」と蓮舫氏を批判した上で、「日本の科学技術力は非常にレベルが高く、今後も維持していかねばならない」「日本が生き残るためには付加価値の高いものを作り、世界に使ってもらうしかない」「科学や技術を阻害するような要因を政治家が作るのは絶対にだめで、日本の首を絞めることになる。1番になろうとしてもなかなかなれないということを、政治家の人たちも理解してほしい」と、強く批判した。
考えるべきは、もう1人の受賞者の根岸英一氏や2008年の受賞者の下村脩氏が、日本人研究者ではあるものの、「アメリカの」研究者であることだ。
2人共に、対象の研究を行ったのは日本ではなく、アメリカにおいてである。
日本には彼らの望む研究環境がなかったことを示している。
単に「一番を目指すのは当然だ」というのではなく、具体的に科学技術を育成していく環境をどう整備していくかを論じるべきだろう。
若者が理科離れしていると聞いて久しい。
蓮舫氏の「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?」という言葉には、研究者に対するrespectの念が感じられないのである。
尖閣諸島についての発言は、Wikipediaにも取り上げられている。
2010年9月14日の閣議後の記者会見で、尖閣諸島付近で起きた海上保安庁の巡視艇と中国籍の漁船の衝突事故に関連し、尖閣諸島について「領土問題であるから日本は毅然と対応する必要がある」と述べ、「東シナ海に領土問題は存在しない」とする政府の見解とは異なる見解を示したが、同日午後に「尖閣諸島は歴史的にも国際法上もわが国固有のものだ」と発言を修正した。
発言を修正してはいるものの、内閣の対応を「ベスト」としているのは疑問である。
また、ファッション雑誌の写真撮影を国会内で行って、問題となっている。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/448743/
西岡武夫参院議長は7日、蓮舫行政刷新担当相を国会内に呼び、ファッション雑誌のため国会議事堂内で写真撮影にじ応じたのは不適切だとして口頭で注意した。7日の参院議院運営委員会理事会でもこの問題が取り上げられ、野党は「撮影許可の基準を満たしていない」と批判した。
雑誌は「VOGUE NIPPON」11月号。巻頭特集として、国会内でポーズをとっている蓮舫氏の写真を掲載。同誌のホームページでは「国会議事堂でのファッション撮影を敢行!」などと記されている。
参院事務局によると、議事堂内での撮影は議員活動にかかわる場合は認められているが、私的な宣伝か営利目的に当たる行為は許可していないという。
蓮舫氏側では、事前に撮影許可願を衆院事務局に提出しているとのことであるが、果たして議員活動にかかわるものといえるのかどうか。
何かと話題の多い人である。
人気の高い証拠ともいえようが、大臣は人気ではなく識見や実績を重視して選任して欲しいと思う。
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