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2010年10月 1日 (金)

故意と過失/「同じ」と「違う」(21)

郵便不正事件の捜査に絡んで、大阪地検特捜部の主任検事・前田恒彦容疑者(43)が、押収したフロッピーディスク(FD)のデータを改竄したとして証拠隠滅容疑で逮捕された事件は、前田容疑者が故意に改竄したとの供述を始めた、と報道されている。

郵便不正事件に絡む証拠改ざん事件で、証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者(43)が、最高検の調べに対し、証拠品のフロッピーディスク(FD)のデータを「故意に書き換えた」と容疑を認める供述をしていることが関係者の話で分かった。前田検事は「(当時の)特捜部長と副部長にも伝えたはずだ」とも述べているといい、最高検は改ざんの動機や上司への報告内容を詳しく調べている。
故意にデータを改ざんしたことを知りながら隠ぺいした場合は、犯人隠避罪に問われる可能性があるが、大坪弘道前特捜部長(現京都地検次席検事)と佐賀元明前特捜部副部長(現神戸地検特別刑事部長)は、最高検の聴取に「過失だと認識していた」と説明し、前田検事の供述と食い違う認識を示している。最高検は、改ざんを「過失」として処理した前部長らの対応について刑事責任を問えるかどうか、慎重に調べを進めている模様だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100930-00000011-mai-soci

前田容疑者は、村木厚子厚生労働省元局長の逮捕前に、改竄前のFDが事件の構図と矛盾することを同僚から指摘されていたらしい。
とすれば、故意も故意、確信犯ということになる。
⇒2010年9月22日 (水):クリシンはどこへ行った?

大阪地検特捜部検事による証拠改ざん事件で逮捕された前田恒彦容疑者(43)が、郵便不正事件で村木厚子厚生労働省元局長=無罪確定=を逮捕する前に、同僚の指摘を受け、フロッピーディスク(FD)に記録された最終更新日が検察側が描く構図と食い違うことに気付いていた可能性の高いことが30日、検察関係者の話で分かった。日付の矛盾は、弁護側が指摘するまで、特捜部長ら上層部に伝えられなかった。
主任検事だった前田容疑者が、無実であることを示す有力な証拠があることを隠して、村木氏を逮捕した可能性が浮上した。最高検は、データ改ざんの動機につながるとみて、経緯を調べている。
郵便不正事件で特捜部は、村木氏が同省元係長上村勉被告(41)=公判中=に対し、2004年6月上旬に証明書発行を指示したとの構図を描いて捜査。昨年5月26日に上村被告を逮捕して偽の証明書が保存されたFDを押収し、6月14日には村木氏を逮捕した。
検察関係者によると、上村被告の取り調べを担当した同僚検事は、FDを押収した直後に、FDに残された「2004年6月1日」という偽証明書の最終更新日が、特捜部の構図と矛盾することに気付き、主任検事だった前田容疑者に告げたという。
しかし、前田容疑者は特捜部長らに矛盾について報告せず、村木氏の逮捕は許可された。同僚検事は構図に沿って「6月上旬に指示を受けた」という趣旨の上村被告の供述調書を作成した。FDの日付は、村木氏の取り調べを担当した検事にも伝えられなかった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100930-00000174-jij-soci

前田容疑者が「故意」で改竄したかことを、上司の部長と副部長に報告していたか否かは、問題の性格を変えてしまう影響力持つ。
事件が、前田容疑者の個人レベルのものから、特捜部という組織の問題になるからだ。

前田容疑者が故意の改ざんを大坪前部長らに報告したことが捜査で裏付けられた場合、大坪前部長らがFDの調査など積極的に解明を図らず、小林敬・検事正らに「故意ではなく問題ない」と伝えた行為が犯人隠避罪にあたる可能性も出てくる。同罪の法定刑は、懲役2年以下または20万円以下の罰金。相手が罰金刑以上の罪を犯したことを認識した上でかくまったり、逃走資金を援助するなどして摘発を免れさせたりした場合に適用される。
201009308400851n_21999年に摘発された神奈川県警の覚せい剤もみ消し事件では、県警本部長(当時)が、現職警官による覚せい
剤使用をもみ消すよう指示。県警幹部らが、尿から覚せい剤成分が検出されなくなるまで警官をホテルにかくまったり証拠品の注射器を廃棄したりして事件を隠蔽し、同罪で5人の有罪が確定した。
今回のFD改ざん疑惑が大阪地検内で発覚したのは1月末。同僚検事が前田容疑者から伝えられた。同僚検事は公判担当検事2人とともに佐賀前副部長に報告、前副部長が大坪前部長に報告した。前部長は前副部長に、前田容疑者から改ざんが事実かどうか確認するよう指示した。捜査では、〈1〉前田容疑者が佐賀前副部長に改ざんが故意だったと認めたのかどうか〈2〉大坪前部長らが小林検事正らに事実を矮小化して報告したのかどうか――が焦点だ。

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100930-OYO1T00485.htm?from=top

犯人隠匿罪とは、以下の罪である。

第103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
つまり、罪を犯した者、と認識していたかどうかが成立要件とされる。
前田容疑者の改竄を、故意のものと認識していたか、過失によるものと認識していたか、である。
それにしても、不可解なじけんである。

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コメント

こんにちは初めてコメントします。

証拠隠滅や犯人隠避罪だけにとどまるのでしょうか。

もし村木氏を無罪だと知りながら送検したとしたら
もっと重い罪になってもいいのではないでしょうか。

投稿: | 2010年10月 5日 (火) 16時06分

コメント有り難うございます。

罪のない者を故意に罰することを「誣」といいますので、一般に「誣告罪」といわれる罪に相当するのではないかと思います。

刑法第172条(虚偽告訴等)
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
刑法第173条(自白による刑の減免)
前条の罪を犯した者が、その申告をした事件について、その裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

投稿: 管理人 | 2010年10月10日 (日) 06時11分

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