第6次産業の可能性
奈良への小旅行では、たくさんのお寺と仏像を拝観し、人並みに心を洗われた気がした。
風景としては、やはり明日香村のたたずまいに心惹かれる。
特に、棚田の風景は、明日香村に限らず癒しを覚えるのではなかろうか。
棚田といえば、静岡県の松崎町で、10月22,23日の両日にわたって「全国棚田サミット」が開催された。
http://www.town.matsuzaki.shizuoka.jp/FMPro?-db=m_faq_02.fp5&-lay=web&-format=p03.html&-script=NO&-max=all&-sortfield=NO&NO=2109&-find
全国の棚田保全組織などが集まってつくる「第16回全国棚田(千枚田)サミット」が22日、静岡県立松崎高校(松崎町櫻田)などで始まった。県内で開催されるのは初めてで、この日は川勝平太・県知事による基調講演も行われた。
川勝知事は棚田について、「われわれの先祖が手をかけて作り、守ってきた棚田は日本の、静岡の宝であり、これからも守っていかなければならない」と話すと、会場を埋める約1300人の聴衆から大きな拍手が起こった。
http://sankei.jp.msn.com/region/chubu/shizuoka/101022/szk1010222026011-n1.htm
写真で見るように、松崎町の石部地域の棚田も有名である。
石部の棚田でとれた黒米や赤米などの古代米を使い、富士錦酒造(富士宮市)が焼酎「百笑一喜(ひゃくしょういっき)」を売り出している。
年間1万5千本を売り切るという。
古代米は、パン、まんじゅう、うどんなどにも使われている。
静岡県では「一社一村しずおか運動」というものを行っている。
http://www.pref.shizuoka.jp/kensetsu/ke-630/issyaisson/index.html
農村と企業を結んで地域の活性化を目指す運動であり、石部の棚田の活用もその一環として位置づけられている。
この事業で上がる収益は棚田の保全コストを賄うには至っていないが、さらに付加価値を高められる可能性は十分あるだろう。
最近耳にする機会の多い「第6次産業」化である。
農畜産物、水産物の生産だけでなく、食品加工(第二次産業)、流通、販売(第三次産業)にも農業者が主体的かつ総合的に関わることによって、加工賃や流通マージンなどの今まで第二次・第三次産業の事業者が得ていた付加価値を、農業者自身が得ることによって農業を活性化させようというものである。
ちなみに六次産業という名称は、農業本来の第一次産業だけでなく、他の第二次・第三次産業を取り込むことから、第一次産業の1と第二次産業の2、第三次産業の3を足し算すると「6」になることをもじった造語である。(Wikipedia100915最終更新)
第6次産業化によって地域の自立化が図れれば、棚田の景観など市場化されにくいものの価値が保全されることになる。
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コメント
大和の旅・・・楽しめたでしょうか?
>風景としては、やはり明日香村のたたずまいに心惹かれる。
特に、棚田の風景は、明日香村に限らず癒しを覚えるのではなかろうか。
あの棚田の維持にはもう明日香の人々の力だけでは難しくなってきているそうです。そこで、街に住んでいる人にそれぞれの田のオーナーになってもらって、何とかやっているそうです。
初夏には田植え、秋には刈り入れ・・・町から大勢のオーナーさんがやってきて一生懸命取り組んでおられます。
投稿: 三友亭主人 | 2010年10月31日 (日) 11時36分
三友亭主人様
久しぶりに気のおけない人たちと楽しく過ごせました。
街に住む人も原風景の保存に参画する。
「公」のあり方の一つでしょうね。
何でもカンでも市場化という時代ではないのだと感じます。
投稿: 夢幻亭 | 2010年10月31日 (日) 19時37分