熱中症と「災害の階級性」と「『強い社会保障』の実現」政策
「史上最も暑い夏」だという。
気象庁は1日、今夏(6~8月)の全国の平均気温が平年より1.64度高く、1898(明治31)年の統計開始以来最高だったと発表した。特に8月は平年を2.25度も上回った。暑さは9月も続く見通しで、1日も気象庁が観測する921地点中242地点で9月の観測史上最高気温を記録。157地点で35度以上の猛暑日、789地点で30度以上の真夏日となった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100902-00000006-maiall-soci皇居外苑で堀の水の濁りが進み、宮殿に近い二重橋堀などで、普段は緑がかってみえることが多い水が茶色に「変色」している。
![]()
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/100905/imp1009050045000-n1.htm
この夏の記録的な猛暑について、気象庁の異常気象分析検討会は3日、「30年に一度の異常気象」との見解を発表した。日本付近を流れる偏西風の蛇行や今春まで続いたエルニーニョ現象が主な原因という。今後も9月末まで平年より気温が高い状態が続く可能性があるとの見通しを示した。
検討会によると、この夏は梅雨明け後に日本付近の上空を流れる偏西風が北側に大きく蛇行し、太平洋高気圧と大陸からのチベット高気圧の勢力が強まった。さらに、南米ペルー沖で春まで続いたエルニーニョ現象と今夏に新たに起きたラニーニャ現象の影響が重なって、北半球の中緯度地域の空気が暖められたことが記録的な気温の上昇をもたらしたという。
http://www.asahi.com/national/update/0903/TKY201009030466.html
そのため、熱中症によって搬送される人の数も記録的だった。
今年8月の1か月間に、熱中症で救急搬送された人は2万8269人で、昨年同月(6495人)の4倍超に上ったことが、総務省消防庁の調べ(速報値)で分かった。死者数は64人で、昨年同月(8人)の8倍。搬送者数と死者数ともに、調査を開始した2008年7月以降で最も多かった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100903-00000004-cbn-soci
熱中症による死者は増加傾向だ。厚生労働省の人口動態統計によると、1999年から2008年までの10年間に「自然の過度の高温」で3954人が死亡した。69年から78年(658人)の6倍に増えている。
京都女子大学の中井誠一教授(運動衛生学)によると、最近の死者の65~70%は65歳以上のお年寄りで、「体力が弱っていたり、持病などがあったりすると死に至りやすい。冷暖房などに慣れ、気温の急激な変化に対応する力が衰えている可能性もある」とみている。
http://www.asahi.com/health/news/TKY201007220356.html
全国の広い範囲で梅雨明けした7月17日から8月30日までに、熱中症がきっかけとみられる死者が全国で少なくとも496人に上ることが31日、消防や警察、自治体に対する時事通信社の取材で分かった。気象庁の統計で、8月の平均気温がほぼ全国で戦後最高を記録する猛暑となったことが影響した。9月も厳しい残暑が続く見通しで、同庁などは引き続き注意を呼び掛けている。
この死者数は、2004年の新潟県中越地震や台風23号による死者・行方不明者をはるかに上回る。大阪府吹田市が市内4消防署の会議室などを「熱中症シェルター」として市民に開放したほか、栃木県や静岡県がインターネットで熱中症注意を呼び掛けるなど、新たな対策も始まった。日本は長期的な温暖化傾向にあり、猛暑・熱中症対策の強化が望まれる。(2010/08/31-20:02)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201008/2010083100920
異常気象とはいうものの、いまや常態に近い。
⇒2009年8月 5日 (水):今年の夏は、やはり異常気象か?
この事態はもはや災害というべきであろう。
特に、高齢者の比率が高いことに注意すべきだと思われる。
ここでも、生活弱者が犠牲になるという「災害の階級性」の構図が見られる。
私は、鳩山さんから菅さんに首相が交替したとき、「国民の生活が第一」という民主党のスローガンに本気で取り組むのではないか、と期待した。
世襲政治家のお坊ちゃんよりも、市民運動家の方が生活感覚があると思ったからである。
首相就任時の所信表明演説でも、次のように言っている。
現在まで続く閉塞感の主たる要因は、低迷する経済、拡大する財政赤字、そして、信頼感が低下した社会保障です。新内閣は、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の一体的実現を、政治の強いリーダーシップで実現していく決意です。
……
こうした施策に加え、今、私が重視しているのは、「孤立化」という新たな社会リスクに対する取り組みです。
……
人は誰しも独りでは生きていけません。悩み、くじけ、倒れたときに、寄り添ってくれる人がいるからこそ、再び立ち上がれるのです。わが国では、かつて、家族や地域社会、そして企業による支えが、そうした機能を担ってきました。それが急速に失われる中で、社会的排除や格差が増大しています。ネットカフェに寝泊まりする若者や、地域との関係が断ち切られた独り暮らしの高齢者など、老若男女を問わず、「孤立化」する人々が急増しています。従来のしがらみからの解放は、強者にとっては自由を拡大するものかもしれませんが、弱い立場の人にとっては、孤独死で大切な人生を終えてしまう恐れがあるのです。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201006/2010061100502
菅首相のいう「強い社会保障」の実現、特に「『孤立化』という新たな社会リスクに対する取り組み」という政策課題は、果たして実現の方向に向かっているのだろうか。
「インターネットで熱中症注意を呼び掛ける」ことも悪くはないだろう。
しかし、それも自治体レベルでの散発的な実施である。
なおかつ室内で熱中症で死亡する「独り暮らしの高齢者」などは、そもそもインターネットなどは無縁の生活者であろう。
菅首相は、軽井沢で夏休みを過ごしてきたという。
首相とはいえ、ワーク・ライフ・バランスは重要である。
しかし、どうやら弱者の立場に立って考える人ではなかったようだ。
夕べの事、ふと、駅売りの日刊ゲンダイに目をやって驚いた。
菅さん夫妻が軽井沢プリンスホテルで夏休みを過ごしてきたという記事なんだけど、この白ずくめファッションには驚いた。
しかし、日刊ゲンダイが批判しているのは、服装ではなくて、そのイメージとはかけ離れた夏休みのあり方だ。
小泉さん御用達だったプリンスなんて行くもんだから、「限りなく自民党化する菅政権」なんて書かれちゃって、庶民感覚が薄れてきたとか、円高が進んでるのを放っといてとか、突っ込まれ放題だ。
http://blog.goo.ne.jp/ebisu67/e/5759dc48f0e3559348a59336f83b1352
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