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2010年9月16日 (木)

民主党の代表選結果の感想(続)

民主党の代表選の結果について様々な論評がなされている。
気になるもののいくつかをピックアップしておこう。
先ずは、選挙そのものに関してである。
日経ビジネスオンラインの「【番外編】武田斉紀の『住みたくなる日本のつくり方』」の「菅さん、国民はあなたを選べなかったのですよ。」と題する記事からである。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100914/216231/
筆者の武田 斉紀氏は、企業理念コンサルタントで、ブライトサイド コーポレーション代表取締役社長である。

武田氏は、先ず「民主党代表選挙は、本当に選挙だったの?」と問う。

選挙という以上、「選ぶ自由」が保障されていなければならない。菅氏と小沢一郎氏が、叫び、媚び、最後は「態度を早く決めないと後で後悔するぞと迫った」(中間派議員のコメント)相手は、国民ではなく党所属の議員だった。国民はただ舞台を横目で見るだけで、一国の首相を選ぶことができなかったのだ。これが果たして「国民のための選挙」といえるだろうか。

そして、「選ぶ自由」を可能にする選挙として、次のようなイメージを提示する。

方法はこんな感じだ。国政への立候補者は、現状の政策ごとに自分の考えを選んで登録する。国民も同じように選ぶと、自分と最も考えの一致した人から順に候補者が表示される。人柄や実績など、政策以外の要素もあるから、上位表示の中から誰にするかを選べばいい。
選ばれた議員は政策論議を大いにやる。民主党案や自民党案をまとめるのではなく、防衛については防衛で、農業については農業で、考え方の近い人たちが集まって政策の質を高めていく。分野ごとにいくつかの政策グループができるだろう。政党の数の論理ではなく、党派を超えて様々な意見が交換される。
それらが分野ごとにいくつかまとまって国民に提示される。国民は議員たちの政策論議を聞きながら、最後に残ったいくつかの選択肢の中から投票する。ある分野では保守的な選択になり、ある分野では革新的な選択になっても大いに結構。紙の選挙だと毎回大変だが、パソコンや携帯からなら可能だ。

思考実験としては面白いが、現実には難しいだろうなあ。
朝日新聞の社説は以下のように主張する。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

民主党代表選を通じて、いまの政党政治の仕組みに潜む不具合が改めてくっきり見えた。そのことを考えたい。
第一に、一政党の議員や党員だけで事実上、首相を選ぶことになってしまっていいのかという疑問である。
……
第二に、民意と国会議員の意思とのずれをどう考えるか。
小沢一郎前幹事長は、世論の逆風を受けながら、国会議員の支持を得て激しい戦いを展開した。
……
世論に迎合せよと言うのではない。支持率が下がると人気の出そうな首相に代える昨今の風潮には問題がある。
世論の支持が低くても、確信を持っているなら説得を試みればいい。民意とは本来、その時々の気分や印象ではなく、議論を通じ時間をかけて醸成されるべきものだ。有権者に説明し、対話を重ね、民意形成を促すことこそ、政治家本来の役割である。

朝日新聞の社説は、正論のように思える。
しかし、「その時々の気分や印象」に最も大きな影響を与えるのが他ならぬマスコミであることを棚上げしていては如何なものか、と思う。
先の大戦において、マスコミが、戦争の大義を論じ、後に戦犯となる戦争指導者を賛美してきた歴史もあるのだ。

日経ビジネスオンラインでは、高橋 洋の『菅政権が掲げるべきは「脱・政治主導」/政治家の誤解が政権の迷走を招く』が、言葉に踊らされてはいけないことを想起させた。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100914/216226/

2009年9月の歴史的な政権交代以来、民主党政権は「政治主導」をキャッチフレーズに掲げ続けている。一方でこの1年間の成果については、「政治主導が実行されていない」と不満を持っている国民が多く、それが参議院選挙の敗北にもつながったと考えられる。筆者はあえて主張したい。この「政治主導」という言葉について、民主党は大きな誤解をしている。それがこれまでの政権の迷走の一因にもなっていることを。

高橋氏は、「政治主導」には次のような類型があるとする。
Photo_2

そして、民主党のいう政治主導とは、本来「内閣主導」と呼ぶべきである、とする。

内閣主導に近い言葉が、2009年のマニフェストでも言及された「官邸主導」である。合議制である内閣が一致団結して意思決定を行うためには、内閣の首長たる総理大臣が一定のリーダーシップを発揮することが不可欠である。国務大臣は各省庁の行政長官として官僚に操られる危険性があるため、内閣として総合的な観点から判断するために、総理に直属するブレーンである国家戦略室を設けたことは、官邸主導であり、内閣主導につながる。両者は若干力点が異なるものの、官僚主導や政党優位と比べれば、方向性に矛盾はない。
……
菅内閣が誕生してから3カ月が経過するが、結局何を一番やりたいのか理解できていないのは、私だけではあるまい。財政再建のために消費税増税を行いたいのか、その前に国会議員が襟を正すために議員定数の削減を行いたいのか、社会保障サービスを充実させたいのか、それともグリーンイノベーションを重点的に進めたいのか。総理大臣が拘る政策の大きな方向性を明らかにし、優先順位を付けて国民に示すことが、今求められているのである。総理が抱いている理念や情熱が見えないことが、鳩山由紀夫前総理も含めた民主党政権の最大の失敗だったのではないか。

結果が出てしまっているので何とも虚しいが、代表選前の菅氏と小沢氏の演説を対比して、小沢氏に軍配を上げているのが田中康夫氏である。
http://www.asyura2.com/10/senkyo95/msg/162.html

而(しか)して、以下の一文に改めて、日本のバークたる小澤一郎を感じたのです。
「私には夢が有ります。役所が企画した、丸で金太郎飴の様な街ではなく、地域の特色に合った街作りの中で、お年寄りも小さな子供達も近所の人も、お互いが絆で結ばれて助け合う社会。青空や広い海、野山に囲まれた田園と大勢の人達が集う都市が調和を保ち、何処でも一家団欒(だんらん)の姿が見られる日本。その一方で個人個人が自らの意見を持ち、諸外国とも堂々と渡り合う自律した国家日本。そのような日本に創り直したいというのが、私の夢であります」。
フランス革命を否定した保守政治家、と日本では浅薄に「評価」され勝ちなバークは実は、人々の革命への要求を先取りするような、その結果、人々が革命など必要としなくなるような賢明な政治こそ抱くべき矜恃、と看破していました。とまれ、「記者クラブ」メディアの中で何故か産経新聞のみが全文をウェッブ掲載する決意表明は、歴史の審判に耐え得る哲学と覚悟の作品なのです。

ちなみに、産経のWEBとは以下のサイトである。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100914/plc1009141532010-c.htm
代表選後の菅政権の課題についても様々な論議があるが、とりあえず代表選そのものに言及したもので、管見に触れたものを上げた。

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