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2010年9月29日 (水)

北朝鮮の権力承継

北朝鮮が、金正日総書記の後継を、三男のジョンウン氏としたようだ。
ジョンウンの漢字表記は、正雲または正銀と書くらしい。
家系図は以下の通りである。
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朝鮮日報紙は以下のように報じている。
http://www.chosunonline.com/news/20100929000011

北朝鮮が28日、近・現代では世界的に例を見ない、まるで封建時代のような、3代にわたる権力の世襲を正式に発表した。北朝鮮メディアはこの日早朝、金正日(キム・ジョンイル)総書記(68)の三男ジョンウン氏(27)に対し、「朝鮮人民軍大将」の称号を授与した、と一斉に報じた。また、金総書記の妹の敬姫(ギョンヒ)氏(64)もこの日、北朝鮮初の「女性大将」となった。朝鮮中央放送は、「金正日同志が、金敬姫氏、ジョンウン氏、崔竜海(チェ・リョンへ)氏、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)氏、崔富日(チェ・ブイル)氏、金慶玉(キム・ギョンオク)氏の6人に対し、大将の軍事称号を授与された」と報じた。北朝鮮の内外に向けた発表に、「キム・ジョンウン」という名前が登場したのは今回が初めてだ。
統一部の関係者は、「金総書記がジョンウン氏と敬姫氏に対し、同時に大将の称号を与えたのは、『軍と親族』を通じ、3代にわたる世襲を実行するという意思表示だと考えられる」と語った。一方、敬姫氏の夫の張成沢(チャン・ソンテク)労働党行政部長(64)は今年6月、北朝鮮の最高権力機関である国防委員会(委員長:金総書記)の副委員長に任命された。なお、今回大将の称号を授与された6人のうち、ジョンウン氏、敬姫氏と崔竜海氏(党組織指導部第1副部長に昇任と推定)、金慶玉氏(党組織指導部第1副部長)の4人は、軍隊での経歴がない。玄永哲・第8軍団長と崔富日・副総参謀長だけが現役の軍人だ。これについて、安全保障関連省庁の関係者は、「ジョンウン氏に対し、党の役職よりも先に軍の称号を与えたり、『キム・ジョンウン時代』の中心人物となる民間人4人に大将の称号を与えたことは、『先軍政治』を維持していくという政治的な意味がある。先軍政治の旗の下に、軍部は核開発も続けていくとみられる」と語った。

注目されるのは、金敬姫の名前である。
上図に見るように、金総書記の妹であり、正雲からするとおばにあたる。
党中央委軽工業部長の肩書を持つが、今回、女性ながら「大将」の称号を与えられ、夫の張成沢・国防副委員長(党行政部長)と共に、正雲をサポートするミッションを持つと考えられる。

金正日総書記の健康問題については、以前からいろいろ推測されてきた。
以下は、金正日のWikipedia (100928最終更新)の「健康と後継問題」に関する記述である。

元専属料理人の藤本健二や脱北者から伝わってくる贅沢な生活ぶりと体型の変化から、生活習慣病説や健康悪化説がメディアで流れることがある。実際、ドイツの医療チームに心臓の手術を受けたという情報や、心臓の他、糖尿病、肝臓病、糖尿合併症による腎臓病も患っており、短い時間でも立つのが困難という。 韓国の聯合通信TVニュース(YTN)は2009年7月13日、すい臓がんである事を報道した。すい臓がんの再発率は非常に高く、すい臓がんをすべて摘出する場合、体内でインシュリンを作れなくなってしまうので、すい臓を摘出した後は糖尿病になる。 2008年秋に入ると、2008年9月9日に行われた建国60周年記念の軍事パレードに出席しなかったこと、当初建国以来最大規模とも伝えられていた軍事パレードが、労農赤衛隊などの民兵のみのパレードにとどまったこと、その他動静の報道が一時途絶えたことから金正日の重病説が広く報道された。例として、
・8月に脳卒中で倒れ、半身不随になった。
・金正日は脳卒中で倒れた後、2008年9月現在も四肢に障害が残っている状態であり、回復には相当な期間の静養とリハビリが必要。
といったものがある。 しかし、あくまでも説なので、信憑性は低いとされている。
これに先立ち8月に重村智計が死亡説・影武者説を提起している。
……
2008年9月、代行と言う形で権力を握っているのは義弟で外戚の張成沢であるが、後継の政治指導体制がどのようになるのか(3代にわたる世襲か、軍部による集団指導体制か、あるいは朝鮮労働党の実力者が権力を握るのか)という話題に関心が集まっている。
……

結果的には、金総書記が、父親の金日成主席から受け継いだ独裁政権を息子のジョンウン氏に委譲する3代権力世襲となったわけである。
産経新聞ソウル支局長・黒田勝弘氏は次のように書いている。
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100929/kor1009290306002-n1.htm

北朝鮮の権力世襲と家族支配は“金王朝”を思わせる。皮肉にも国名の「朝鮮民主主義人民共和国」に反する、21世紀の現代世界ではきわめて特異な国家というしかない。権力世襲や家族支配など血縁主義は朝鮮半島の伝統的風景だ。北朝鮮で金日成・金正日一家がそれを活用してきたのは、それが権力維持にもっとも効果的と信じているからだ。実際、国民はそれに納得(?)させられ、2代目金正日体制は今にいたる。しかし北朝鮮の現状は、周知のように飢餓を招くほどの国家的困窮状態にある。

世襲は正統性の根拠になり得るだろうか。

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