クリシンはどこへ行った?
クリシンと言えば、多くの人が栗本慎一郎氏を思い浮かべるだろう。
学者として、タレントとして、国会議員として、といったようにマルチな才能で知られた人である。
Wikipedia100803最終更新によって、略歴をレビューしておこう。
雑誌『現代思想』1977年3月号をきっかけに論壇にデビューし、その後、いわゆる「ニューアカ(ニュー・アカデミズム)」ブームの先鋒をつとめた。新人類という言葉を作り出したり、議論の技術を向上させるディベートを普及するため朝まで生テレビに出演するなど、積極的にマスコミに顔を出すとともに、糸井重里、吉本隆明、丸山圭三郎ら多くのタレント、文化人、学者と分野を超えて交流し、多数の対談・共著を出版した。
カール・ポランニーの弟分である高名な経営学者ピーター・ドラッカーから突如電話を受け、それがきっかけで「ブダペスト物語」を執筆したり、過去には歌手として織田哲郎プロデュースの下『平成若者大音頭』をリリースするなど幅広く活動。
だが、とつぜん華々しい舞台から遠ざかることになる。
1999年10月頃、脳梗塞になる。朝起きると左半身が動かなくなり、日課のウォーキング中で道が分からなくなる、病院に行こうとタクシーに乗るも、呂律が回らず運転手に行き先が伝わらない等の症状が出る。一命は取り留めたものの左半身麻痺となってしまい、リハビリに励むも中々上手くいかない。ある日、リハビリで左手を動かそうとすると右手が動く事に気付いた栗本は、箱の真ん中に鏡を置き、箱の中に右手を入れ、鏡で右手を映しながら動かし、それと同時に妻が左手を同じ様に動かすという、鏡に映った右手を左手だと栗本の脳に錯覚させるという独自のリハビリを試した結果、2ヵ月後には症状が良くなり、現在はゴルフや車の運転が出来るほどに回復した。
闘病生活をベースに、脳卒中に対する注意を喚起し、リハビリのあり方を提言した『栗本慎一郎の脳梗塞になったらあなたはどうする―予防・闘病・完全復活のガイド』たちばな出版(第1刷0105/第7刷0903))は、私も入院中に読んだ。
⇒2010年4月11日 (日):中間報告(3)初期微動を捉えられるか
⇒2010年4月18日 (日):中間報告(4)初動対応と救急車の是非
クリシンのもう一つの用法であるクリティカル・シンキングについてである。
クリティカル・シンキングの重要性は、今では広く世に浸透している。
ビジネス・パーソンの必須スキルとして数多くの参考図書が出版されているし、ビジネス・スクールでも講義されている。
しかし、道田泰司&宮元博章/(まんが)秋月りす『クリティカル進化(シンカー)論―「OL進化論」で学ぶ思考の技法』北大路書房(9904)が出版された頃は、それほど一般的ではなかったように思う。
私も、周りの人間に「ビジネスパーソン必読の書」として推奨したが、実際に購読した人はそれほど多くないのではないか。
つまり、物事を判断するのに、①正しい根拠に基づき、②妥当な推論を行うことである。
上掲書から図解を引用しよう。
根拠としての「事実」は、いわゆる証拠である。
正しい証拠は、刑事裁判の出発点である。
検察の面目丸つぶれである。
今の時点では、報道に頼るしかないが、あまりにありうべからざることなので、もう一段奥に隠れた事実があるのではないかと疑心暗鬼になるほどである。
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