いまさら「トロイカ体制」か?
記録的な猛暑だというのに、寒々とした思いがしている。
その原因は、最近の政治状況にある。
歴史的な政権交代から1年。
あの熱気はどこに消えたのだろう。所詮無いものねだりの白昼夢だったのだろうか?
9月1日の民主党代表戦告示を前にして、鳩山前首相が菅首相に、挙党体制体制構築に向け、小沢氏を含めた3人の「トロイカ体制」の原点に立ち戻ることを要求し、首相も「全く異存ない」と応じたと報じられている。
これにより、小沢氏の出馬が見送られる可能性もあるという。
もし、このような展開によって代表戦が回避されたとしたら、密室の談合の謗りを免れない。
「トロイカ体制」となれば、菅首相は、小沢氏にもしかるべきポストを用意するということであろう。
ちょうど10年前、森喜朗首相が誕生した時に逆戻りしたような感じである。
森氏は、2000年4月5日、3日前に脳梗塞で倒れ緊急入院した小渕恵三首相の後を継ぐ形で内閣総理大臣に就任した。
森氏の首相就任は、当時の自民党の有力議員五人組(森喜朗本人、青木幹雄、村上正邦、野中広務、亀井静香)が密室で談合して決めたではないかと疑惑を持たれている。
密室でのできごとは、何があったのか所詮推測に過ぎない。
冤罪の発生を防ぐために取り調べの可視化が言われているのも、密室化を避け、取り調べの状況が第三者にも分かるようなるためである。
もし、再び密室での調整が行われるようだと、われわれは10年間何をしていたのか、ということになる。
夜のニュースによれば、小沢氏はやはり出馬することになったらしい。
菅-小沢会談の様子は良く分からないが、選挙をやることになって良かったと思う。
ここまで来たら、選挙で決着をつけたほうがいい。
世論は菅氏と小沢氏の比較において、首相としては圧倒的に(8割がた)菅氏の方がふさわしい、としているようである。
しかし、私はあえて言う。
小沢VS菅の比較は、毒があっても効きそうな薬(政治家)と、毒はないが全く効力のない薬(政治家)のどちらを選ぶことにたとえられる。
天下泰平ならば後者でいいかも知れないが、状況がどうであるかは、いうまでもない。
それにしても、鳩山氏の行動基準は分からない。
小沢氏を道連れにして総理の座を投げだし、政界からの引退と影響力の自粛を表明してからまだ3ヶ月である。
菅氏支持も一夜にして小沢氏支持に豹変した。
かと思えば、今度は対決回避に動く。
菅氏も同様である。
参院選で大敗しても、いち早く政権に執着することを表明。
日本経済の状況には無頓着に、代表戦対策に腐心。
それを批判する空気を察知すると、アリバイ作りのような実効性のない対策を打ち出す。
「脱小沢」を標榜して、断固その路線で突っ走るかと思うと、「トロイカ(+輿石氏)体制」に異存なしだという。
俳句甲子園の首里高校の大将の作をもう一度引用しよう。
白地図に国境引くや沖縄忌
代表戦の勝者には、沖縄の基地問題を解決しようという姿勢をみせてほしい。
ちなみに沖縄忌は季語として認知された言葉である。
http://cgi.geocities.jp/saijiki_09/kigo500d/371.html
六月二十三日。太平洋戦争の終わりの頃、沖縄は日米の最後の決戦地になり、多くの民間人が犠牲になった。沖縄の日本軍が壊滅した昭和二十年六月二十三日のこの日を、沖縄県慰霊の日とした。
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