物質の状態変化
家族の状態について、纏綿状態と遊離状態という2つの概念的な区分けが考えられる。
物質には、いわゆる三態変化という状態変化がある。
物質の多くは、温度(と圧力)によって、固体、液体、気体の3つの状態を移り変わる。
水の場合には、大気圧下で、0℃以下で氷(固体)として存在し、0℃以上にすると融解して水(液体)になり、さらに温度をあげて100℃以上(0℃の定義の変更により、厳密には99.974℃らしい)にすると水蒸気(気体)になる。
http://www.suntory.co.jp/company/mizu/jiten/know/kn_01_01.html
物質は、原子や分子から成り立っている。
水の場合は、水素原子(H)2つと酸素原子(O)1つが結合して、水分子を構成している。
この水分子1個だけでは液体にも固体にもならない。水分子がたくさん連なることが必要である。
物質を構成する分子と分子がつながるための力には各種ある。
水分子の場合は酸素側がマイナスの電荷、水素側がプラスの電荷を持つようになり、いわば磁石のような働きを持っているために、正負で引き合う電気的な力によって結合する(水素結合)。
この水素結合により、水分子間がつながり、水分子の集合(水クラスター)が形成される。
常温の水では、5~6個から十数個の分子がクラスターを形成している。
物質が温度を示すというのは、原子・分子が運動していることの反映である。
物質の状態変化は、運動と分子間力のかねあいの問題である。
固体の状態では、熱運動が弱く、分子はそれぞれの位置で振動している。
温度を上げて行くと、熱運動が大きくなって、分子はそれぞれの位置を離れて動くようになる。
つまり、固体が融解して液体になる。
さらに温度を上げると、熱運動が分子間力を完全に振り切るようになる。
すなわち沸騰して気体になる。
家族の状態も同じようなことがいえるのではないだろうか。
すなわち、家族は分子数個より成るクラスターである。
分子(構成員)の間には、ある種の引力が働いている。
また、分子は運動エネルギーを持っている。
両者のかねあいで、家族のまとまり方に差異が生じる。
纏綿状態の家族は、引力が強く分子の自由度が小さい(氷に近い)。
遊離状態の家族は、運動エネルギーがまさっていて、分子はバラバラになりがちである(水蒸気に近い)。
問題は、家族を結びつける引力の正体は何か、それが戦後史においてどう変容してきたのか、ということである。
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