俳句甲子園
富士山は、固有名詞である。
しかし、全国各地に「○○富士」と呼ばれる山があるように、普通名詞的にも用いられる。
⇒2009年8月 3日 (月):固有名詞としての富士山と普通名詞としての富士山
甲子園にも同様な使い方がある。
阪神甲子園球場は、名の通り、阪神タイガースの本拠地であるが、通称として、単に甲子園球場と呼ばれることが多い。
私の叔父一家も、かつて阪急の西宮北口駅近くに住んでいたこともあって、熱狂的なタイガース・ファンいわゆるトラキチである。
甲子園のもう1つの顔は、高校野球である。
大学野球が神宮球場にちなんで「神宮」と称されるように、「甲子園」といえば高校野球の代名詞になっている。
Wikipediaの阪神甲子園球場(100827最終更新)に、次のような記述がある。
この球場の名称である「甲子園」が高校野球全国大会の代名詞となっており、そのことに端を発して今や野球に留まらず高校生の各種全国大会の代名詞として「○○甲子園」などと使われることがある。
「クイズ甲子園」「書道甲子園」などと並んで「俳句甲子園」も良く知られたイベントであろう。
つまり、「甲子園」も、阪神甲子園球場という特定性から離れて、高校生の全国大会を意味する名詞として用いられている。
「俳句甲子園」は、今年で第13回の歴史を持つ。
愛媛県松山市で、毎年夏に開催されている。
NPO法人俳句甲子園実行委員会が主催し、松山市の共催となっている。
松山市は、いうまでもなく、近代俳句の始祖正岡子規や巨人高濱虚子の出身地である。
8月30日の0時50分から、日本テレビの系列で「NNNドキュメント’10俳句甲子園 ~夏キラリ 17文字の MY SOUL~」という番組が放映された。
「俳句甲子園」は、1チーム5人で争う。
あらかじめ定められたお題(兼題)に対する作品の優劣と共に、作品の善し悪しだけでなく、その俳句に対する議論(鑑賞の力量)も採点される。
鑑賞の力量は、いわゆるディベートで行われ、審査員が勝者を判定する。
今年の決勝戦は、沖縄の首里高校と東京の開成高校との間で行われた。
本家の野球では、沖縄の興南高校が春夏連覇を果たした。
同高校選手の優勝インタビューで、「沖縄県民と一緒に獲得した」と強調していたのが印象的だった。
俳句では、首里高校は決勝戦で敗れた。
兼題は白。
勝負は副将戦で終わった。
開成 陶枕の全き白に小さき罅
首里 白熱のロックのギターの弦灼くる
開成高校生の作品は高校離れた出来だとは思うが、好みが分かれところだろう。
私は、勝負の枠外であった首里高校の大将の次の作品が心に残った。
白地図に国境引くや沖縄忌
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