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2010年7月 6日 (火)

恐竜はなぜ絶滅したのか?/因果関係論(6)

男の子は、大概恐竜が好きだ、と書いた。
まあ、学術用語としての「恐竜」ではなくて、通俗用語としての「恐竜」である。
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写真は、いずれも産経新聞100705

むしろ、怪獣といったほうがいいのかも知れない。
ウルトラマン・シリーズなどの人気は相変わらず高いようだ。
ウルトラマンの敵役の怪獣たちは、何物にも負けそうもない、強大な生き物である。
それと対峙して、苦闘の末に退治するというのが、様式化したストーリーである。
いわば、水戸黄門などと共通するもので、勧善懲悪の場合、敵役は、強ければ強いほど、悪ければ悪いほど、ヒーローは人気を高める。

この敵役の怪獣が、恐竜をもとにイメージされたのは、ハシリともいえる『ゴジラ』の姿形からして明らかであろう。
怪獣は、必ずしも敵役ばかりではないが、強い存在であることは共通している。
恐竜は、中生代(約2億5000万年前~約6500万年前)に生息し、白亜紀末の約6550万年前に、絶滅したとされる。
この、かつて地球上でわが世の春(?)を謳歌していた巨大な生物は、なぜ絶滅してしまったのだろうか?
どんな強者といえども、永遠に繁栄を続けることは不可能なのか?
驕れるものは久しからず?

恐竜などの大型爬虫類が絶滅したという白亜紀末には、当時生存していた生物種の約7割が絶滅したという。
はたして、地球に何が起きたのだろうか?
子供のみならず、大人にとっても興味深いテーマである。
産経新聞100705に、「宇宙-その過去から未来を解き明かす」という記事が掲載され、約6550年前の「恐竜の突然の絶滅」に関する長年の論争に、終止符が打たれたとされている。

大型爬虫類の絶滅に関しては、大規模火山噴火説、複数の天体衝突が原因とする説、突然ではなく徐々に減少したとする説などがあった。
これについて、世界の学際的な研究者41人の研究チームが、米科学誌「Science」の100305号に、小惑星の衝突による環境変動が原因と結論づけたことが発表された。
1980年に、ノーベル物理学者のルイス・アルバレズ博士らにより提唱され、1991年に、メキシコのユカタン半島で直径約180キロの白亜紀末に形成された大クレーター(チュチュルブ・クレーター)が発見されて、賛同者が増えていたものだ。

該説とは、以下のようなものだ。
直径10~15キロの巨大隕石が、秒速20~30キロで、浅い海の下にあったユカタン半島に衝突し、クレーターを生成した。
そのエネルギーは、冷戦時代に米ソが保有していた核爆弾を、全部同時に爆発させたものの1万~10万倍と計算されている。
といっても、なかなか実感できる数字ではないが、ともかく想像を絶する規模であったことは間違いない。
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しかし、これにより、生物大量絶滅の謎が完全に解明されたかというと、そうではない。
研究チームに参加した惑星科学者の松井孝典氏や地質学者の後藤和久氏は、次のようにいう。
生物がどのような因果関係で絶滅していったかを説明しなければならない。
例えば、白亜紀末においても、ワニやカメは生き延びている。
生き延びた種と絶滅した種の違いは何か?
それが、天体衝突による環境変動とどういう関係にあるか?
謎は謎を呼び、その解明の夢は広がる。

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