リハビリテーションの期限制限について/闘病記・中間報告(11)
シンプルに考えてみよう。
医療保険によるリハビリテーションの標準的算定日数には、180日という期限がある。
これ以後は、月に13単位、すなわち260分までは算定できる。
もしくは、二者択一的に、介護保険のリハビリサービスを受けることになる。
ただし、医者が認める場合には、180日を超えて医療保険の診療報酬として算定できる。
180日というのは、どういう日数か?
まあ、リハビリの効果は180日ぐらいで頭打ちだろう、ということである。
専門職の人数などを基準として、2000年に「回復期リハビリ病棟」という概念が導入された。
⇒2010年5月 9日 (日):中間報告(5)回復期リハビリについて
回復期リハビリ病棟に入院できる日数は、脳卒中なら一般に150日、大腿骨などの骨折や、手術後などの筋力低下による身体の衰え(廃用症候群)は90日、股関節や膝関節あどの神経や靱帯損傷は60日と、病気の種類ごとに決まっている。
急性期における入院日数を勘案すれば、回復期リハビリ病棟を退院する頃には、ほぼ医療保険の標準的算定日数を使い尽くしていることになる。
私の場合は、急性期が3週間程度、回復期リハ病棟が約4ヵ月半であった。
後遺症の現状と見通しはどうか?
患者の側の主観的判断にならざるを得ないが、最低限の日常生活を送ることができる程度には回復した。
しかし、右半身のマヒは継続している。
特に、上肢は、依然として全廃状態である。
回復期リハビリとしては、それで十分であり、それ以上の医療サービスは不要ということだろうか?
リハビリの効果は、遅々としてではあるが良くなっている。
療法士も、いくらかは患者のモチベーション向上のための意識もあるだろうが、「随分良くなった」と評価している。
家族も、1ヶ月前に比べれば、歩き方がはるかに良くなった、と喜んでいる。
友人たちも、ビックリするくらいである。
「リハビリの速度」ということを考えてみよう。
身体機能の状態を、時間で微分するのである。
それは、微小な数値ではあるが、けっして0ではない。プラスの値である。
日々の改善効果は実感できなくても、1ヶ月単位で見れば明らかに違いを認識できる。
患者本人が、である。
つまり、患者は医療サービスとしてのリハビリを望んでいる。
療法士も、患者の状態が良くなることは喜びだろう。
しかし、医療としてのリハビリはこの程度でいいだろう、というのが現状の制度である。
日常生活を超えた生活の質(QOL:Quality Of Life)を望んではいけない、ということである。
もちろん、制度上の趣旨としては、厚生労働省の職員が親切に説明してくれたように、さらなるサービスを受けることは可能である。
しかし、医療の現場では、それは望むべくもないのである。
リハビリの日数の制限は、いわゆる「小泉・竹中」改革の一環として行われたものである。
その後、政権交代があって、このような人道に反する「改革」は元に戻ったか?
現状はそうではない。
長妻大臣に是非お願いをしたい。
医療リハビリを、現実的に打ち切らざるを得ないような現在の仕組みは変えるべきだ。
日本共産党は、前向きに取り組んでいるようである。
次のような記事があった。
2010年6月9日(水)「しんぶん赤旗」
リハビリ 日数制限なくして
患者らが国会内集会
「リハビリを受けて一歩でも多く歩きたい。この気持ちを踏みにじらないで」―。医療保険のリハビリ日数制限撤廃を求めて8日、国会内で集会が開かれ約80人が参加しました。患者、医療関係者、研究者でつくる「リハビリテーション診療報酬改定を考える会」の主催。患者会の代表が実態を報告しました。
脳卒中患者は、「床から立ち上がれない重い状態の人が、病院から退院させられ地域に戻り亡くなる人も多い」と深刻な実態を告発。事故や病気で脳が傷つくことによって起こる高次脳機能障害の患者は、「患者によって障害は多様なのに総合的リハビリが受けられない。また数年にわたるリハビリが必要なのに180日で介護保険のリハビリに移され専門的措置が受けられない」と訴えました。
「考える会」の道免和久氏が、「民主党政権になっても日数制限は撤廃されない。菅新政権に迫っていこう」と述べました。
日本共産党の小池晃参院議員、高橋ちづ子衆院議員が参加。小池氏は、「リハビリは医療行為というのが大原則。その内容も期間も保険医の判断によってなされるべきだ。日数による機械的打ち切りは撤廃しなくてはいけない」とあいさつしました。
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コメント
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投稿: HarrellSilvia18 | 2010年8月 1日 (日) 07時13分