不起訴不当という落し所
小沢一郎民主党前幹事長の資金管理団体『陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第一検察審査会は、「不起訴不当」と議決した。
検察審査会の審査の流れは、下図のようである。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/384882/slideshow/287906/
陸山会の政治資金収支報告書をめぐっては、04~05年度分と07年度分について、それぞれが検察審査の対象になっている。
日本経済新聞100716
前者については、既に第五検察審査会が4月に全員一致で起訴相当と議決し、再捜査した東京地検は5月に嫌疑不十分で不起訴としたため、第五検察審査会で再審査中である。
再度起訴相当になれば、強制的な起訴となる。
強制起訴の事例としては、JR西日本の福知山線の事故に関して、歴代社長らの責任追求の件が記憶に新しい。
今回は、07年度分についてであり、起訴相当より軽い不起訴不相当という議決となった。
とはいえ、もちろん小沢氏がクリーンだと判断されたわけではない。
検察の不起訴という判断が、不相当と斥けられたわけで、再びクロに近い判断を示したものといえよう。
ただ、「不起訴不当」は、検察が再捜査をして、改めて不起訴処分にしたら、捜査はそこで終了することになる。
もちろん、検察の再捜査の結果を予断を持って考えてはいけないだろうが、おそらく東京地検は、再び不起訴とすると考えるのが常識的な判断であろう。
とすれば、07年度分に関しては終わりであり、04~05年度分の再審結果を待つことになる。
再審結果は予想すべくもないが、仮に起訴相当ということでなくても、それですべて終わりと考えるのは誤りである。
起訴に足る証拠がなということであって、容疑が否定されたわけではないからだ。
政治家の立場としては、積極的なシロの立証に努力すべきだろう。
もちろん、「ない」ことの証明は、一般的に難しいが、国会での説明などは、当然するべきだと思う。
何よりも、「政治とカネ」の問題は、参院選での民主党敗北の、小さくない要因の1つである。
どうやら、菅首相をはじめとする党首脳は、「コメントする立場にない」という姿勢のようだ。
しかし、「触らぬ神に祟りなし」的な考えだと、国民の感覚とズレていく一方だろう。
党自身が積極的に疑惑を解明していく姿勢を示すことが求められているのと思う。
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