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2010年6月 6日 (日)

闘病記・中間報告(8)/退院(3)

患者の症状は各人各様であり、リハビリの効果の発現にも一般的な法則性はないといっていいでしょう。
しかし、「本人の意欲」がリハビリのキーファクターであることは疑い得ません。
その点で、問題と思われるのは、TVの影響です。

TVは、入院患者にとっては唯一のともいうべきメディアです。
しかし、TVは受動的なメディアであり、番組の内容も、脳にとってプラスとは思えない娯楽番組がほとんどです。
かつて大宅壮一氏が、「一億総白痴化」と評したことがことが思い起こされます。
もちろん、日刊紙は何種類か閲覧できるようになっています。
しかし、新聞を読む患者は、限られています。

患者の多く、特に耳の遠くなった人は、往々にして大音量でTVを視聴しています。
もちろん、入院時に渡される「入院の心得」には、イヤホーンを使用のこと、と明記されています。
しかし、急性期の病院とは異なり、その辺りのコードは緩く、患者の自己判断に委ねられています。

もちろん、回復期リハビリ病院はそれなりでいいとは思いますが、少なくとも消灯後には音も消すべきでしょう。
中には、TVを点けっ放しで寝入ってしまう人もいます。
私は、一貫して4人部屋で生活しましたが、このような時には、個室の方がいいかな、と思ったりします。
しかし、4人部屋には、他者がいること自体が刺激や緊張の原因になりますから、私のような人間には、差額料金の問題は別としても、大部屋の方が適していたように思います。

患者は、脳機能の強化が課題のはずです。
私自身は、脳機能の損傷がどの程度のものか、未だに評価不能ですが、影響がないとは考えられません。
加齢による機能低下を考えれば、こんな程度かと思います。
しかし、運動機能も脳の指令によるものであると考えると、可能な限りメンテナンスすべきであると思います。
そのため、私は、「漢字の書き取り」と「数独」は、継続的に行いました。

「漢字の書き取り」は、右手がマヒしているため左手で行いました。
最初はSTの「漢字の練習」という教材により、一通り終了した後は、名句を書き写したりしました。
もちろん、俳句自身を学ぶ境地には至りませんが、訪れた土地への挨拶句などは、旅行気分を味わえるとも言えます。
そもそもの目的である「漢字の練習」の字は、イマイチ上手にはなりませんでしたが、必然的に楷書で書かざるを得ないため、右手のクセ字より読みやすいとのことです。
また、箸の使い方は、大概のモノは食べられる程度に上達しました。

「数独」は、ナンプレ(ナンバープレイス)と呼ばれる数字です。
9×9=81マスに1~9の数字を重複しないように入れ、タテ・ヨコ・ナナメの合計がいずれも55になる一種の魔法陣です。
ただ、3×3=9の細分されたマスの中でも同じ数字を使わない、というごく簡単なルールです。
1~9の1桁の数字、つまりシングルを対象とします。
つまり、独身の数字というわけです。

あらかじめ置かれている数字の数と配置により、難度が異なってきます。
新聞や雑誌などの息抜きのコーナーとして掲載されていることが多いので、目にした人は多いと思います。
しかし実際にやってみたことのある人は、案外少ないようです。
「数独」に関する限り、発症前と同程度のレベルのように思います。
つまり、余り大きなダメージは受けなかったのではないか、と自己診断しています。

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