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2010年6月 4日 (金)

闘病記・中間報告(7)/退院(2)

退院はしたけれど、別の病院への通院、今までお世話になった方々へのとりあえずの御礼、これからの生活を過ごしやすくするための日常環境の整備などまだまだバタバタしています。
本の整理をするにも、右手が全廃状態なので、想像以上に時間がかかります。
これからの生活はslowなものとならざろる得ませんが、それでもpositiveにしたい、と思っています。

入院中の過程で、私なりにエポックと考えられることを挙げてみます。
一つは、車いす歩行から自立歩行へ移ったときです。
車いす時代と比べると、明らかに目線が変わります。
赤ちゃんがハイハイからアンヨができるようになると、飽きることなく歩きたがりますが、その気持ちがよく分かります。
直立二足歩行こそ、進化の過程においても個体の発達においても画期であることからして、人間性の本源に係るものであり、リハビリ過程においても重要なエポックであることは間違いないところと思います。

二つ目は、介助入浴から自立入浴への移行です。
私の入院していたリハビリ病院では、介助入浴は、週に2回に限定されています。
急性期の病院で、クレーンに吊されて初めて入浴させてもらったときにはとても感激しましたが、介助入浴は介助者に大きな負担を強いるものです。
それだけに、入浴させてもらう側も遠慮がちにならざるを得ません。
自立入浴の可否は主としてOTが判定しますが、着替えやタオルなどをもって浴室まで歩いて行け、着替えを一人で行うことができ、浴室で身体を洗って石鹸等を洗い流し、浴槽へ安定的に移る。
結局、入浴という動作は、ADL(日常生活動作)の集大成ともいえます。

自立入浴者の割合は、入退院の状況によって変わりますが、私の見たところ、入院患者全体の2割未満、時には1割程度に過ぎないでしょう。
私がいた病室は4人部屋でした。
同じ病室には、概して状態の近い人が割り当てられるのですが、私だけが介助入浴だった時期があります。
自立入浴の人が毎日入浴できるのを羨ましく眺め、自立入浴を目指して頑張ろうという気になります。

入浴は、衛生上の問題は別として、リハビリの上で大きな効果があると考えられます。
全身の血行を良くし、疲労の回復効果があることは、よく知られていることです。
しかも、私の入院していた病院は、温泉を利用したものです。
温泉療法は、因果関係が必ずしもはっきりしていないようですが、昔から「湯治」などが広く行われていることからして、温泉には何らかの心身に対する癒しの効果があるはずです。

第三は、外泊ができるようになったことです。
私の場合、自宅復帰が当面の課題でしたので、実際に家で生活してみることは、そのときどきの課題発見に繋がりました。
病棟と実社会では、さまざまな条件が異なります。
たとえば、病棟の中は、平坦で障害物も少なく、対人歩行者は、それぞれ気を遣ってくれます。
また、エスカレーターというような文明の利器もありません。

外泊訓練について、最初の2、3回は、遠慮がちでした。
特に、家族は、何かあったら大変という思いもあったと思います。
しかし、外泊訓練によってこそ、病棟では体験できないリアルな社会に触れることができると気づいてから、臆することなく外泊願を出して積極的に自宅に帰り、可能な範囲で家の外に出ました。
外泊については、1月あたり3泊4日程度という内規があります。
また、家庭の事情によっては、外泊が簡単にできない場合もあります。
しかし、家庭の側の環境に支障がないならば、積極的に外泊をすべきでしょう。

私が幸いだったのは、言語障害が比較的軽度で、家族、病院のスタッフ、他の患者等とのコミュニケーションが、曲がりなりにも可能であったことです。
私は、本来話すことが得意ではありません。
もちろん、気の合う友達と、談論風発というような楽しみは知っています。

入院患者の中には、ほとんど喋ることができない人もいます。
脳血管障害(脳卒中)によって、後遺症として失語状態になった人がいます。
加齢の患者の中には、認知症的な人もいます。
病状は百人百様ですが、これらの症状の人は他人とのコミュニケーションにハンディキャップを負わざるを得ません。
言語療法(言語聴覚士)の果たす役割は大きいはずです。

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