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2009年12月 1日 (火)

事業仕分けの限界と可能性

およそモノ・コトには、「限界と可能性」がある。
そのどちらに着眼するかで、これからの方策に対する考え方は異なってくるだろう。
多くの国民の注目を集めた「事業仕分け」も、限界があることは当然である。
その限界をみて、否定的に考えるか、それとも可能性をみて、今後の改善を考えるか?

大多数の人は、「事業仕分け」については肯定的な評価のようである。
ノーベル賞受賞者や大学関係者から批判が噴出したスーパーコンピュータの開発に関する査定も、予算では復活となりそうである。
政治評論家の屋山太郎氏が高く評価しているのは、「国交省の下水道事業(5188億円)は財源を移したうえで、地方自治体が判断する」とした仕分け作業である。

「民主党政策集INDEX2009」は、下水道政策について、次のように記述している。

環境・暮らしにやさしい下水道法等の改正
下水道整備が各自治体の大きな負担要因になっているとの認識に立ち、硬直的な接続義務を見直す法改正を行い、下水道に偏重した汚水処理対策を正します。
合併浄化槽は、汚水処理性能が下水道と比較して遜色のない水準に達していること、過疎地域において経済効率において優れていること、循環型社会の形成に寄与する機能を有することが指摘されています。このため、下水道法を改正し、公共下水道の排水区域内において合併処理浄化槽で汚水を処理している場合、公共用水域の水質の保全や公衆衛生の見地から著しく不適切な場合を除き、公共下水道への接続義務を免除する等の措置を講じます。
浄化槽方式の汚水処理については、民主党会派に属する新党日本の田中康夫氏が熱心に取り組んできた。
以下は、自民党政権時代の国会での質疑応答である。
(田中康夫君 これは弘友さんのデータではなく、これから申し上げるのは総務省が実際に出している資料なんでございますが、今申し上げました、一億二千七百万人くらいいる中の二千二百三十七万人、七百四十六万世帯の汚水処理ができていないという方々に関して、これを仮に下水道ですべて進めていくと四十七兆二千億円掛かるという形でございます。
 これに対して、仮に浄化槽というものを用いれば、これは六兆円でできるという形でございます。ですので、約年間二兆円という、こうした汚水処理の事業の新規に用いていくお金を使えば、約三年間でまさに基本的な生活という点において、前回も言いましたように、個別銘柄かもしれませんが、ウォシュレットも使える、そして水洗のトイレを、そして生活用水もきちんと環境に配慮して処理していくことができるわけでございます。
国務大臣(金子一義君) 下水道をどの手法でやるべきか、公共下水でいくのか、農村集落排水でいくのか、あるいは合併浄化槽でいくのかということについて地域がそれぞれ計画を作っていただいておりまして、あれは、委員も御担当でありましたから、県の知事の権限で作っているんですね。地図を書いてあるんですね。県が決めるんですよね。)
参議院国土交通委員会平成21年4月9日議事録抜粋 質問者民主党会派田中議員
私たちの世代は、下水道整備が文明のバロメーターのような感じがすることは事実である。
つまり、下水道の延伸を無条件で是と考えてしまいがちである。
しかし、整備が進むにつれて、人口密度が疎な地域が対象になってくる。
当然のことながら、下水道整備の限界効率はどんどん低下してくる。
浄化槽技術の進展により、浄化槽で処理した水も、環境の構成要素として利用できる水質になっている。
下水道管の中を流れている間は、生活と遮断された流水である。
経済的な効率面からだけでなく、環境面からも、排水の有効利用を考えるべきだろう。
「事業仕分け」はスタートしたばかりである。
改めることは多々あるだろう。
しかし、密室の作業をオープン化したことは何物にも代えがたいのではなかろうか。

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