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2009年11月19日 (木)

台風と温帯低気圧/「同じ」と「違う」(13)

世の中には、悪い冗談かと思うようなことが大真面目で行われることがある。
台風情報は、気象庁が一元的に扱うことになっているが、台風から温帯低気圧に変わった時間を、故意に遅らせて発表していたという。

気象庁は、次のように解説している。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/conf/tyc180202-03data3.pdf
Photo_2 つまり、台風が温帯低気圧に変わっても、再発達したりする可能性があるので、警戒を継続する必要がある、ということである。
台風情報の発表を終了したことにより、警戒感が薄れて災害を惹起した事例があるので、台風情報の発表には工夫が必要であるとして、「台風情報の表示方法等の見直し」が行われた。
その内容は、以下のようである。

・これまでは、台風が温帯低気圧に変わると気象庁は「台風情報」の発表を終了していました。
・しかし、2004年の台風第18号のように、温帯低気圧に変わりながら再び発達し、広い範囲で台風に匹敵する暴風・強風を伴って被害をもたらすため、引き続き警戒が必要な場合があります。
・このため、台風から温帯低気圧に変わっても、暴風を伴って災害を及ぼすおそれがある場合には、台風情報として発表を継続し、台風並みの警戒を呼びかけることとします。
・図に示すように、台風は中心付近に風が強い地域が集中し、温帯低気圧では中心から離れた地域でも風が強い、というように、風の吹き方の特性が違います。このことを情報の中でわかりやすく伝えて行きます。

問題化したのは以下のような経緯による。
http://sankei.jp.msn.com/science/science/091119/scn0911190023001-n1.htm

問題が明らかになったのは、10月29日に気象庁で行われた、民間気象情報会社など予報業務許可事業者に対する、台風解析の技術や予測の技術についての講習会の席。出席者から出た「最近、『台風が温帯低気圧となった』とする発表のタイミングが遅いようだが」との質問に対し、気象庁は「早い段階で台風が温帯低気圧になったと発表すると、防災対応に支障が出ることがある」として、あえて遅らせて発表していることを明らかにした。
一般的な天気予報なら、気象予報士や気象予報会社は、気象庁と異なる予報や見解を示すことは可能だが、台風情報などの防災情報は、緊急時に無用な混乱を防ぐために気象庁の情報に一元化する必要がある。そのため、「台風はすでに温帯低気圧になった」と判断しても、気象庁が台風とする限り、そのまま伝えなければならない。

気象庁は、「「台風から温帯低気圧になると、急激にマスコミが報道をしなくなる。気象庁は報道機関ではないので、多くの人々に情報を伝えるツールを持たないが、それでも気象庁として危険な現状を伝え、災害を防ぐ必要がある」と説明している。
あたかもマスコミの報道が原因で、「正しい情報」を発表しないかのような口ぶりである。
しかし、ここには根源的な誤認があるのではないだろうか?

もし、上記の通りだとしよう。
やがて人々は、台風情報について、「きっともう温帯低気圧に変わっているのではないか」などと思うようになるだろう。
つまり気象庁の「オオカミ少年」化である。
必要なことは的確に発表した上で、その意味が十分に伝わるように工夫することである。
台風が温帯低気圧に変わったことを発表するタイミングを故意に遅らせることが災害の低減に繋がるとは思えない。
Photo_2

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