自由民主党・自壊の構造 その4.小選挙区制の罠
総選挙で、自民党と民主党の勢力がそっくり入れ替わった現象の原因として、やはり小選挙区制度の導入があげられるだろう。
今の日本の選挙は小選挙区制プラス比例代表制によって行われている。
小選挙区で300人、比例区で180人が選出されるが、各小選挙区で勝てる候補者は1人だけである。
1人しか勝てない条件で多数を占めるためには、多数派の賛同が得られるような政策を取らざるを得ない。
分布が極端に歪んでいるような場合を除き、多数派とは中間層と同義である。
結果的に、政策の差異性はかなり小さなものになる傾向があるといえるだろう。
55年体制で自民党が安泰な立場を維持していた時代、選挙制度は中選挙区制だった。
1993年8月、第40回総選挙の結果により、細川護煕氏を首班とする連立政権が誕生した。
日本新党とさきがけは、連立の条件として、政治改革の実現を挙げ、頓挫していた政治改革を再開した。
各党は、制度改革のあり方について異なる意見を持っていたが、1994年に、政治改革4法という形で現実化した。
小選挙区比例代表並立制と政党交付金の導入を柱とするものであった。
一般に、1人しか当選者がいない小選挙区では、組織力・資金力に勝る大政党ほど有利になる。
比例代表は、小政党にも議席獲得のチャンスを与えるものである。
細川内閣は、小政党の寄り合い所帯であったから、当時圧倒的多数を占めていた自民党とは制度原案において乖離があって、なかなか調整がつかなかった。
いわば妥協の産物として政治改革4法が成立したが、当然のことながら、自民党は、小選挙区制度を有利なものと位置づけていたはずである。
政治改革の目的の1つとされたのが、政権交代が起こり易い制度への変更ということであった。
なぜ、小選挙区制だと政権交代が起きやすいか?
1人だけが当選するということは、各候補者にとっては、勝つか負けるかの結果しかない。
つまり、勝敗が明確である。
白と黒しななく、グレイゾーンがないから、オセロゲームのように、一気に形勢逆転という現象が起きる可能性がある。
前回の郵政民営化総選挙と今回の総選挙において、まさにこのような事態が起きたわけである。
中選挙区制や大選挙区制の場合であれば、1位当選に拘らずに、2位当選とか3位当選を目指す戦略が成立する。
つまり、多数派としての中間層にフィットする政策というよりも、特色のある政策を打ち出すことが可能である。
政権交代可能な2大政党を目指すというのが当時の多数意見だったので、制度変更から15年にして、意図した結果が現れたということになる。
私は、政権交代自体には賛成するものであるが、余りにドラスティックな変化は、やはりリスキーな要素が多いのではないかと思う。
つまり、小選挙区制よりも中選挙区制の方が好ましいと考える。
自民党は、結果として、小選挙区制の罠にはまった。
自民党自身が、小選挙区制の方が有利だと判断していたはずであり、郵政民営化総選挙ではまさに思惑通りの結果を得ていたのだから、まあ、自業自得ともいえるのではなかろうか。
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