沼津市で最古級の古墳を発掘
静岡県沼津市東熊堂の辻畑古墳が、日本最古級の可能性があると報道されている。
出土した高坏の素材や色、形状などから、出現期古墳と推測さるということである。
今後、名古屋大と共同して科学的に分析し、築造時期の特定作業が進められることになっている。
発掘を行っている沼津市教育委員会によると、辻畑古墳は前方後方墳で、南北約62メートル、東西は現存する部分で約32メートル。高坏は古墳の周濠の底から割れた状態で出土した。脚部の上の方に、くしで引いたような横じまが入るなど「廻間(はさま)2式」と呼ばれる特徴があるという。
発掘を指導している愛知県埋蔵文化財センターの赤塚次郎調査課長は「高坏の特徴から230年前後」と説明している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090907-00000007-maip-soci
発掘は、伊豆半島への接続を予定している伊豆縦貫道が、国道1号線にぶつかる付近。
既に古墳のすぐ近くまで道路工事が進んでおり、今年秋には発掘調査を終えて、この古墳は消え行く運命にある。
個人的には何とか保存できないものかと思うが、沼津市にとって悲願の道路ということでもあり、計画の変更はない見通しである。
しかし、計画当時とは事情が違うことも事実である。
辻畑古墳からは、割れた銅鏡なども出土し、朱なども検出された。
割れた鏡は、いわゆる破砕鏡と考えられるが、鏡を割る理由については、未だ謎だとされている。
朱については、邦光史郎『朱の伝説』集英社(9412)に、次のような説明がある。
朱、赤い色は、太陽の赤であり、血の赤さでもあって、どちらも人にとってなくてはならない貴いものである。
さらに、朱には、除魔、つまり邪悪なものを追い払う効果があると信じられた。
海に潜る海士は赤い褌をしめていて、鮫や海蛇などに出会うと褌を長く垂らして、怪魚を遠ざけようとした。
……
辰砂はもともと中国が本場である。朱は中国の湖南省辰州から産出するのが一番上等とされていた。そこでその地名をとって、辰の砂と書いて辰砂とした。天然に産するものを朱の砂、朱砂と呼んでいる。さらに天然の朱は貴重であったため、人工的に水銀と硫黄を化合させてつくった物質を銀砂と呼んでいた。
ヨーロッパの化学の始まりは何かというと、それこそ錬金術であって、さまざまの薬品を熱して、化合させたり、変化させたりして、黄金を造り出そうとして、あらゆる実験と努力をくり返した。
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