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2009年8月 9日 (日)

「みんなの党」のネーミング・ストラテジー

渡辺喜美元行政改革担当相を代表とする新党が結成された。
「みんなの党」という名前である。
このネーミングは、かなり巧妙なものだと言えるだろう。

そもそもネーミングは、名付ける人のさまざまな思いが込められている。
生まれた子供の名前をどうするか?
多くの親は、生まれる前から、男だったらA、女だったらBなどと思いを巡らすのではなかろうか。
あるいは、尊敬するCに名づけてもらおう、などと。

子供の名前の傾向も、世相と共に変化していく。
驚かされたのは、子どもに「悪魔」という名前を付けた親が登場した事件である。
以下のような概要の事件である。
http://wpedia.goo.ne.jp/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E5%91%BD%E5%90%8D%E9%A8%92%E5%8B%95

1993年8月11日、東京都昭島市の役所に「悪魔」と命名した男児の出生届が出された。「悪」も「魔」も常用漢字の範囲であることから受付されたが、市が法務省民事局に本件の受理の可否に付き照会したところ、子供の福祉を害する可能性があるとして、親権の濫用を理由に不受理となったものである。
届出者は、男児が悪魔との名前に反応していることを理由に、他の漢字を用いて再度「あくま」の名で届け出ようとしたが、市役所は不受理とし、届出者は類似した音の別の名を届け出た。
本件は、当初届け出ようとした名前の特異性から話題になり、マスメディアにより大きく報道された。また届出者である両親は(といっても父親だけがアピールしていて、母は意見をいわず追従する形だった。)、マスメディアに出演して正当性をアピールしていた。

この父親の意図は何だったのだろうか?
単に目立つことが目的だったとしたら、親のエゴと言うしかないだろう。
子供の将来のことを考えたら、とても考え付くものではない。
法務省の解釈のように、親権の濫用ということだろう。

もっとも、「悪」という字あるいは言葉は、必ずしもマイナス・イメージだけとはいえない。
Wikipedia((09年6月23日最終更新)では、次のように解説している。

(あく)とは、文化や宗教によって定義が異なるものの、概ね人道に外れた行いや、それに関連する有害なものを指す概念である。平安末期から現れた「悪党」に見られるように、「悪」という言葉は剽悍さや力強さを表す言葉としても使われ、否定的な意味しかないわけではない。例えば、源義朝の長男・義平はその勇猛さから「悪源太」と称されている。
悪は善と対比される概念である。
元々は「悪源太義平」にみられる「突出した」の意をもつ。突出して平均から外れた人間は、広範囲かつ支配的な統治、あるいは徴兵した軍隊における連携的な行動の妨げになり、これゆえ古代中国における「悪」概念は、「命令・規則・誠治に従わないもの」に対する価値評価となった。一方「善」概念は、「皇帝の命令・政治的規則に従うもの」に対する価値評価である。

ところで、「みんなの党」というネーミングである。
岩永嘉弘『すべてはネーミング 』光文社新書(0202)に、次のような言葉がある。
岩永さんは、大学卒業後、創刊間もなかった女性週刊誌『女性自身』の編集部の嘱託として、職業生活を始める。

この『女性自身』という誌名が当時としては画期的で、入社以前から感心していた覚えがあります。英語でいえば(by)herselfってことです。なんて意志的な新感覚を、雑誌名らしく四字熟語風に伝えているか。
今でも変わらないライバル誌の名前はいかにもそれらしく『週刊女性』に『女性セブン』(7がウィークリーを意味します)、今はなき『ヤングレディ』……。

「みんなの党」」の場合、ライバル(?)政党名は、自由民主党、民主党、公明党、日本共産党、社会民主党、国民新党、改革クラブ、沖縄社会大衆党、新党日本である。
見て分かるように、漢字表記が圧倒的である。
何らかの理念を表現しようとする政党名の場合、漢字の持つ意味の広がり、情報伝達力が重視された結果だろう。

そういう中で、ひらがなをメインにした「みんなの党」は、差別性を意図したものであろう。
しかも、「みんな」という言葉は、選挙や政治のスローガン・標語などに多用されている。
例えば、滋賀県選管では、「きみの夢 みんなの未来 かなえる選挙」という標語を用いることになっていた。
鳥取県選管でも、「その一票がみんなの笑顔をつくりだす」という標語を既に使用していた。
これらの標語は、差し替えられるという。
とりあえず、「みんなの党」のネーミング・ストラテジーは成功したと言えよう。

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