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2009年8月26日 (水)

熱と温度 その3.熱伝導率と熱拡散率/「同じ」と「違う」(5)

パソコンやプリンターなどの電子製品は、高機能化・小型化を図ろうとすると、そこから発生する熱をどう処理するかが大きな問題になってくる。
私が常時使っている2台のノートパソコンも、熱処理の性能が大きく異なっている。
古いPCは、長時間使用しているとかなりの高温になってくる。
そして、放熱のためのファンの音が、気になるくらい大きくなる。

新しいPCは、同じように長時間使用しても、ほとんど温度が変化しない。
おそらくは、放熱部材の技術進歩によるものだと思われる。
電子部品の故障の原因としては、振動や湿度、埃などもあるが、もっとも多いのが熱であり、50%以上になるといわれる。

熱は、故障の要因だけでなく、半導体の寿命にも影響してくる。
たとえば、低炭素社会実現のための次世代照明の主役として期待されているものにLED照明がある。
LEDは、従来、照度が照明用としては不足していたため、信号やバックライトなどの用途に限定されていた。
Photoそれが、次第に高い照度が得られるようになってきたことから、省エネ型の照明として大きな期待が寄せられるようになっている。http://denko.panasonic.biz/Ebox/everleds/led/principle/index.html

白熱電球に比べると、LED照明の消費電力は10~20%程度とされ、寿命は4万時間以上とされている。
4万時間といえば、24時間365日連続点灯しても、4年半以上ということになるから、メンテナンスフリーに近づけば、特に屋外の用途には大きな利点となる。

しかし、LEDの寿命は、温度によって大きく変化する。
LEDの明るさは、電流に比例するが、大電流化すると、発熱量が大きくなるため、適切な放熱対策を講じて、LED部分の温度を一定温度以下に保たないと寿命が短くなって、長寿命というLED照明のメリットが失われるこPhoto_2とになる。
つまり、明るさと寿命がトレードオフの関係にある、ということである。http://denko.panasonic.biz/Ebox/everleds/led/principle/index.html

したがって、明るさと寿命を両立させるためには、放熱効率を高めることが必須となる。
小電流の場合には問題にならなかった熱対策が、大電流化と共に大きなテーマになってきているのである。
LEDの温度を一定以下に抑えるためには、発生した熱を効率よく逃がしてやることが必要である。
熱の伝わりやすさを示す指標として、熱伝導率がある。

物質内に温度差があると温度の高い部分から低い部分へ熱が移動する。
この熱の移動の起こりやすさを示すのが、熱伝導率である。
熱伝導率(λ)は、単位長さ(厚み)あたり1(K)の温度差があるとき、単位時間に単位面積を移動する熱量(Q)であらわされる。
http://www.weblio.jp/content/%E7%86%B1%E4%BC%9D%E5%B0%8E%E7%8E%87

λ=Q/m・K

この熱伝導率の値が大きければ大きいほど、移動するする熱量が大きく、熱が伝わり易い、ということになる。

熱伝導率が高いことは、すぐれた放熱材料のための必要条件ではあるが、十分条件とはいえない。
なぜならば、放熱性とは、温度の変化をコントロールするものであるが、物質によって熱容量が異なり、温度変化は熱容量も勘案しないと、評価ができないからである。
8月14日:「同じ」と「違う」(1)熱と温度 その1.熱容量と比熱

熱伝導と熱容量を組み合わせれば、温度コントロールの指標とすることができる。
それが次式で表される熱拡散率である。

熱拡散率: a=λ/(c・ρ)
  ただし、 c:比熱、ρ:密度   c・ρ=熱容量  

最終的には、放熱部材としては、熱拡散率の高い材料が好適ということになる。

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