熱と温度 その4.熱伝導率と熱拡散率(続)/「同じ」と「違う」(6)
熱伝導率は直観的に分かる概念であるが、熱拡散率は、いささか直観的には分かり難い概念である。
熱拡散率の単位は以下のようになる。
熱拡散率: a=λ/(c・ρ)
λ=〔J〕〔1/s〕〔1/m〕〔1/K〕
c=〔J〕〔1/kg〕〔1/K〕
ρ=〔kg〕〔1/m・m・m〕
だから、
a=〔J〕〔1/s〕〔1/m〕〔1/K〕/〔J〕〔1/K〕・〔kg〕〔1/m・m・m〕
=〔m・m〕〔1/s〕
となる。
つまり、時間当たりの面積である。
熱量も温度も出てこないのが不思議な気がするが、温度が広がっていく面積の拡大速度ということだろうか。
次のような、穴の開いた筒に水を注ぐ場合のアナロジーで考えてみる。
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa486715.html図は、円筒に水を注いでいることを示している。
外部から水量Qが加わると、水位はT1からT2に上昇する。
上昇する水位ΔTは、水量Qと底面積Sによって決まる。
ΔT=Q/S (S=Q/ΔT)
この円筒の底面に穴が開いていると、水はそこから外に流出する。
この場合は、温度変化の様子は、底から流出する水量を勘案することが必要になるが、流出する水量の速度は、穴の面積に比例する。穴の面積をsとすれば、
q=k・s (kは比例定数)
水位の上昇度合は、外部から加えられる水量Q、外部に流出する水量q、および円筒の底面積Sによって定まる。
ΔT=Q/S-q/S=Q/S-k・s/S
つまり、穴が開いていない場合に比べて、k・s/Sだけ水位上昇が抑制されることになる。
その程度は、s/Sが大きいほど大きくなる。
水を熱に置き換えて考えてみる。
熱量が水量、温度が水位である。
底面の穴から熱が外部(熱浴)に流出する図とみなせる。
この穴の面積が熱伝導率である。
温度(=水位)は、底の穴の大きさ(熱伝導率)だけでは決まらない。
s/Sの値が問題になる。
これが熱拡散率に相当するものである。
つまり、熱拡散率は、底面積が小さく(比熱が小さく)、穴の面積が大きいほど、高い。
熱拡散率が高いということは、温度を上昇させないで、熱を外部に流出させることができることを意味している。
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