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2009年8月25日 (火)

ポピュリズムとトリックスター

「政策」と「政局」という言葉が、対で用いられる。
麻生首相も、「政局よりも政策」といって、解散総選挙を引き延ばし、結果として抜き差しならない政局を迎えることとなった。

「政局」というのは、政治のある局面ということだろう。
その典型が選挙である。
どちらを優先すべきか?
国民にとっては、言うまでもなく「政策」である。
選挙でどの候補者が当選し、どの候補者が落選しようとも、問題はどのような政治が実行されるかである。

しかし、政治家自身にとって、政局がより重要であることは論を待たない。
まさに「落選すれば、タダの人」であって、政治家としての価値が激減してしまう。
選挙はある意味で資金繰りのようなもので、その時々で待ったなしの課題である。

選挙が多数を争う以上、勝つか負けるかを中心に考えれば、そして、政治家にとってはそれがすべてに近いのだろうが、必然的に大衆の意向に沿おうということになる。
つまり、民主主義社会がポピュリズム化することは不可避だと思われる。
しかし、それにしても程度の問題ということがある。
人気が高いからといって、芸能人やスポーツ選手が当選したところで、大した政治的実績を残せないことは、多くの実例が示してきたところである。

最近は、こういう傾向はやや控え目になってきたのかと思われるが、それにしても大衆的な人気の高いとされる某知事や某大臣などを、現職を転換してでも総選挙の目玉にしようという動きがあった。
さすがに、批判の声も高くなって、また本人の意向などから、結果としては実現しなかったが、人気によりかかろうとする姿勢がミエミエだった。

マニフェストなども、どうも人気取りの方向に傾いていると言われている。
確かに大衆受けするか否かが判断基準になり、いわゆる「風」の向きを気にせざるを得ない。
「風」は一夜にして変わる可能性もあり、候補者としても苦労していることだろうと思う。
ここしばらくは、反与党の風が大勢を占めている。

先の都知事選では、与党のベテラン政治家を、野党の新人候補があっさりと破った。
この結果を、都知事が、「2週間前から(活動を)始めた民主党の候補が自民党のエース中のエースを破るのは異常。浮薄な選挙になった」と批判した。
http://blogs.yahoo.co.jp/nothigcat2000/archive/2009/7/14
同じ都民から選挙で選ばれた都知事が、「それを言ったらおしまい」ではなかろうか。

ポピュリズムとの関連で、トリックスターという文化人類学の用語が使用されることがある。
例えば、次のように説明されている。

いたずら者、ペテン師、…しかし、硬直化した価値観を壊して人々に笑いと創造をもたらす者。低俗なトリックスターは破壊のみをもたらし、高尚なトリックスターは破壊の後に新しい秩序をもたらす。
http://i-otter.hp.infoseek.co.jp/archetype/trickster.html

大衆は往々にして、アンチ権力的な気分を持っているから、トリックスターは大衆的な人気を獲得する場合がある。
郵政民営化総選挙の際の小泉純一郎元首相や、東国原宮崎県知事などがその例だとされる。
トリックスターの評価は、破壊するものと創造するものとの比較考量により定まるだろう。
私は、大川隆法・幸福の科学総裁や田母神俊雄元航空幕僚長なども、トリックスターの一種ではないかと思っていたが、どちらかと言えば、権力志向者であってトリックスターの範疇からは外れるのかも知れない。

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