非核三原則と「是」というネーミング
非核三原則というものがある。
「核兵器を持たず、作らず、持ち込まさず」という三つの原則である。
第三項については、「持ち込まさず」か「持ち込ませず」かという議論があるようであるが、ノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作元首相の提唱による、とされている。
この三原則は、広島、長崎に原爆投下をされた日本の国是ともいわれる。
しかし、「持ち込まさず」か「持ち込ませず」」かは別として、「持ち込む」ことについての「密約」が存在していたことが、ほぼ明らかになっている。
「密約」というものの存在を公的に認めるべきか否かは難しい問題であるが、私は、密約があったことを認めた上で、現時点でどうすべきかを議論すべきだと考える。
民主党の鳩山由紀夫代表が、9日に長崎市内のホテルで被爆者団体と懇談し、非核三原則について、「唯一の被爆国として守っていくことが重要で、その一つに法制化という考え方もある。しっかり検討したい」と述べたという。
国是を改めて法制化すべきかどうかについても議論があるだろう。
国是ならば、そう簡単に改廃できない。
しかし、法制は、時の多数派の如何によって改廃可能である。
私は、改廃可能だからこそ、法制化すべきではないのか、と思う。
平成という時代に、非核三原則が法制化されたとすれば、後の時代にそれがアナクロニズムだと否定されたとしても、平成を特徴づける一つの出来事だったとされるならば、それはそれで意義のあることではなかろうか。
ところで、国是というのは何やら懐かしいような感覚のする言葉である。
Wikipedia(07年11月3日最終更新)では、以下のように説明されている。
国是(こくぜ)とは、その国の大部分の政策の方向性を決定付ける、国民の支持を得た方針のことであり、基本的には長期的に維持される。憲法と違い、内政・外交その他諸々の分野全てを網羅するものでは無く、内政のみ、もしくは外交のみに作用するということも決して珍しいことではない。そもそも法律として明文化されるとは限らない。よって法的拘束力が無い場合が珍しくない。大抵は「○○主義」などというように簡潔な表現で呼称できる。
言い換えれば、その国がどういう性格を持っているかを示す言葉だということだろう。
明治維新の初期には、「開国和親」が国是とされた。
軍政時代の韓国では、反共が国是とされた。
私は、非核三原則が国是であるとすることについては、是とするものである。
言い換えれば、「持ち込み」が行われているとするならば、それは「非」とすべきことと考える。
それはそれとして、グンゼ株式会社という会社がある。
明治29(1896)年創業の、紛れもない老舗企業である。
下着メーカーとして著名である。
京都府綾部市に本社がある。
2年ほど前、機会があって会社見学で訪問する機会があった。
本社と丹後半島の宮津工場である。
日本で、縫製まで行っていることを初めて知った。
同社のHPでは以下のように説明されている。
当社は1896年(明治29年)、何鹿郡(いかるがぐん)(現・京都府綾部市)の地場産業であった蚕糸業の振興を目的に創業者・波多野鶴吉が設立しました。社名もこの趣旨を反映させて"郡"の方針を意味する「郡是」と定めました。地域社会はもちろん、会社をめぐるすべての関係者との共存共栄を目指す会社として、郡是製糸株式会社(現・グンゼ株式会社)はスタートしました。私たちは、「人間尊重」、「優良品の提供」、「共存共栄」という創業の精神を経糸に、「社是」の実践を通じて社会からの期待に誠意をもって柔軟に応えることを緯糸に社会に貢献してまいります。
グンゼという社名が、郡是に由来することも、このとき初めて知った。
CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を宣言するネーミングだったのではないだろうか。
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