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2009年8月12日 (水)

違法な薬物使用と「甘えの構造」

このところ、のりピーこと、酒井法子容疑者の薬物疑惑がマスメディアを席巻している。
私はアイドル事情に詳しい方ではないので、酒井法子という名前は聞いたことがあるが、具体的な作品との関連性や、どういう個性の持ち主か、というようなことは、最近の報道で知るばかりである。
もともと清純派ということのようであるが、ここのところの報道の限りでは、清純派というイメージは湧いてこない。

任意同行を求められて、子供を知人に預けているからと、同行を拒否。
その後行方をくらまし、薬物反応が消えた頃に弁護士に付き添われて出頭。
足には、入れ墨をしていたというし、異常にテンションが高くなることなどもあったという。

夫は、自称プロサーファーと報じられている。
「自称プロ○○」というところが何だか哀しい。
要するに、他人からはプロとして認められていないということだろう。
自称するだけなら、私でも、○○のプロと言えないことはない。

酒井容疑者だけではない。
押尾某というタレントの薬物疑惑も報じられている。
タレントという職業は、意識的にハイテンションの状態を維持しなければならない、という事情もあるのだろうが、彼らに対して社会が甘すぎるのではないかと思う。

先ごろ(7月5日)亡くなった土居健郎さんの『「甘え」の構造 [増補普及版]』弘文堂(0705)は、初版が1971年に刊行され、ベストセラーになった。
土居さんは、「甘え」とは、周りの人に好かれて依存できるようにしたいという感情だと定義し、この行動を親に要求する子供にたとえた。
土居さんの説くように、日本人特有の感情かどうかは分からないが、自律できていないことの表れと言っていいだろう。
違法な薬物使用がタレントに顕著なのは、メディアへの露出の多い人に対して、日本の社会が甘いということでもあるのではないか。
タレントだからとか、初犯だからというような情状によって、刑が軽くなるとしたら、ますます「甘え」がはびこるのではないか?

私を含めて、私の周りの反応は、最初は酒井容疑者に対して同情的だった。
ダメ男と結婚したばかりに……。
しかし、酒井容疑者自身に薬物吸引の証拠があることが報じられた頃から、雰囲気が変わってきた。
それでも、「自分の妻もやっていました」などと供述するような男など、許せないという声が強かった。

しかし、任意同行拒否が、かなり計算されたものだったように受け止められることが分かり、酒井容疑者自身に対する失望感というのか、裏切られ感というのか、反感が強くなってきたのではなかろうか。
それでも、酒井容疑者が出頭し、身柄を拘束された報じられた澁谷署には、ファンからの電話が相次いだという。
「のりピーを励ましたいので、取り次いで……」
ファンとは有り難いものだとも思うが、そんなことできるわけもない。
そもそも「のりピー」などと呼ぶこと自体が、甘やかしと言うべきだろう。
おバカなタレントには、十分に反省する機会を与えた方がいいのではないか。
ただ、子供がかわいそうだとは思う。

私は好奇心が強い方だとは思うが、さすがに麻薬や覚醒剤は使用する気にならない。
アルコール中毒も似たようなものだという人もいるが、まあ、法律上の境は明確である。
それにしても、「妻もやっていました」と簡単に供述してしまう男もどうかと思うが、「夫と一緒になって犯罪行為を行ってしまう」女もどうかと思う。
何で止めようとしなかったのか。
夫唱婦随という言葉があるが、別のことで実践してもらいたいものである。

子供を預けていた知人は、「夫の高相容疑者と極めて親しい人物」とも言われる。
つまり、夫の愛人ということだと報じられてもいる。
真偽のほどは定かではないが、それを承知で子供を預けたとしたら、その神経がそもそも常識的ではない。
なまじ昔の清純派のイメージにとらわれず、常軌を逸している事実に目を向けるべきだと思う。

薬物使用が、個人レベルの話であれば、まあバカなことをして、というような話で済む。
しかし、これが国家間のことになれば、また事情は異なってくる。
歴史上著名な出来事として阿片戦争がある。
Wikipedia(09年7月30日最終更新)を見てみよう。

阿片戦争(あへんせんそう、英:First Opium War, First Anglo-Chinese War)は清とイギリスとの間で1840から2年間にわたって行われた戦争である。名前の通り、アヘンの密輸が原因となった戦争である。
当時のイギリスでは喫茶の風習が上流階級の間で広がり、茶、陶磁器、絹を大量に清から輸入していた。一方イギリスから清へ輸出されるものは時計や望遠鏡のような富裕層向けの物品はあったものの、大量に輸出可能な製品が存在しなかったうえ、イギリスの大幅な輸入超過であった。イギリスはアメリカ独立戦争の戦費調達や産業革命による資本蓄積のため、銀の国外流出を抑制する政策をとった。そのためイギリスは植民地のインドで栽培したアヘンを清に密輸出する事で超過分を相殺し、三角貿易を整えることとなった。
清では、既に1976年(嘉慶元年元年)にアヘンの輸入を禁止していた。禁止令は19世紀に入ってからも何度となく発せられたが、アヘンの密輸入は止まず、清国内にアヘン吸引の悪弊が広まっていき、健康を害する者が多くなり、風紀も退廃していった。また、アヘンの輸入代金を銀で決済したことから、アヘンの輸入量増加により貿易収支が逆転、清国内の銀保有量が激減し銀の高騰を招いた。当時の清は銀本位制であり、銀貨と銅銭が併用され、その交換比率は相場と連動し、銀貨1両に対して銅銭1000文程度であったものが、銀の高騰により銀貨1両に対して銅銭2000文という比率になった。この頃の清では、税金を銀貨で納付するよう規定していたことから、日常生活で銅銭を使用し、税金の納付において銅銭を銀貨に交換していた農民は納める税金が2倍になった計算である。さらに銀が不足し値が上がる事は物価が下がる事と同義であり、清の基本的な税制である地丁銀制が事実上崩壊し、経済にも深刻な影響を及ぼした。

要するに、イギリス帝国主義の非道である。
もちろん、その当時の世界情勢を考慮することも必要だろうが、強国の論理というのは、勝手さ加減において、現在も似たようなものかも知れない。
アヘンは、もちろん鎮痛などの効用もあって、古代のエジプトなどでも使用されていたという。
カール・マルクスは、『ヘーゲル法哲学批判序説』の中で、次のように書いている。

宗教は逆境に悩める者の嘆息であり、また、それが魂なき状態の心情であると等しく、無情の世界の感情である。つまり、それは民衆のアヘンである。

要するに、アヘンは(宗教と同じように)現実から逃避するための手段、ということだろう。

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