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2009年8月20日 (木)

「幸福の科学」の奇怪な世界観

静岡県の全小選挙区に候補者を立てているのは、政権を争う自民党と民主党に加え、新たに参入しようとしている幸福実現党の3党である。
幸福実現党は、宗教法人「幸福の科学」を母体とする政党である。
その「幸福の科学」は、どのような世界観に立脚しているのだろうか?

とりあえず、同教団のサイトを覗いてみた。
基本教義として、「四正道」というものが説かれている。
http://www.kofuku-no-kagaku.or.jp/about/osie/
以下の4つのことである。

1.愛の原理
「人を愛しなさい」という教え。
本当の愛は、見返りを求めず人に与えることで、「自分が何をしてもらえるか」ではなく、「自分が何をしてあげられるか」を考えること。
この「与える愛」こそが、幸福の出発点。

2.知の原理
仏法真理の知識を学び、仏の心を知るということ。
知識として学んだ真理を、家庭や職場で実践し、経験を通した「智慧」に変えていくことで、人生の悩みを解決し、本当の自由を手にすることができる。

3.発展の原理
発展とは、自分も他の人々も、ともに幸福になっていこうという気持ち。
仏法真理を学び、実践することによって自分が幸福になったら、それを自分一人だけの幸福で終わらせるのではなく、まわりの人々に広げていくこと。
多くの人々と喜びを共有することで、魂の幸福感はいっそう強くなる。

4.反省の原理
幸福な人生を送るためには、反省が必要。
人間が、さまざまな間違いを犯すことは避けられない。
仏法真理に照らして、日々、自分の心を点検し、「自分は間違っていた。今後は同じ間違いをするまい」と修正していけば、心が浄化されて人生が好転し、死後、天国に還ることができる。

まあ、これらは、当たり前というか、常識から逸脱するようなものではない。
しかし、このサイトだけでは、この教団の持つ世界観は余り良く分らない。
そこで、同教団の総裁である大川隆法氏の著作の中から、基本書とされる『新・太陽の法』幸福の科学出版(9406)を紐解いてみた。
目次には、「存在と時間」「有限と無限」など、哲学的な見出しがみえる。

「多次元の宇宙」という項目を見てみよう。
大川氏は、次のように説明している。
一次元の世界とは、点の連続からなる直線の世界である。
二次元の世界とは、縦と横がある面の世界である。
三次元の世界とは、縦、横、高さからなる形状の世界である。
四次元の世界とは、三次元の世界に時間の要素が加わった世界である。
時間の扱い方についてはいささか疑問があるが(例えば、四次元の世界の住人は、鎌倉時代の人間と昭和時代の人間が、同じ場所で握手できる、と説明している)、まあ、ここまでは一般的な説明と言っていいだろう。

不可解なのは、五次元より高次元の世界の説明である。
先ず、五次元の世界とは、「四次元+精神」だとする。
精神性に目覚め、物質的な肉体人間でないことが、五次元世界の住人の条件だという。
六次元は、「五次元+真理知識」の世界だという。
七次元は、「六次元+利他」である。
八次元は、「七次元+慈悲」である。
九次元は、「八次元+宇宙」である。
十次元は、「九次元+創造・進化」である。

十次元の三体の意識を「大日意識」「月意識」「地球意識」という。
「大日意識」は、地球生物の積極的な意思、陽性をつかさどり、「月意識」が消極的な面、優美な女性的な面をつかさどり、「地球意識」が、地球の生命体としての意識、地球上での天地創造をつかさどる、と説明する。
地球の45億年の歴史は、この3つの意識体の作用によって展開してきたということだ。

まあ、常識人であれば、これ以上のことに関しては、「もういいよ」ということになるだろう。
しかし、地球系は十次元までだが、太陽系としては十一次元世界があり、銀河系として十二次元があり、最終的には大宇宙の根本仏(神)は、二十次元以上の存在だと説くのである。
こういう思考から出発している政党が、現実政策を説き、それが何がしかの支持を得るとしたら、脅威である。
何を行おうとしているのだろうか?

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