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2009年8月17日 (月)

温度と熱 その2.水の特異性/「同じ」と「違う」(2)

水の比熱は、鉄の比熱の約10倍である。
8月14日:「同じ」と「違う」(1)熱と温度-その1.熱容量と比熱
つまり、水は鉄よりも10倍温度変化し難い。
同じ熱を加えても、水は鉄に比べて、温度が変わりにくいということである。

地球の温暖化ということが言われている。
地球の温度は太陽からの熱によって支えられている。
太陽からの放射エネルギーは、1時間分で、原油換算約100億トンに相当するといわれている(佐伯平二/おおの麻里『「2℃の違い」を知る絵本 』青春出版社(0806))。
熱の伝わり方には、伝導、泰龍、放射の3種類があるが、熱を伝える媒体のない太陽から地球へは、放射によって熱が届けられる。

地球は「水の惑星」とも呼ばれている。
太陽系の中では、この惑星にのみ13.5億立方kmの水が地表の面積の71%を覆っている。
その結果として、地球全体としての温度は、太陽からの熱を受けても、変化し難い。

物質としての水は、実に不思議な性質を持っている。
それは以下のような性質である。
http://www.eco-g.co.jp/mizu.html

水は長い時間をかけると全ての物質を溶かしてしまう、最強の溶剤である。
水は岩石中の成分をいわば強引に水の中に溶け込ませてしまう働きをする。
太古、原始の海は淡水だった。降り続く雨が大気中の塩素と陸地のナトリウムを溶かして運び込み、いつしか塩分の濃い海としていったのだ。
王水以外どんな酸にも溶けないという安定物質「金」すらも溶かして、海中には世界中の人たちが大金持ちになれるほどの金が溶け込んでいる。
コップに水を注いだ瞬間から、コップは水に溶け始まり、天文学的時間をかけて溶かしてしまうと言うのだ。
自然の温度の元で、固体、液体、気体の3態をとる唯一の物質。
地球上の水は固体(氷)で1.7%、液体で98.3%、気体で0.001%存在する。
地上の最低気温-60℃から最高気温+60℃でこのように3態をとる物質は他に無い。
固体の方が液体より比重が軽い希少な物質。
物質は一般的に固体になるほど密度が高まると言う規則性がある。
ところが水は4℃まで密度が大きくなっていったかと思うと、反転して密度が小さくなり氷になると8%も密度が小さくなる希少な物質だ。
あらゆる物質の中で最大の比熱を持つ。
地上に満ち溢れた水が、最も大きな比熱を持ち、他の液体に比べ異常なほど大きな気化熱を奪う。その事が生物の温度調節にも有効なら、気候を安定する上でもこの上ない物質だというのも不思議な話だ。
蛇足だが、水より比熱の大きな物質が一つだけある。
1気圧のもとでは-78℃から-33℃の間で存在する液体アンモニアが1.1の比熱を持つ。
もっとも、宇宙では水より一般的な物質だが、地球上では常温では存在し難いから考えなくていいだろう。
液体中最大級の表面張力を持つ
分子の結合力の大きな液体ほど表面張力が大きくなる。
水は水銀を除いて常温で最も大きな表面張力を持つ。
水滴が球状なのも、毛細管現象が起きるのもこの表面張力のせいで、水がこれほどの表面張力を持っていなかったら、世界はずい分変わっていたろう。

この水が大量に存在することが、地球に生命が誕生したキー・ファクターであることは間違いない。
そして、人間の胎児は90%、幼児は70~80%、成人は60%が水で構成されている。
そしてなんと、脳の90%も水だという。
http://www.eco-g.co.jp/mizu.html
つまり、ヒトの一生は、組成的に水を失っていく過程だということになる。
「水の惑星」は、ある種の奇跡ではないかと思えてくる。

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