混迷深める自民党
自民党の党員でもシンパでもないので、やじ馬的な関心で眺めているのだが、都議選の惨敗によって自民党はいよいよ混迷の度を深めつつあるようだ。
麻生太郎首相の衆院解散方針に反対する自民党の中川秀直元幹事長らは、16日午前、細田博之幹事長を党本部に訪ね、両院議員総会の開催に必要な党所属国会議員の3分の1(128人)以上となる133人の書名を手渡し、週内に開くよう申し入れた、と報じられている。
http://news.mag2.com/politics/12046/detail
いわゆる麻生降ろしの動きであるが、議員総会に賛成の署名をした議員も、その心情はバラバラだろうと伝えられている。
注目すべきは、両院議員総会の開催に向けて積極的に動いているのが、加藤紘一、中川秀直、武部勤の元幹事長トリオ、ということだろう。
私の認識では、3氏は共に自民党歴の長い政治家であるから、政治的な同志だと言えばそうも言えるだろうが、それぞれの信念はかなり異なるように思える。
一致しているのは、麻生氏の下では総選挙を戦えない、という認識なのだろう。
麻生氏の代わりに誰が顔になろうとも、大勢に影響はないような気もするのだが。
3人についての記憶を辿ってみよう。
加藤紘一氏については、いわゆる「加藤の乱」の印象が強いのではないか。
2000年11月に、第2次森喜朗内閣の打倒を目指して、加藤氏や山崎拓氏らが倒閣運動を起こした。
野党が提出する森内閣不信任決議案に、加藤・山崎両派の議員が賛成票を投ずれば、不信任案が可決される情勢だった。
結果的には、野中広務氏ら執行部の切り崩しにあって、加藤氏の目論見はつぶされた。
その後総裁選にも出馬した谷垣禎一氏が、加藤氏の肩をつかみ「加藤先生、大将なんだから! 1人で突撃なんてダメですよ!」と必死で慰留した映像は、子供の頃みた東映時代劇を彷彿とさせるものだった。
この「加藤の乱」が失敗に終わったことが、翌年の総裁選で小泉純一郎氏を選出させることになったとも考えられることは、歴史の皮肉というべきかも知れない。
中川秀直氏といえば、スキャンダルの帝王という印象である。
Wikipediaの「中川秀直」の項(09年7月15日最終更新)でも、「2000年、写真週刊誌等に中川が愛人と一緒に撮影した写真やビデオが掲載され、内閣官房長官辞任に追い込まれた」とある。
さらに、寝室内で撮影した愛人とされる女性の写真があって、それについての中川氏側の説明が、中川氏の運転手に見知らぬ女性が中川邸を見たいとねだったため、運転手が女性の要求に従い寝室に案内したことがあり、雑誌に公開された写真はそのときに撮影したものではないか、というものであった。
よくもそこまで言うか、という感じだと思う。
私も、最近物忘れがひどいが、中川氏の「愛人スキャンダル」はまだ忘れてはいない。
武部勤氏は、小泉元首相の「偉大なるイエスマン」を自称してきた人である。
武部氏は、麻生氏に対して、「徳がない・・・」とか「恥を知らない・・・」などと批判しているらしい。
そのこと自体は的外れではないと思うが、武部さん、あなたの口から(だけ)は聞きたくないなぁ。
小泉チルドレンの1人、佐藤ゆかり氏の後援会で、「♪お手てつないで、佐藤がゆけば・・・」などと歌ったと報じられている。
どういう神経なんだろうか?
かのホリエモンの手を高々と差し上げ、「我が弟です。息子です」と応援していた映像の記憶も、そう簡単には消えないだろう。
衆議員議員の補選の際、斉藤健という候補者の応援で、「最初はグー、サイトーケン・・・」などと口走ったこともある。
聴衆から「武部はパー」とヤジられていたという話は、何回聞いてもオカシイ。
与党の幹事長といえば、政権の要である。
歴代の幹事長が集まって、現首相の足を引きずろうというのも珍妙な構図だと思うが、いずれも表舞台で発言するのは、もう少しの間控えていただきたいような面々である。
そして、麻生氏を支えるべき細田博之現幹事長も、気のせいだろうか、何だかメリハリに欠けている。
「自民党はこの際、大政奉還して・・・」と、分かったような分からないような意見を開陳していた人もいたが、まあ一度下野して、党の存立基盤をもう一度再考すべきときであることは間違いなさそうである。
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