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2009年6月11日 (木)

自動車会社の社会的貢献

自分の中に感動する心があることを思い出した人も多いのではなかろうか。
バン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した辻井伸行さんの話である。
生まれつき目が見えず、歩き始めるのも言葉を発するのも遅かったという。
しかし、家にあったおもちゃのピアノを弾きこなしたのは、2歳3カ月の時だったという。
どのような才能の仕組みなのか、本人すら理解不能かもしれないが、TVで聞いただけでもその演奏の質が分かるような気がする。
これから多くの人に感動を与え続けることになるだろう。

「感動した!」というのは、その音楽的才能についてだけではない。
今朝のTVを見ていた妻が、大粒の涙を流しながら、別の部屋にいた私のところに来た。
「1日だけ目が見えるとしたら、先ず何を見てみたいか?」
という質問に対して、彼は、
「両親の顔」
と答えたというのである。
確かに、聞いている私ですら、涙が出てくるような話ではないか。

ところで、この辻井さんを、余りタレント扱いして欲しくないという思いを多くの人が持っているだろうが、次のような提案は如何だろうか?
南堂久史さんのサイトに載っている提案である。

ふと思ったのだが、辻井伸行のCMをやる企業はないのかな? 「感動」という絶賛が世間に渦巻いているので、CMに起用すれば、高級イメージが湧くのだが。
というのも、スポーツマンのCMばかりで、うんざりしているから。
……
と私が提案しても、どうせ日本の馬鹿企業は、提案に乗るつもりはあるまい。そこで、アウディとかBMWとかが、辻井伸行を起用するといい。そのことで、日本のレクサスやインフィニティが辻井伸行を起用するのを、阻止することができる。こうして、馬鹿なトヨタや日産の馬鹿さ加減を、明白にする。

私たちの生きている社会は、歴史的な転換期のように思える。
09年1月2日の項:人口減少社会の到来とグローバル市場主義モデルの終焉
09年5月21日の項:実質GDPの大幅減と文明史の転換

クルマ社会は、現代文明の到達点を示すものであり、その文明が曲がり角に来ているということのように思われる。
GMの破綻は、その象徴ではなかろうか。
09年6月8日の項:GMの破綻と「盛者必衰の理」
もちろん、文明史の転換などということは、私の生きている間には検証不能だろうから、無責任な発言ではある。
しかし、団塊の世代がほとんどいなくなるであろう30年後くらいには、社会の姿が大分変っているだろうということは言えるのではないか。

私は、南堂さんのように、「馬鹿なトヨタや日産の馬鹿さ加減」と言ってしまう勇気はないが、自動車文明に影の部分があることは事実である。
化石燃料を消費し、CO2を排出する大きな要因である。
交通戦争と呼ばれていたころに比べれば、交通事故死者数は相当に減ってきており、2007年は実に1953年以来となる6000人を割った。
とはいえ、決して小さな数ではない。
交通事故死者数は、クルマ保有台数と明白な相関があるといわれている。
09年5月16日の項:裁判員制度と量刑判断
自動車会社が、その影の部分を補うことは意義のあることだと思えるのだが。

偶然ではあるが、自動車会社の社会貢献活動に対して面白い提言をしているのを目にした。
いささか古いが、古田武彦『古代史をゆるがす真実への7つの鍵』原書房(9311)という書の中の記述である。
著者の古田武彦さんについては、異端の古代史家として何回か触れている。
07年9月22日の項:倭国のラストプリンセス?
08年6月3日の項:「君が代」と九州王朝
08年11月18日の項:「古田史学」VS「安本史学」
08年11月24日の項:「壹・臺」論争の帰結
2009年1月9日の項:珍説・奇説の邪馬台国・補遺…⑤「博多湾沿岸周辺」説(古田武彦) 他

上掲書の中で、古田さんは、足摺岬の巨石文明について解説しているのだが、その中で、次のように書いている。

この二、三○年、自家用車が普及して、巨石文明は、日常「破壊の危機」に瀕している。庭石などにするため、割って、車に積んで、持ち帰るのだ。これを「止める」力は、現今の文化行政にはない。
確かなこと、それは未来の人びとから恨まれることだ。「野蛮な車社会」をやみくもに発達させた現代に対して、嘆きと恨みの矢が突きささってくること、まちがいなし。
現代日本工業文明の誇りとする、各自動車会社、「巨石文明保護」のキャンペーン、やってくれませんかねえ。
社会への奉仕、むしろ義務だと思うけど。
それとも、社会への奉仕を企業の義務と考えてきた、外国の会社の方が「先駆け」してくれるかな。

南堂さんも古田さんも、外国の会社の方が頼りになるような言い方である。
日本の自動車会社が、それなりの社会貢献活動をしていることは承知しているが、目先の経営が苦しいなどと言わずに、もっともっと社会貢献活動に注力したら如何だろうか。

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