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2009年6月14日 (日)

郵政民営化総選挙という“詐欺”

2005年9月11日に投票が行われた第44回衆議院議員総選挙は、郵政民営化総選挙と呼ばれている。
解散に至る経緯は、Wikipedia(09年6月9日最終更新)によれば、以下のようであった。

小泉純一郎元首相の悲願だった郵政民営化法案は、与党・自由民主党の了承なしの閣議決定(2004年)、党総務会(党の常設最高意思決定機関)の採決方法を慣例の全員一致から、直前に多数決に変更した上での決定、「郵政民営化に関する特別委員会」の採決で反対派委員の賛成派議員差し替え、などの経過を経て、衆議院本会議では可決(賛成233・反対228・欠席棄権14・病欠2)されたが、2005年8月8日参議院本会議では否決(賛成108・反対125・欠席棄権8)されたため、即日日本国憲法7条3号に基いて衆議院解散。

ちなみに憲法7条は、天皇の国事行為について規定しており、その1つとして「衆議院を解散すること」がある。
この天皇の行為は、「内閣の助言と承認」により行われるのであるが、上記Wikipediaには、この時の閣議決定文書への閣僚の署名に関して、次のような悶着があったことが記されている。

臨時閣議は中断を挟みながら、二時間超に及んだ。反対閣僚のうち総務大臣麻生太郎と行政改革担当大臣村上誠一郎は最終的に首相の説得に応じて署名したものの、農林水産大臣島村宜伸は最後まで署名を拒んだため、首相は農水相を罷免した上で自ら農水相を兼務(8月11日まで。後任は岩永峯一)という形式で閣議決定文書を完成させ、解散に踏み切った。

つまり、閣内にも反対意見がある中での、かなり異例の状態での解散だった。
解散後、自民党執行部は郵政民営化法案に反対する議員を公認候補者とせず、対立候補を擁立した。
これが「刺客」として、メディアの話題になり、政策論争は小泉が主張する郵政民営化一色になった。
民主党は岡田克也代表だったが、年金など他にも話題があるとして、自民党の土俵には乗らない戦略をとろうとした。
郵政については「自民党の郵政民営化法案には反対だが、民営化そのものには反対していない」という抽象的なスタンスだった。
キャッチフレーズも、自民党の「改革を止めるな。」に対し、「日本を、あきらめない。」といういささか意味不明なものだった。

選挙の結果は与党の圧勝だった。国民は、郵政民営化を圧倒的に支持したということである。
民主党の主張がいささか明快さを欠いたということだろうが、与党は衆議院で2/3以上の議席を占めることになった。
つまり、「衆議院を通過し、参議院で否決又は修正議決された法律案について、当初の衆議院可決案を法律として成立させることができる」権利を獲得した。

その議席が現在まで継続しているわけである。
その間、首相は、小泉純一郎から安倍晋三、福田康夫、麻生太郎とめまぐるしく変わった。
たとえ国民は郵政民営化を支持したとしても、果たしてその後の自民党政権の状態まで容認したといえるだろうか?
私には、任期途中で政権を放擲し、たらい回しにすることまで含めて与党が支持されたのだとはとても思えない。

しかし、いずれにしろ衆議院の任期は4年だから、今年の9月11日には満期を迎える。
麻生首相は、就任前には直ぐに総選挙を行いたいという意向を示していたが、リーマンショック等の事態もあって、解散権を行使しないままである。
私は、上記の郵政民営化を、「小泉マジック」と考えていた。
09年1月20日の項:張作霖爆殺事件と芥川龍之介の予感
しかし、現在までの結果を考えれば、“詐欺”に近いのではなかろうか。

山崎和邦『詐欺師と虚業家の華麗な稼ぎ方 人はこうして騙される』中経出版(0511)では、詐欺のプロセスを次の三段階で説明している。
第一段階は、サギろうとする相手(これを「カモ」と称する)を、ごく自然に錯覚に導くことである。(09年5月4日の項
第二段階は、カモが誘導された錯覚に基づいて意思決定するように仕向けることであり、これを「瑕疵ある意思決定」という。(09年5月5日の項
第三段階は、相手(カモ)に財物を提供させることである。(09年5月6日の項

郵政民営化総選挙において、国民(カモ)は、郵政民営化が「改革の本丸」であり、それが争点の焦点であるかのように錯覚した。
その判断を選挙で示した。
これが結果的には、「瑕疵ある意思決定」だったことは、現在に至る内閣支持率の推移が示している。
そして、「かんぽの宿」譲渡に象徴されるように、「財物の提供」にまで持ち込んだ。
構造的には、“詐欺”と同一ではなかろうか。

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コメント

すみ友グループ出身者の人事が注目を集め始めている。それにしても住友の郵政への食い込み方は尋常ではない。

     日本郵政
     代表取締役社長 西川善文(三井住友銀行頭取)
     執行役副社長  寺坂元之(元スミセイ損保社長)
     専務執行役   横山邦男(三井住友銀行)
     常務執行役   妹尾良昭(住友銀行、大和証券SMBC)

     郵便局会社
     代表取締役社長 寺坂元之(元スミセイ損保社長)
     専務執行役   日高信行(三井住友海上火災)
     常務執行役   河村学 (住友生命保険)

     ゆうちょ銀行
     執行役副社長  福島純夫(住友銀行、大和証券SMBC)
     常務執行役   向井理寄(住友信託銀行)
     常務執行役   宇野輝 (住友銀行、三井住友カード)
     執行役     村島正浩(三井住友銀行)

投稿: 痔民盗一座 | 2009年6月22日 (月) 23時15分

コメント有難うございます。
このような人事のラインナップを知れば、やはり郵政民営化によって、何がどうなったのか検証されなくてはならないと思います。
民営化したものに、官が軽々に口を挟むべきではない、というのは正論のようにも聞えますが、その民営化の実態が利権争いの結果だとしたら?

投稿: 管理人 | 2009年6月23日 (火) 04時12分

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